2004年7月第2週

今年は春先、タケノコが例年より早く出たので、夏の到来も早かったのかもしれません。梅雨は5月の長雨でおわり。6月に入ると蒸し暑い日が多くなりました。そして、先週あたりはもう盛夏。季節が1カ月ちかくも前倒しになっているようですが、今週はどんな空模様でしょう。

梅雨でも夏でも、高温多湿はわたしたちの身体にはきついもの。でも、これがなければ稲穂が育ちません。わたしも暑さに強いほうではありませんが、朝から蒸し蒸しするときなど、この暑さがミョウガを育てているんだと納得。我慢することにしています。暑さに育てられたミョウガが、暑さに疲れた身体を癒す。この循環がすばらしく、ありがたいんですね。

明日あたり、ミョウガの根元をさぐってみようかな。指先にこんもりと地面から顔を出した蕾が当たった瞬間、暑さも疲れも吹き飛んでしまいそう。早くもそんな季節になりました。暑中お見舞い申しあげます。

早いもので、カラスがヒナを連れてくるようになり、食卓がわりのトタン屋根を踏む足音がますますにぎやかになってきました。ふだんは小鳥など捕れないボケ猫がスズメのヒナをくわえて来るのもこんなとき。スズメもカラスも、親鳥と同じぐらいの大きさになっていても、まだ口移しでご飯をもらっています。

ツバメはどうなんでしょう。わが家の軒下の巣にヒナが4羽、と書きましたが、じつは5羽もいたみたい。それが先週から飛び出しました。子供たちが庭先を旋回するのを、親鳥は電線にとまって見守っています。数日後にはもういっしょに飛びまわり、どれが親でヒナなんだか、見分けがつかなくなってしまいました。口移しで餌を与える様子もありませんから、ますますわからない。

しかし、10羽ちかくのツバメが庭先にいると、夕刻などとくに、それがコウモリに見えるんですね。昔は町中でも、よくコウモリを見かけたからでしょうか。あ、コウモリだ、と急になつかしさがこみあげてきて、よく考えたらツバメだった、というのを毎日、飽きもせずに繰り返しているのですが、ツバメとコウモリって羽ばたき方がよく似てる。大きさも似てるから、1~2羽だとツバメなんですが、それが乱舞になるとコウモリなんです。意外な類似で、今年最大の発見かもしれない、と思っているしだい。

ツバメといえば昔、たぶんあれは11月ぐらい、農道を走っていたら両側の電線にびっしり、黒いものがとまっていたのを思い出します。車を止めてよく見たら、ツバメの大旅団。ツバメたちは微動だにせず、さえずりもせず、ピーンと張りつめたものがこちらにも伝わります。これから海岸線に向かい、そこから東南アジアのどこかに向けて海の上を飛ぶ。もちろん今年のヒナもいっしょですから、死ぬものも出る。嵐に遭遇すれば全滅のおそれもあるわけです。その風を読むツバメの真剣さ、後に続くものの緊張感がピリピリと伝わってくるようでした。

わたしはといえば当時、母子家庭になったばかりで、それなりにピリピリしていたのですが、まだまだ甘いと思ったものです。あれには打たれましたけど、同時に勇気をもらったような気がします。そんなツバメがコウモリに見えるんですから、ボケが入ったか、それともぬるま湯にどっぷりつかってしまったのか。

後になって聞いた話ですが、ツバメが飛び立つ日というのは、まちがいなく大安吉日。わたしが大集団に遭遇した日もそうじゃないか、っていうんです。大安とか仏滅とか、それまで気にしたこともなかったのですが、渡り鳥がそうするからには、それなりに根拠があるのかもしれません。あるいは昔の人が鳥に教えてもらったのかもしれませんけど・・・。

サギも渡り鳥ですが、ツバメほど遠くへは行きません。九州南部か沖縄あたりで越冬するようですが、長旅にはちがいありませんよね。そんな渡りに耐えられないと仲間から判断されたのか、去年のヒナが1羽、山間に残されました。ヒナは羽根の色がグレーがかっているので、ひと目でわかります。

冬枯れの田圃や霜の降りた畑の中、はたまた用水路付近と、犬の散歩のたびに孤独なサギの姿を見かけます。冬眠中のカエルを掘り出すのか、川の中で雑魚を探すのか。だいいち、こんな寒さに耐えられるんだろうか。心配なのはわたしだけではないらしく、道路脇でじっとそれを見守る人の姿も・・・。

大丈夫なんでしょうかねえ。まあ、1羽分ぐらいの食べものはあるんだろうけど、寒さにやられなきゃいいんだけどねえ。怪我でもして置いて行かれたのかしら。うーん、居残りのサギはたまにいるけど、こんな若いのを見たのははじめただもんなあ、などと立ち話。人が近づくと逃げますから、どうすることもできません。

そのサギがこの春、白くなりました。無事に越冬したのです。そして今朝、出がけに見たら、稲苗が背丈を伸ばした田圃の中に数羽のサギが・・・。仲間が帰ってきたんですね。もう、どれがあのヒナかもわからない。最高にしあわせな気分になって出勤したので、それをちょっとおすそ分け。

こんな話もありました。アラレちゃんのお姉さんがお墓の掃除をしていたら、すぐ近くでカラスがそれを見ていたそうです。ずいぶん人に慣れたカラスだな、と思っっていたら、巣から落ちたヒナ。飛ぶことはもちろん、逃げることもできなかったんです。どうしようか迷ったそうですが、結局そのままにしておいた。夕方、もう一度のぞきに行って、そのままだったら引き取るつもりで・・・。

そのときのカラスの騒ぎかたは尋常ではなかったそうです。大群になって上空を旋回していたかと思ったら、手分けをして草むらを低空飛行。だれかの子供がいなくな

ると、隣近所から親戚まで総動員して探しまわる。つくづく連れ帰ったりしなくてよかった、と思ったそうです。

騒ぎがおさまった後、もう一度のぞきに行ってみたら案の定、子供の姿は消えていました。それにしても、あんな大きなヒナをどうやって巣に運びあげるのか、疑問だけが残ったそうです。ほんとにどうやって持ち上げたんでしょうね。

今週の野菜とレシピ

福田さんのトマトの登場で、夏野菜がほぼ出揃ったという感じ。

玉葱ピーマンのみじん切りをフレンチドレッシング+醤油少々で和え、冷たいトマトにかけたガスパッチョ風サラダ。トマトはスライスでも大きめのさいの目でも、お好みで・・・。ちょっとピリッとさせたほうがおいしいので、青とうがらしがあれば小口切りにしてください。

茄子ピーマンインゲンといった夏野菜を素揚げして、トウガラシを加えた麺つゆに入れた揚げびたしは、残ったものを冷蔵できるので便利なおかず。できたてもおいしいけど、味のしみた冷たい野菜もご飯がよく進みます。毎日おなじではつまらないので、二日目には青ジソやミョウガをきざんでのせたり、玉葱のスライスを加えてサラダ風にしてみたり、少しずつ手を加えて楽しんでくださいね。

来週はオクラが入って、夏もいよいよ盛りになります。うだるような暑さの中から出てくるミョウガが夏の疲れを癒すように、夏野菜こそ夏バテ防止の妙薬なんだと思います。ちなみにミョウガはさんざん探しまわったけど、ちょっと早すぎたみたいです。