2004年7月第3週

いやあ、暑いのなんのって、クラクラしそうな猛暑でした。ビニールハウス内で仕事中の女性と、田圃の除草をしていた男性、いずれも高齢とはいえ、先週、熱中症で亡くなったそうです。

気象庁発表の最高気温は百葉箱の中のもの。芝生の上1メートルの高さに作られた風通しのいい箱の中の気温ですから、ビニールハウスは論外として、アスファルトの舗道など40度を越えているのでは・・・。町中では、それに加えてエアコンの室外機から出てくる熱気。これは苛酷だと思います。

このあたりも日中は人の姿がなくなって、まるでゴーストタウンのよう。犬や猫も徘徊をやめ、カラスも木陰に身をひそめます。暑さにもめげずパンをねだりにやって来るのはスズメだけ。身体が小さい分、体熱が放出されやすいのでしょうか。カラスもニワトリもこんなときは、口を開けてあえぐように体温を下げているのに・・・。だからといって冬の寒さに弱いわけでもない。おそるべし、小さなスズメの大きなパワー。わたしたちも見習いたいところですが、小鳥を真似るといってもねえ。

そんな暑いさなかでも、木陰に入るとほっとします。不思議とそこだけ風が流れているのは、大きく広げた枝が上空の風をとらえるから。そしてギラギラと照りつける陽光は葉面が吸収し、ついでに酸素まで放出するからぐっと気温が低くなる。炭素率と気温の相関関係は、大きな自動車道路のあるところほど暑いのでわかりますよね。

田圃も同様の働きをしています。水を張っているので、冷却効果はそれ以上かもしれません。この国がここまで暑くなったのは、かつて都市周辺にあった巨大な湖、すなわち田圃が宅地や道路になってしまったことと大きく関係しています。冷却装置が消滅したうえ、湖一面で光合成をしていた稲がなくなってしまったのですから、炭素率も急上昇。当然気温も上昇しますが、夜になってもそれが下がらなくなってしまった。農業の衰退は食料自給率ばかりでなく、環境問題でもあったわけです。

食料が安くなって多少生活が楽になっても、電気代がかさむようになったのではなんにもならないのにね。しかもその電気代が世界一高いんです。なぜなら電気事業法などという法律があって、電力会社は発電に要した費用の8パーセントを電気代に上乗せしてもいいことになっているから。つまり設備に巨額の投資をすればするほど、電力会社はもうかることになっていたのです。

だからプルマーサルなどという、金がかかりすぎて採算が合わないため、どこの国も断念したような計画に今でもしがみついている。電力の自由化でこれに歯止めがかかってくれればいいんですけど、どうなりますか。お国には別の目的があるのかもしれませんしね。

ウランを燃料にした発電だって、十分に問題があるんです。発電量の調整が効かないから、だいたい原発は揚水ダムとセットになっていて、夜間など電力消費が低下すると余剰電力でダムに水を持ち上げる。その水を落とすときにまた発電できる仕組みなのですが、夏場を除いてはただ落とすだけ。夜間また、それを持ち上げるために・・・。そんな経費も、わたしたちの負担になります。

冷却装置の関係上、原発を作るのは海沿いと決まっていますが、そのさい漁業権というのを電力会社は買い取ります。つまり漁師さんたちに、これをあげるから魚を取るのはあきらめてね、という保障金。漁業権を買い取ったからといって、電力会社が漁業などやるわけないから、その分わたしたちの食卓から魚が消えてしまうわけ。ただでさえ海から資源が消えつつあるというときに、200度以上になった冷却水を常時垂れ流されたら、そこは死の海です。

そして福島などにドライブすると、思いもかけないところに遮断機が用意されているのに気づきます。自動車道路にそれがあるのです。なぜか?それは万が一大きな事故が発生したとき、避難する人たちを県外に出さないため。なぜなら生身の人間が放射性物質になるからです。チェルノブイリ事故直後、大型船が沈没する事故や飛行機事故が頻発したのをご記憶ですか。あれは被災者たちを治療のために国外に出すといいつつ、じつは爆撃したのだといううわさ・・・。お国なんてそんなもの。そして各国のマスコミも、わかっていながらなにもいわない。そんなこわーい世界と隣り合わせ。それがあの業界なのかもしれません。

ついでにもうひとつ。残りものを冷蔵庫にしまっておくと、味が落ちますね。残りものだから、と思ってあきらめますが、じつはそれだけではなさそうなんです。つまり、電気はその原料となったものを記憶しているというんですね。水力発電なら水が記憶され、火力発電なら石炭の分子が含まれる。そしてそれがウランになると・・・。ええっ、と思うような話ですが、以前やかんの水を電気、ガス、薪の火力で沸かしてみたら、お湯の味がほんとにちがう。薪、ガス、電気の順でおいしかったのを思い出しました。やかんという金属の中にあるものを間接的にあたためているだけなのに、それだけの差が出るんです。電気が原料となっているものの性質を残していても不思議はないのかもしれません。

ちなみにその本のタイトルは“植物の神秘”(たぶん)、著者は失念しましたが、すぐに廃刊になりました。友人に貸したまま帰ってこなくなったので、再注文しようと思ったらなくなっていたんです。ああ、あの記憶に関する記述のせいだな、とピンと来たんですけどね。──今回、NPO“地球村”に関係していらっしゃる会員から、原発・プルサーマル関連の署名協力を依頼されました。同封しますので、賛同される方はご協力いただければさいわいです。

今週の野菜とレシピ

こう暑いと台所に立つのがイヤになります。インドネシアでは都市部でも電気冷蔵庫が普及していないから、みんな外食。屋台みたいなところで、山積みになった材料を指定して料理してもらうんです。アレとアレを炒めて、コレとコレはサラダにして、という感じ。こういう外食なら野菜不足にならないし、うらやましいなあ、と思ったしだい。でも、ここは日本ですからね。観念して厨房に入るとしますか。揚げものは暑いけど、暑いときは揚げものが妙においしい。揚げている間は暑くても、調理時間は短くてすみますから、そこは我慢。茄子を5~6等分して素揚げしたものに、おろし生姜と醤油をかけて・・・。これはあつあつが美味。残りものは冷蔵しますが、冷蔵庫で味が落ちるのを玉葱のスライスや青ジソでカバーして、翌日はサラダ感覚でいただきます。ね、こうすれば次が楽でしょう。

夏野菜のスープも暑苦しい夕刻ではなく、前日の夜間に作っておくと便利です。出汁になるベーコン少々と、野菜はありあわせ。玉葱、じゃが芋、ズッキーニ、ピーマン、インゲンなどなど。なくてはならないのはトマトですが、入れすぎると酸味が強くなるのでほどほどに・・・。塩、胡椒で味をつけ、最後に醤油少々加えます。醤油が少し入ることでさっぱりするんです。火をとめてからオクラを小口切りにして加えると、さらにおいしくなりますよ。これはあつあつでも、冷めたくなったものでも・・・。食欲のないときは、スープの中にご飯をぶっこんで食べるという手もあります。

そして暑いとくれば、出てくるのが冷たいビールですが、ビールのない枝豆もおいしいですよね。枝からもぎ取ったサヤを塩でもむと、できあがりの色がきれい。サヤの両端にハサミを入れて、塩茹ですると味がよく染みます。

新牛蒡も登場しました。これはサラダゴボウですからやわらかく、生食もできますが、きんぴらや天麩羅もおすすめ。牛蒡ってこんなにいい香りだったんだ、と再認識することうけあい。この香りを食欲増進剤にして、今週もがんばりましょうね。