2004年8月第3週

週末の雨が猛暑をやわらげてくれました。人も野菜も犬も猫もほっと息をついているところ。

山羊も暑いのは苦手ですから、柵の中では草が伸び放題。わりきれないものを感じながら草刈りをして、それが乾いてきたら燃やして虫を払います。そうしてようやく山羊さまのお出まし。暑いのも嫌いですが、夕刻、涼しくなると同時に出てくる虫はもっと嫌い。もうもうと立ちこめる煙の中で、わたしは野菜を収穫し、山羊はせっせと草を食みます。日中の暑さもやわらいで、時間の流れが急におだやかになるようなひとときです。

その幸せな時間帯が、徐々に短くなってきました。日没がしだいに早くなってくるからです。早いもので、夏至から数えてもう2ケ月になろうとしています。苛酷な夏もようやく終わりになるのかな。エネルギッシュに輝いていた太陽が、しだいに力をなくして老いてゆく・・・。夏の終わりのほっとするような、それでいて寂しいような感じは、それが衰弱のイメージと重なるからでしょうか。太陽の復活を目前にした冬の終わりには、だれもそれを惜しんだりしませんものね。

夏の終わりを告げるようにツクツクボウシが鳴きだしましたが、子供のころはこれを聞くとおおげさではなく、まるで死刑宣告でも受けるような気持ちがしたものです。長い休暇も過ぎてしまえばあっという間。そして忘れかけていた教室の風景がよみがえってきて、ワーッ、宿題がまだこんなに残ってる・・・。

そんな思いをしている子供たち、けっこういるのではないでしょうか。おとなでよかった、と思うのはこんなとき。でも、巻きこまれているおとなもいるかもしれません。昔とくらべたら宿題がすくなっているとはいえ、お父さん、お母さん、ご苦労さまです。

農家も夏の終わりが近づくと、宿題をかかえた子供状態。お盆前後に種を蒔くもの、8月中に蒔いておかねばならないもの、その前に肥料を撒いて、畑を耕して・・・。除草もしなくちゃなりませんしね。冬野菜は種蒔きが1週間も遅れると、収穫時期が1ケ月近く遅くなります。場合によっては手遅れになることも・・・。夏野菜が1週間ぐらい遅れても、収穫時期にさほど変化がないのと大ちがい。そのうえ残暑の具合やら、10月に入ってから小春日和が続くか続かないか、そんなことまで予想しなくてはなりません。とくに今年は季節の移り変わりが前倒し傾向なので、種蒔きもすべてが早めです。

そして農家もまた、あ、大根の種を蒔き忘れてる、ああ白菜の、小松菜の、といった夢を見ることがあるんだそうです。ちょうど子供が、なんのまえぶれもなく試験と遭遇する夢を見るように・・・。おとなになっても、入試の夢にうなされると、夜中にはっと目をさましてしまう。そして、ああ夢でよかった、と胸をなでおろす。そんな感じなんでしょうね。

かと思うと、大発見や名案が浮かぶこともあるんだそうです。おおっ!と感動するのはいいんだけど、朝になると記憶もあやふや。そこで福田さんは夢を見たらすぐにメモを取ることにしたのですが、苦労してミミズの這ったような文字を解読してみたら、大発見もすばらしい名案も白日のもとではなんのことはない、凡庸なものだったといいます。以来、夢の記録も、降って湧いたような名案に依存するのもやめにして、やっぱり地道にやるしかない、ということになったそうです。そりゃそうでしょう。ビールでほろ酔い加減になりながら見る夢だもの・・・。

わたしは今でもときどき、農家が野菜を納品してこない。宅急便が荷物を取りにくる時間が刻々と迫っているのに、箱の中はからっぽのまま。だれに電話をしてもつながらない、という夢を見るんですけどね。それで車を飛ばして行くと、畑の中でみんなが酒盛りなんかしてたりして・・・。コラーッ!という自分の声で目がさめたこともある。そんな日の朝は、みんなが次々と野菜を持ってきてくれるが妙にうれしかったりね。

乾ききったスポンジのような頭の中から、無理にでも水をしたたらせるようにして書き上げた通信が、翌朝白紙になっていた、という夢はまだ見たことがありませんけど・・・。くわばら、くわばら。自分の手で画面を消してしまったことはありますけど、これは落ちこみます。せっかく仕上げた夏休みの宿題が、どこかへ行ってしまうようなものですからね。宿題がプレッシャーになっているのは子供だけではないのでした。

今週の野菜とレシピ

かわいらしいカボチャが入っていますが、品種名はぼっちゃんカボチャ。小人数の家庭にぴったりのサイズなので、人気があるそうです。煮物でもてんぷらでも、お好きなように・・・。ただし、Bセットの方には大きいものが入ります。

先週のゴーヤチャンプルーはいかがでしたか。今週は目先を変えて、揚げものにしてみましょうか。揚げると苦みがやわらぎます。ニガウリは6~7ミリ厚さの輪切りして、中の種をくりぬきます。ひき肉に塩、胡椒、お好みでカレー粉少々を混ぜ合わせたものを詰めますが、ニガウリの空洞に小麦粉をつけておくと失敗がありません。それに小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけて揚げ、ケチャップに玉葱のすりおろしたもの少々と醤油を加えたソースでいただきます。これは子供や、ゴーヤが苦手という方に人気があるみたい。

日光とうがらしは辛みが比較的まろやかなので、小口切りにして麺類や冷や奴の薬味として利用します。きざんだものを容器に入れて冷凍しておいて、少量ずつ使うという手もありますが、やはり生がいちばんなので、残ったものはとうがらし味噌にしてみませんか。とうがらしは小口切り、青ジソはできるだけたくさん用意してきざんでおきます。フライパンを熱してゴマ油を入れ、とうがらしとシソを炒めてしんなりしてきたら砂糖を入れ、味噌をからめます。ひき肉をいっしょに炒めても美味。食欲が減退気味でも、ご飯がたくさん食べられます。茄子を油炒めして、とうがらし味噌をからめてもおいしいですよ。

食欲の秋に備えて、今から体調を整えておかなくちゃね。