2004年1月第3週

寒い日々が続いています。

朝夕など、頬が切られるように痛いのですが、こんな感触も思えばひさしぶり。これが氷点下になると思うように口も開けず、さらにマイナス20度以下の世界では骨が痛くなるんだそうです。まあ、表層のむき出しの部分が痛む程度の寒さですから、ちょっと体を動かせばあたたかくなるんですけどね。

この冬は例年になく風が強いので、よけいに寒く感じられるのかもしれません。まるで嵐のような突風が吹いたりして・・・。東北から北海道にかけては大雪。このあたりも週末は雪になるという予報でしたが、さいわい外れてくれました。でも、空気が異常に乾燥していますから、雨でも雪でも、ちょっとお湿りがほしいところです。

年明けからハト、カラスと鳥の話題が続いていますが、そのせいなのかどうか、事務局の窓外はサンクチュアリさながら、いろんな鳥が集まるようになりました。

その中で名前がわかっているのはセキレイとスズメぐらいで、あとはヒヨドリとおぼしき一団、ギーギー鳴き立てる尾の長い一団(でもオナガではありません)、それに脚のわるいモズもどき。鳥類図鑑が手もとにないのが悔やまれるのですが、モズもどきはモッくん。ヒヨドリもどきは餌の食べ方ががさつなので暴々(ボーボー)ドリ、そしてもうひとつのグループはギーギードリと適当に名前をつけて呼んでいます。

その頂点に立っているのがカラスで、かれらはその留守をねらっておこぼれ頂戴。その頂戴のしかたが個性的で、それぞれ食性もちがうので、けっこう楽しんで見ています。観察というほど洗練されたものではなく、ただああだ、こうだいいながら見ているだけ。でも、ひとつわかったことは、どのグループにも1羽ぐらい底意地のわるいのがいて、食事よりも仲間を蹴散らすことに夢中になること。それから一匹狼のセキレイが端正な姿に似合わず強気で、着地の際、かならずほかのグループの鳥の頭に蹴りを入れること。それで、あ、まちがえた、という顔をして降り立つんですね。したたかというか、無謀というか。相手は自分の倍もありそうな大きさなのに・・・。

観察ならぬ傍観の結果わかったことは、ほかの鳥にくらべたらカラスのテーブルマナーがとても上品だということ。小鳥たちの食べ方がわしづかみに近いものだとすると、カラスのそれはまるでナイフとフォークを使ってでもいるような・・・。足でしっかり肉を押さえて、それを小さくするのです。同席している相手にも、紳士・淑女のような振る舞い。そのかわりよそ者は容赦なく追い立てますけどね。

これだけ行儀がいいのに、なぜカラスには悪評が立ちやすいのか。ふと思ったのですが、それは鳥類ではカラスがもっとも人間に近いから?もしかしたら近親憎悪みたいものかもしれません。人間が野生動物になれば、今カラスに向けられているような批判や苦情がそっくりそのまま適用されそうですものね。やたらとはびこって、騒々しい、図々しい、悪賢いなどなど。相違点はただひとつ、飛べるか飛べないかということだったら、カラスの悪評は嫉妬心のなせる業だったりして・・・。

有害鳥獣という言葉があって、このあたりではその駆除があたりまえのように行われています。畑を荒らすイノシシやカラス、養鶏場に出没するキツネ・タヌキがそれに該等するのですが、こちらの都合だけで有害というのも考えもので、今、気がかりなのは渡り鳥までが新たにそれに参入させられそうなこと。人の営みと野生とのせめぎ合いは何千年、いや何万年にもわたって繰り広げられてきたのでしょうが、その攻防はあくまでも互角であってほしいものです。甘い、といわれるかもしれませんが、人間が一方的に力を持ちすぎるとどうなるかというと、バランスを取るために今度はバクテリア類が力をつけてくるからです。BSEがそうですし、渡り鳥の保有菌で養鶏場が全滅などというのも、そうした力関係のアンバランスに原因がありそうです。

キツネ・タヌキは困りものかもしれませんが、養鶏場をつぶしてしまうようなことはありません。転じて風邪のようなものも困りものですが、寝ていれば治ってしまうようなものにまで抗生物質を使うようになったことが、SARSなどを発生させる原因だったのでは・・・。渡り鳥も悪者どころか、自然界のバランスを維持する救世主的存在なのかもしれません。

視野の狭い世界にいると、いたずらに敵を作り、それに脅えなければなりませんが、それを広げたところには恐怖や猜疑がない。まずは一日も早く有害鳥獣などという言葉がなくなってしまうこと。そうしたらテロリストなどという概念もなくなって、わたしたちの世界がどれだけ住みやすくなるか。そうなれば、小学校に鋏や刃物を持って乱入してくるような人物もいなくなるでしょうからね。

今週の野菜とレシピ

里芋は皮ごと湯がいてから潰し、和風コロッケというのはどうでしょう。そぼろにしたミンチとネギを混ぜますが、塩鮭を焼いてほぐし、ミツバといっしょに混ぜこんでもさっぱりしておいしいですよ。パン粉をつけるのが面倒なら、溶き卵と小麦粉を直接加え、肉団子のように揚げてもOK。

極寒のこの時期はター菜がやわらかくておいしいですね。豆腐とター菜であたたかい中華風の煮物を作ってみました。干し椎茸はぬるま湯でもどし、細かく切って醤油をまぶしておきます。醤油をまぶすのは、干し椎茸の食感が水っぽくならないため。彩りにニンジンを3~4センチ、短冊に切り、根生姜ひとかけはみじん切りにしておきます。

もうひとつは台所にあるもの、貝柱の缶詰、あるいはハムかベーコンを使います。

熱したフライパンに油を入れ、生姜を炒めます。香りが立ってきたらニンジンを炒め、肉類、ター菜も軽く火を通します。椎茸とそのもどし汁、あればほぐした貝柱もそれに加えて塩、胡椒、オイスターソース少々で濃いめに調味して、片栗粉でとろみをつけます。豆腐から水分が出ますから、これもかために。豆腐を入れたら弱火にして、豆腐に火が通ったら胡麻油を少したらしてできあがり。

葉先がひらひらしているのがグリーン・マスタード。これはサラダ用のからし菜ですが、さっと湯がいておひたしにしても美味。みじん切りの生姜とニンニク、それにサクラエビなどをかりっと炒めて加えても・・・。

やわらかくて甘いニラ。3~4センチに包丁を入れてからさっと湯がき、醤油と胡麻油をかけると香りのいいナムル風のおひたしに・・・。炒める場合には肉類から先に火を通し、しっかり味をつけてからニラを入れます。ひとまぜしたらすぐに火を止めて、余熱で調理するとニラの甘みがひきたちますよ。

しめじはバターで炒めても植物油で炒めても、レモンをひとしぼりすると味がグーンとよくなります。鍋に酒を少量煮立て、そこにしめじを加えて煎りつけてからスープにすると味も香りもグーンとアップします。豆腐とネギを加えたあつあつスープも体があたたまりそう。あたたかいものと青もので、この冬も風邪知らずでいたいですね。

先週、大根が大きくなりすぎたため出荷不能という事情を書きましたら、もったいない、というご意見がありました。大きくなりすぎた上、この寒さで氷結。表土も凍りついてカチカチになっていますから、太刀打ちできない状態なんです。もう少しあたたかくなって、解凍後の大根が使えそうならお目見えするかもしれません。

また、葉ものが敬遠されがちだと書きましたら、東京都にお住まいのUさんから、使いきれない青菜は細かくきざんでチリメンジャコといっしょに胡麻油で炒めてご飯にのせる。そうしたら無駄にならないし、おいしいし、体にもいい、というご意見。

隔週の方のために説明しますと、益子GEFの野菜セットはなぜ葉ものが多いのか。それは食卓から青ものが敬遠されるようになったころから、骨折が増え、体力も低下して風邪をひきやすくなってしまったからで、青菜に豊富に含まれるカリウムこそ、体内でカルシウムに変換されるものであり、ミネラルやビタミン類もまた青菜に多く含まれているからです。たしかに青菜は下ごしらえに手がかかるわりに、食卓では脚光を浴びにくい。でも、これがわたしたちの食生活には必要不可欠なんですね。

そんなわけで野菜セットでは葉ものが主役になるのですが、上記のUさんのように常備菜にしたり、スープや味噌汁に入れたりして無駄なくお使いくださいね。