2004年5月第3週

そろそろ梅雨入り?そんな感じの空模様です。

ギラギラする太陽はないけれど、温度も湿度も高いので体がだるい。猫がご飯を食べたと思ったら吐きもどしたり、犬が下痢気味だったりと、多かれ少なかれみんな体調不良気味。植物も病気に罹りやすくなります。

生活が便利になって、室内の湿度や温度が好きなように調整できても、やっぱり季節という大きなうねりに呑みこまれ、左右されてしまうんですね。だるい、眠いとこぼしながらも、どこかほっとしながらそういうものに身をゆだねています。こんなときこそ、人間も動物も植物もみんな大地の一部分。地続きなんだ、と思えるからです。雨の降る日は、犬も猫も山羊も子供もよく寝ます。大人だって、ちょっとぐらいぐうたらになってもいいんじゃないのかな。働き蜂もアリも、きっと巣の中でうたたねしてるんだろうな、と思いつつ・・・。

梅雨が近づくにつれ、裏庭のドクダミが急激に背丈を伸ばし、思いがけず可憐な花を咲かせます。この清楚な白い花を活花にすると、家の中がぱっと明るくなる。雨の日は室内に匂いがこもりがちですが、ドクダミの悪臭(?)がそれを中和してくれるようです。小さな束にして、冷蔵庫にも入れておきます。これも消臭・殺菌のため。

ドクダミのマイナスイオンには森林浴効果もあります。なにかの折りに見つけたら、持ち帰ってそこらじゅうドクダミだらけにしてみては・・・。いくら採っても、ドクダミなら文句はいわれません。花が終わったら陰干しにして、お風呂に入れるとアトピー性湿疹や汗疹にも効果的。お茶にするとなおいいのですが、どうしてこんなものにドクダミなんて名前がついたんでしょう。本名は十薬。これは花が十文字に咲くからという説と、十の薬効があるからという説があるそうです。

そこまでの威力はありませんが、窓辺に立つと梅雨空の下で開花するネムの木のピンク。細い花弁が涼しげで、雨にしとど濡れながらそんな花弁を上に向け、けっしてうなだれることがありません。あれが下向きに咲いていたら、こちらの気分もそれほどよくはならないはず。雨に抗いながらすこしでも上空の雲を払い、あたりを明るくしようと奮闘する姿に見えてきます。

ネムの木は芽を出すのがいちばん遅く、5月も半ばになってやっと起き出すくらいですから、虫にもやられやすいのです。そのころになるとたいていの木は葉がかたくなっていますから、やわらかいネムが集中攻撃されるんですね。それに耐えぬいたネムだけが花をつける。可憐に見えて、あれだけ花が強靭なのもそんな事情によるのかもしれません。

そのネムの木と軒先の交わるあたりにツバメが巣を作り、抱卵がはじまりました。スズメの姿も見当たらないようで、どうやら今回は成功しそう。その昔、ツバメの巣がスズメたちの集中攻撃に合ったときは、わたしたちも新参者。もともと麦畑だったところに家が建ったわけですから、先住者にはいろいろ不満もあったんでしょう。虫もヘビもトカゲも野鳥も、みんな物陰からじーっと見ていたにちがいありません。あれが侵略者か・・・。

そこへよそ者のツバメなんぞが巣を作り出したから、怒りが爆発。侵略者の家は壊せないけど、ツバメの巣ならみんなで力を合わせりゃなんとかなる。それがあの大攻勢だったのかもしれません。──アラレちゃんの家でも去年、ツバメの巣がスズメに落とされてしまいました。そういうことがあるから、ツバメはスーパーの出入り口とか、駅のベルの真上とか、およそそれらしくないところに巣を作るようになったんですね。ではなぜスズメはそんなに根性わるなのか。

でもね、スズメの気持ちもわかるのよ、とアラレちゃん。スズメが巣なんか作ったら、やれ汚らしい、ダニがわくってつつき落とされるわけでしょう。それが外来者のツバメとなると、てのひらを返したようにだいじにされて、幸福のシンボルにまでされてしまう。そりゃ、スズメだってムカつくよ。

さいわい今回ツバメの巣が無事なのは、スズメたちがカラスのご飯のおこぼれをもらっているから、大目に見てくれているのかもしれません。軒下を提供しているわが家自体、もう見慣れた風景になっているのかもしれませんしね。──野鳥も虫も敵にまわすと恐ろしいけど、ほどほどにつきあっていれば無害な存在。こちらの無理解が支障を作り、その支障を強引に排除すれば反動が起こるというシステム、自然界でも人間界でもこれは共通なんでしょうね。

今週の野菜とレシピ

ブロッコリーが入りました。この時期のブロッコリーは生育が早く、ピンポン玉大のものが3日もすれば大人の手のひら大になり、すぐに開花。寿命の短い作物です。ブロッコリーは小房に分けて茹でますが、すぐに火が通りますから茹で過ぎにご用心。沸騰したら塩ひとつまみとブロッコリーを入れ、ふたたび煮立ってきたらすぐに火を止めて・・・。好みの堅さになったらお湯を切って、芥子醤油で和え、擦り胡麻を加えたマヨネーズでどうぞ。

間引きニンジンはそのまま、塩かマヨネーズをつけて食べます。やわらかい葉っぱはさっと湯がいて胡麻和えにするか、かき揚げで・・・。葉っぱを細かくきざんでハンバーグに混ぜるとおいしく、ニンジン嫌いの子供もこれは食べます。

大根を使った中華風スナック。事務局でもよくお昼に作るのが大根餅です。まず煮干しか鰹節で出しを取ります。それが冷めるのを待つ間に大根を千六本に切って、塩をふってしんなりさせてからぎゅっと絞り、同量の小麦粉とコーンスターチをやはり同量の出し汁で糊状にのばしたところに加えます。フライパンに胡麻油を敷いて、なるべく平らになるように伸ばしながら、中火で両面こんがり焼いてください。あつあつのところを芥子醤油で・・・。表面カリカリ、中モチモチ、大根シャリシャリと、ちょっとクセになる味ですよ。

ルッコラは胡麻の香りがさわやかなサラダ用の葉ものですが、高温多湿に弱いのが難点。輸送中に傷むことがありますので、そんなときはかならずご一報ください。わが家ではアボガドといっしょにサラダにするのが流行っていますが、茎の部分をきざんで納豆に混ぜてもおいしいですよ。

中里さんのトマト・桃太郎は苗の時期だけ消毒散布しています。無農薬の看板には反しますが、ご勘弁。そのかわり味には自信があります。このところの日照不足の影響か、きゅうりとスナップエンドウが遅れているので、友情出演してくれました。