2004年7月第4週
梅雨明け、と思ったら、あちらこちらで集中豪雨。新潟・福島の惨状は20年前の大水害を彷彿させます。あのときはここらも湖と化していたそうで、それ以後に建てられた家は土台が高くなったんだとか。
もっともそのころ事務局はまだなくて、このあたりは田圃でした。ちょうど益子GEFが細々と活動をはじめたばかりの年のこと。水浸しになった田畑を見ると、創設当時の試行錯誤が思い出され、よく続けてこられたなあ、という感慨と、それを支えてきてくれた会員のみなさんに思いが及びます。同じ釜の飯、といいますが、同じ畑の野菜を食べていると、ある種の血縁関係が生じるのでしょうか。顔はわからなくても、その人が見えてくるから不思議です。
少数ではありますが、新潟県・福島県にも野菜セットを送っています。みなさんが浸水の憂き目には合われなかったことをお祈りしています。
過ぎたるは及ばざるがごとし、といいますけど、過ぎたるは及ばざるより被害が大きくなるようです。このあたりも7月に入ってから雨がなく、渇望されていましたが、集中豪雨はいけません。
こんなことをいうと叱られるかもしれませんが、新潟・福島に大雨をもたらした前線のおこぼれがこちらにもやって来て、毎日のように夕立が降るようになりました。道路が真っ白になるぐらい雹が降ったところもあります。夕立は大気を一気に冷やしてくれるので快適ではあるのですが、ああいう雨は畑には浸透しません。地表を叩いたあげく流れていってしまうからです。
でもね、雷はちがうんです。雨が降り出す前に雷が鳴るでしょう。とたんに植物が活気づいて、青々してきます。地面の雑草もまるで発光しているみたいにあざやかな色になる。夕立の後、木々の緑がとてもきれいになるでしょう。あれは雨に洗われてきれいになったわけではないんですね。大気中に放電される膨大なエネルギーが実感できる。だから雷がゴロゴロいい出すと家の中にいるのがもったいなくて、わたしも植物と同じ恩恵にあずかろうと外に出て、ゴロゴロがバリバリドッカーンに変わるまで雨に濡れているんです。犬も猫も山羊も雷がこわいらしく、かれらがそそくさと室内に入るのと入れ替わり。アホがまた出ていった、とみんなには思われているのかもしれませんが、昔から夕立が来るとスッポンポンになって庭に飛び出すというはた迷惑な癖があったんですね。もちろん今は着衣のままですが・・・。
竹は生長の早い植物ですが、雷をともなう雨の中ではそれが加速され、1時間あまりの夕立で30センチも背丈を伸ばすといいます。これだけのエネルギーが活用されず、いまだに原始的(原子的?)な暑苦しい発電に頼っているなんて・・・。科学がどれだけ進歩しても、人類はまだ植物の領域にも達し得ないでいるんじゃない?案外、太古の人のほうがそのあたりことをよく承知していたのかもしれません。稲妻という言葉はどうして生まれたのか。妻は古語では夫のこと。すなわち稲の夫という意味で、夕立のころ、十分に背丈を伸ばした稲苗にむかって大気中から放精するのが稲妻。そうして受精した稲苗が稲穂となると考えられていたのでした。ダイナミックな発想でしょう。大気中に放出された電気を放精と捉えるほど、その効力を知っていたようです。風が冷たくなってきました。今日もまた夕立が来そうな気配。雷が鳴り出したら外に出て、まるで電飾でもされたような草木の変身ぶりを見てみませんか。そうして大粒の雨を受けていると、自分もいっしょになって発光しているような気分になります。幸福の根源って、そんなところにあるんじゃないのかな。人間関係も大事でしょうが、たまには天空と交わって、自分が大地とひとつであることを実感するのも、案外大事なことかもしれません。
今週の野菜とレシピ
先週はオクラの生育が思ったより遅く、たくさんの方に迷惑をおかけしました。今週はメニューから外して生育待ち。来週以降は確実になりそうです。
目新しいところでは空芯菜が参入。これは東南アジアでよく食べられている野菜です。そのせいか、暑いときにはこれが妙においしい。とくに味や香りに特徴があるわけではないのですが、茎が空洞になっているので歯ざわりがよく、夏の疲れを癒してくれる葉もののひとつ。ニンニクといっしょに強火でさっと炒め、あっさり塩と胡椒で食べるのが一般的です。
モロヘイヤ、つるむらさきといった夏の葉ものも少しずつ大きくなっています。来週あたりからお目見えするかもしれません。
青山さんのサラダゴボウ。天麩羅にすると香りがよく、炒めてもすぐにやわらかくなります。薄く斜め切りしたものを酒少々と醤油で和え、浅漬け感覚で食べてもおいしいですよ。残ったものを冷蔵庫に入れておくと味がよくしみて、それもまた美味。
枝豆は茹でる前に塩で軽くもんでおくと、仕上がりが色あざやかになります。ちょっと面倒ではありますが、サヤから出した生の豆を小エビといっしょにかき揚げすると彩りがよく、大豆の甘みもひき立ちます。小さなお椀で枝豆天丼。これは子供にもお客さまにも喜ばれますが、かき揚げのお茶漬けでサラサラといってみるのも暑気払いになるかもしれません。
暑さに負けて、身体を冷やしすぎないようにしましょうね。