2004年8月第1週

台風号の居座り。沿岸部にお住まいの方は迷惑だったでしょうが、おかげでこちらはひさびさの雨に恵まれました。ほんとうに先週あたり、よくこれで野菜が育つなあ、と感心するぐらい、どこもかしこもパサパサに乾ききっていたのでした。極度の乾燥は虫の大発生にもつながります。

愛媛の野口さんのところでは、十数年ぶりの水不足が心配されていましたが、それもこの台風のおかげで解消。ただし直撃に近かったので、果樹に被害が出そうです。過剰と不足の間を行ったり来たり。最近の自然界はますます人間界に似てきましたね。ふつうという状態がふつうのことではなくなっている・・・。

太陽も雨も必要不可欠なら、正邪もバランスがとれていたほうがわたしたちには住みやすいのかもしれません。その微妙な均衡がノーマルという状態ではないか、と最近よく思います。正義も善も極端に推し進められればアブノーマル。害になってしまうんですね。

地球規模の温暖化や気候の変動が問題になるたびに、同時に思い浮かべるのは人間界の南北格差。金とモノにあふれた北と、食糧すら不足している南の状況です。これは自然にできたことではありません。南で起こっている内戦の火種はたいてい北の干渉がらみで、その介入が過去か現在かの違いがあるだけ。地球規模の不平等があるわけです。この国でもかつて貧富は国内問題でしたけど、それが見えなくなってしまいました。もちろん今でも貧富の差はありますが、飢餓線上をさすらうような“貧”はとうの昔になくなって、ブランド品を持てるか持てないかといった程度の差。その“貧”はどこへ行ってしまったかというと、国外へ持ち出されたのですね。

小さな例をあげると、金持ち日本へ輸出するエビを養殖するために沿岸のマングローブ林が伐採され、そのため地元の人が食べる魚が取れなくなり、日本製の高い缶詰が持ちこまれるといった構図。それからアフリカ諸国の飢餓に対しては大量の小麦が放出されるけど、それは食糧援助なんてなまやさしいものではないです。本来なら飢餓の原因を作った国々が賠償しなければならないところを、余剰穀物などでお茶をにごし、その援助物資に慣らされた後進国が今度は小麦の輸入国になるという寸法。金持ちは見返りのない寄付などしないんです。それはかつて敗戦国だった日本も経験済みのこと。家畜用の脱脂粉乳とパン給食で、食生活ががらりと変わりました。

まあ、金持ちになった日本人が金持ちに腹を立ててもしょうがないのですが、では金持ちになると国民全体が幸せになるかというと、どうもそうではないらしいところが問題なんですね。食糧が不足すれば栄養失調になる。これはとてもわかりやすいのですが、奇妙なことに食糧が豊富すぎてもそれと同じことに起こるようです。肥満と節食障害──個人的な見解ですけど、もしも地球全体に食糧が十分に行き渡っていたら、こんなことにならないのではないでしょうか。極度の不足が一方にある過剰というアンバランス。それがこういう状況を生み出しているのかもしれません。

ご存じのように食べものは腐ります。他人のものまで取り上げた、食べきれないほどの食糧はとくに腐りやすく、体の中で異様なガスを発生するのかもしれません。お金もまた腐る。不公平な仕組みの中で作られた過剰な金は、過剰な体内酸素同様、癌を生じ、過剰な散財でばら撒かれる爆弾はさらに南を傷つけ、北をも疲弊させます。

これだけバランスのわるい世界を作っておきながら、天候や気象だけにほどよいバランスを求めるのは虫がよすぎるってもんじゃない?このまま北が肥満し続けたら、その重みで地球がくるりと反転し、なにもかもがパアになるんじゃないかって、けっこう本気で心配していましたが、そうなったらそうなったで、いっそすっきりしていいか、と思うようになった自分がこわい。

そんなバランスのわるい世界の頂点にいるような米国が、9・11の教訓を逆手に取るように、アフガニスタンでもイラクでも劣化ウラン弾を撒き散らしています。ツインタワービルの破壊はショッキングだし、失われた人命もけっして少なくなかったけど、同じ痛みをどれだけの国で、どれだけの人々がこらえてきたか。どうしてこんな事件が起こってしまったのか。そういうところに思いが及ばないのが、収奪国家の収奪国家たるゆえんかもしれません。

ともあれ、クラスター爆弾といい劣化ウラン弾といい、戦争がいくら非人道的なものとはいえ、口先だけでもヒューマニズムを唱える者が使用していいものではありません。国際法で取り締まるべきだという意見は、及び腰の日本のマスコミですらしばしば取り上げられています。

またしても会員のHさんから署名用紙が送られてきましたので、賛同される方はご協力いただければさいわいです。

今週の野菜とレシピ

今週も夏野菜の定番が勢揃い。とくにレシピの必要なものもなさそうですが、茄子料理を2種。どちらも評判がいいのでよく作ります。

麻婆茄子

茄子3~4個に対して豚バラ肉、またはミンチを100グラム弱、緑豆春雨30~50グラム、ニンニクひとかけ、生姜は親指の頭ほど。春雨はお湯でもどし、包丁を入れておきます。茄子は半割りにして、2~3ミリの厚さに切りそろえます。

フライパンに油を熱して、みじん切りにしたニンニクと生姜を炒め、豚肉を加えてこんがり色づくまで炒めたら茄子を加えます。茄子は油を吸うので、足りなければ油を足してください。

茄子がしんなりしてきたら豆板醤、塩、オイスターソース少々で味をつけます。春雨を加えて火が通ったらもう一度味をみて、醤油で調整。香りづけに胡麻油少々をたらして・・・。ご飯のおかずに最適ですよ。

茄子の素揚げ

ほどよい大きさに切った茄子を素揚げして、あつあつのところにたっぷりのおろし生姜と醤油をかけるだけなのですが、これもおいしい。わが家では多めにつくって、残ったものにはオニオンスライスと青ジソを混ぜ、冷蔵しておくのですが、これはパンにもよく合います。多めに作ったつもりでも、残らないことが多いんですけどね。

この暑さももう少しの辛抱。盛夏というより、はやくも残暑の気配が漂っているみたい。残暑お見舞い申しあげます。