クリスマスツリー

2004年12月第2週

ぽかぽか陽気が続いています。

そのせいか、師走という雰囲気も希薄で、例年よりのんびりした気分。お餅やお正月用野菜セットのお申しこみも、今年はのんびりしているようです。でも、容赦なく時間は流れます。ご入用の方は、なるべく早くご連絡くださいね。

クリスマスが近づくと、最近ではこんな田舎町でも庭先の電飾をよく見かけるようになりました。お金も手間もかかっているんでしょうが、わあ、きれい、というのはあまりなく、よせばいいのにというのが多いみたい。閑静な住宅街が、日没とともにあやしげなネオンに彩られ、田圃の中にはいつの間にできたのか、蜃気楼のようなラブホテル・・・。あ、失礼、よそさまのお宅でした。

いつごろからこんなことが流行りだしたのか。わたしも子供のころには、近所の教会が庭木につけたささやかな電飾を、どきどきしながら見に行った記憶がありますが、一般家庭がこんなことをはじめたのはつい最近。なんだかんだいったって、日本人は金持ちなんだよ、といわれればそれまでですが、七夕にお月見、正月の松飾りがどんどん廃れていってるのに、このピカピカ志向はいったいなんだ?

クリスマスを祝っているのでは、もちろんないと思います。もともとクリスマスツリーというのは、教会の意に反するものだったでしょうから・・・。キリスト教の布教のため、2~3世紀のヨーロッパではほとんどの森が焼き払われてしまいました。森に住む地母神を葬り去るためです。神々を失った民衆は、かつてそれが宿っていた森を象徴するモミの木を復活させ、キリストの誕生を祝うふりをしながら、じつは冬至祭をやっていた。というのがクリスマスツリーの真相。

そんなわけで元来、室内でひっそりと・・・。けっして戸外でおおっぴらにやるものではなかったのです。ところがいつのころからか、クリスマスツリーが大手をふって歩くようになったんですね。そこにはもしかしたら、ここらで世界中の地母神を復活させないとえらいことになる、というなにものかの意志がはたらいていたのかも。森林破壊は今にはじまったことでないんですね。

この国は明治維新まで、神道が力を持っていてくれたおかげで、比較的ゆたかな森が残っていました。急峻な地形が多いことも幸いしたんでしょうが、この百年あまりでそれも激減。建材重視の政策は今も変わりませんから、照葉樹林は減る一方です。せいぜいツリーでも飾りたてて、わたしたちも雑木林の復活を祈ることにしましょうか。中途半端な電飾はイヤですけどね。

ちなみにサンタクロースだって、そんな風に考えだしたら、けっこうあやしげな爺さんだと思いません?インドのなんとかって神様が、東に来て大黒さまになり、西へ流れて行ってサンタクロースになったという説もあるそうですが・・・。ともあれ、サンタクロースだってほんとうにキリストの生誕がらみなら、アラビアのロレンスみたいなおじさんが白いマントをなびかせて、ラクダでプレゼントを配っていそうなものじゃない?

そうなるとクリスマス風景もずいぶん変わってくるでしょうね。イスラムに対する偏見も、これほどではなかったかもしれません。

原始キリスト教の姿をもっとも忠実に残している、といわれているのがエチオピアのキリスト教徒たち。意外に思われるかもしれませんが、エチオピアって世界最古のクリスチャン国家で、国民のほとんどがそうなんだって・・・。南米みたいに16世紀にもなって、暴力的に押しつけられた宗教とはちがうから、じつにのびやか。ヨーロッパにわたって、あたかも鎧のように次々と付加された戒律もないから、いたって陽気。ゴシック建築の伽藍でおこなわれるミサのような、こけおどしの荘厳さはありません。そしてもちろん、クリスマスツリーもないし、サンタクロースもいないそうです。

となると、もうどうだっていいんだよね。その昔、子供たちがツリーをほしがるので、手近なところで榊を入手。それに金や銀のペンキを塗った松ぼっくり、型抜きしたクッキーなどをぶら下げて、正月になると同じ榊に南天、若松を加えて、ちゃっかり注連飾りにしていたことがありました。今年は玄関前の木に、カラスウリでもぶら下げますか。

ともあれ年末年始は独創的に、ケチくさく、それでいてうつくしく・・・。それで今年も乗り切るとしましょうか。

今週の野菜とレシピ

今週は大根白菜といった大物が入ります。例年なら白菜など、すぐに使わないときは新聞紙などでくるみ、台所の隅に立てかけておくと何週間でももつものですが、今年はどうでしょう。異様にあたたかいので、はやめに食べてしまった方がいいかもしれません。

白菜は鍋にするより、スープにしたほうが一気にかたづく上、毎日あたためながら食べることができて便利。ぜひ用意してほしいのは生姜、干し椎茸ぐらいで、後は肉でもハムやベーコンの残りものでも、出しの出そうなものを用意します。大きめの鍋に油を熱して生姜を炒め、ついで肉類、もしくは魚介類を炒めて、白菜を芯のほうから加えます。全部入れたら、水をひたひたにして、干し椎茸ともどし汁も入れ、煮立ったら弱火にして塩、胡椒、オイスターソース少々で調味。片栗粉でとろみをつけ、香りづけに胡麻油を入れたらできあがり。お好みで春雨やきくらげを加えてもおいしいですよ。

ごぼうも目先を変えて、ポタージュというのはどうでしょう。スライスした玉葱は半透明になるまでオリーブ油でいため、1センチぐらいに切ったごぼうとじゃが芋、ベーコン少々といっしょにたっぷりの水で煮ます。弱火でコトコト、ごぼうがやわらかくなったら少し冷ましてからミキサーにかけ、ふたたび鍋にもどして塩、胡椒で調味。ごぼうの香りにうっとりします。皿に盛ってからオリーブ油、または生クリームを少量たらしてどうぞ。これ、クリスマス料理にも使えそうですね。

ほうれん草と牡蠣のグラタン、さっと湯がいた葱をドレッシングに漬けこんだ葱マリネ、白菜の葉先とりんごとくるみのサラダなどなど、冬ならではごちそうがいっぱい。

隔週でお送りしている方には、今回が今年最後の野菜セット。この一年もありがとうございました。よいお正月をお迎えください。

新年は1月10日~15日の週からはじまります。来年もどうかよろしくお願いします。