今年もいろんなことがあったなあ

2004年12月第3週

今年最後の通信です。

実感はともなわないけど、年は暮れ、また新年になるんですね。時がたつのがどんどん早くなっているような気がするのは、わたしが年をとったせいかもしれませんが、最近は子供までがそんなことを口にするようになったといいます。子供のころの一年といったら、気が遠くなるほど長かった記憶しかないんですけどね。

もしも今どきの子供たちが、ほんとうに大人とおなじような感覚で、一年なんてあっという間と思っていたら、核なんかよりそっちのほうがよっぽど怖い。年金制度の崩壊よりもはるかに深刻。だって、それこそ人類に残された時間がどんどん短くなっているってことでしょう?

時間というのは、行きたい方へどこまでも伸びててゆく、蔓草みたいなものだとわたしたちは思っていますが、じつは巻き貝みたいな構造で、中心部に向かって渦巻いているんだそうです。だから人類の黎明期、貝殻の外縁をたどっていたころは時間の流れもゆるやかで、技術の進歩も数百年単位。それが19世紀の産業革命あたりからあわただしくなって、20世紀にはたった百年で過去千年分を大きく上回る変化をとげました。今世紀に入って、さらにそれが加速している感があります。

時間も早くなるのが当然。だって渦の中心部に近づくにつれ、どんどん円周は短くなってゆくのですから・・・。いつかそれが点になったとき、わたしたちは巻き貝の内側に吸いこまれるのか、それともどこかへ飛ばされてしまうのか。いずれにせよ大きなカタストロフィが待ち受けてはいるんでしょうが、それでも世界がこのまま未来永劫続くより、救いがあるように思えるのはなぜなんでしょう。

今年も暗いニュースやら、腹の立つニュースが多かったけど、あまりのめまぐるしさにいちいち嘆いたり怒ったりしていられないのも事実です。不祥事も公金横領も許すから、子供だけは傷つけたり殺したりしないでほしいもの。

あまりの結末に絶句、というのもありました。アメリカの大統領選のとき、あれだけ熱くなっていた報道陣が、ブッシュの再選が決まったとたん、しーんと水を打ったようになってしまいましたもんね。わたしの周囲も、よくお便りをくれる野菜セットの会員もみんな、それについてはどういうわけか、ノーコメント。え、大統領選ってなんのこと?みたいなとぼけかたをしてますが、わるい夢はなかなかさめてくれそうにありません。

災害のニュースも年々大きくなってゆくようです。来年はどんな年になりますか。どうかお手やわらかに、と祈りながら、それでも農家は畑を耕し、種を蒔きます。しかし、大地の条件は年々変化していますから、旧態依然の農法では太刀打ちできない。今年うまくいったからといって、翌年もおなじ事をやっていたら、ふるい落とされかねないのです。農業もスリリングになってきました。

あの手この手のオレオレ詐欺が横行してますが、他人事だと思っていたら、益子GEF関係者のところにもそういう話があったそうです。北海道で学生生活を送っている長男が、札幌大通りで6歳の子供を轢いてしまった、と相手側の弁護士から電話。頼むよ、父さん、という若者の声は本人にそっくりだったそうです。

お父さんは気が動転。息せき切ってお母さんに話したところで、あんた、バカじゃないの、と一喝されて一件落着しましたが、もしもだれにも話さなかったら、いわれるままに送金していたかもしれません。人の心理を巧みにあやつる犯罪で、敵ながらあっぱれ。それにしても卑劣、と思ったそうです。

わたしはわたしで交通事故。事務局からいくらも離れていない交差点から出てきた乗用車と衝突しました。さいわい身体に異常はありませんが、事故というのはあまり気持ちのいいものではありません。来年は、心機一転。さわやかな年にしたいものです。

今週の野菜とレシピ

クリスマスにちなんで、馬田さんがホワイト舞茸をしこんでくれました。舞茸は味も香りも濃厚で、グラタンやクリームスープに使われますが、色が落ちて真っ白なスープを汚すことがあるのが欠点でした。でも、これなら大丈夫。ニンニクといっしょにオリーブ油で炒め、塩、胡椒してパスタにからめ、仕上げにレモン汁をかけてもおいしいですよ。

チンゲン菜といえば中華料理を連想しますが、肉厚でやわらかい茎を生かせばオールマイティー。食べやすい大きさに包丁を入れ、茎のほうから湯がきますが、葉先を入れたら火を止めてお湯を切ります。弱火にしたガス台にもどして水分をとばしながら、軽く塩、胡椒。あとはお好みでバターか胡麻油をからめるだけ。簡単に温野菜が用意できます。クリスマスなら肉料理に添えたり、刺身用の貝柱、エビなどを表面だけさっと炒めるか湯通しして、チンゲン菜と合わせ、三つ葉でもパセリでも、あり合わせの香味野菜を散らすとリッチなサラダ。

かぶも包丁を入れて塩をふればただの即席漬けですが、そこにレモンスライスが加わると、これもサラダ。京菜の茎の部分を細かく切って、ネギとろ用のマグロと盛り合わせ、テーブルで塩をふりながら混ぜ合わせて食べるのもさっぱりしています。これはガーリックトーストなどにのせると美味。残りの葉先のほうは、炒めものにするとしゃきしゃきしておいしいですよ。

また、今年もささやかなクリスマスプレゼントとして、月桂樹の小枝が入ります。一年間、台所に放置しても香りがぬけませんから、煮込み料理などにお役立てください。もしも去年の分が残っていたら、それは箪笥の虫除けにまわしてくださいね。

この一年もありがとうございました。今年は暮れぎりぎりまで野菜をお送りしますので、新年はすこしゆっくりさせていただいて、第3週(1月10日~15日)からの開始となります。

よいお正月をお迎えください。そして、来年もどうかよろしくお願いします。