あまりめでたくなかった正月

2005年1月第1週

あけましておめでとうございます。

こちらでは暮れに雪が積もったため、近年にはめずらしく、寒い正月になりました。雪に閉ざされて、否が応でも寝正月。でも、雪かきはいい運動になりました。切望していた寒さの到来です。

その雪もだいぶ解けてきましたが、山間や畑はまだ布団をかぶって寝ています。今朝も凍った道に足を取られて、尻餅をつきながらの散歩。四輪駆動の犬にくらべて、二足歩行はほんと脆弱、と思いながら帰ってきたしだいです。

暮れにはまた、スマトラ島沖地震のニュースが世界を震撼させました。正月のめでたさも半減しましたが、昨年は多発する森林火災、洪水、そして地震に津波と、どこもかしこも大荒れでしたが、今年はどうなりますか。

身の回りでもあまりいいことは起こりません。個人的には暮れに交通事故。わきから出てきた車にぶつけられ、落ち込んでいたら、それから十日もしないうちに猫が車に飛び込みました。交通量もない、両脇は畑という見晴らしのいいところ。そんな畑を横切って、大柄な赤トラがまっしぐらにこちらへ駆けてきます。ブレーキを踏みながら大きく迂回して、ああよかったと思ったとたん,後輪に猫がぶつかる衝撃があったのです。

猫はものすごいスピードで反対側の畑を横切って、木立の中に消えてしまいましたが、止まったところで息絶えたにちがいありません。そして正月が明け、久々の買い物に出たと思ったら、今度はセキレイが車めがけて飛んできて、フロントガラスに激突しました。なんだ、なんだ、なにが起こったんだ。

なにかわるいものでも憑いてるのかなあ、などと話していたら、知り合いがやはり正月に向けて帰省する途中、猫に飛び込まれてしまったそうです。40年も車を運転していて、こんな事ははじめてだとか。わたしも生まれてはじめてでしたが、それでも猫が車に飛び込む話は耳にすることがあります。でも、ツバメのように低空飛行する鳥が、運悪く通行中の車にぶつかることはあっても、セキレイみたいな鳥がどうして?

友人いわく。異変は人間界ばかりでなく、動植物の世界にまで広がりはじめているんじゃないか。崖っぷちから大挙してなだれ落ちるレミングのように、人も動物も破滅に向かって走り出しているんじゃないか、って・・・。

正月そうそう、縁起のわるい話で申し分けありません。でも、冒頭の「あけましておめでとうございます」が、今年ほど場違いに感じられたことがないのも事実です。今年が去年よりよい年になるだろう、とは思いにくいのもまた事実。それでも健気に助け合いながら、与えられた試練を乗り越えてゆこうとするところが、わたしたちの美点なのだと思います。人の底力は平穏なときよりも、逆境においてこそ発揮されるものなのですから。

そんなわけで今年もいろいろあるでしょうが、益子GEFという大きな野菜の鍋をつつく大家族が、つつがなく暮らせますよう、農家とスタッフ一同、お祈りしています。

今週の野菜とレシピ

ほうれん草や白菜は雪に埋もれた際、かなり傷んでしまいましたが、小松菜や春菊は足元から雪を溶かしながら立ち上がっています。植物の体温が実感されるのはこんなとき。また、おなじ冬野菜でも、雪に強いものとそうでないものがある、というのがわかりますよね。

雪や霜にあたって、小松菜は甘く、やわらかくなりました。小松菜と椎茸のスープ。大根と春菊のあったかスープなどなど・・・。青菜は身体があったまります。

ネギも同様、身体を芯からあたためます。。鍋にして残ったものは小口切りにして、ちりめんじゃこといっしょに炒めると常備菜に・・・。フライパンに胡麻油を熱して、ちりめんじゃこをかりっとなるまでよく炒め、ネギを入れたら半生ぐらいで火を止めます。ネギは炒めすぎると甘くなるので、ちょっと辛みが残るぐらいにするのがコツ。醤油をまわしかけ、たっぷりの煎り胡麻と七味とうがらしで調味します。あったかいご飯にのせてどうぞ。

今年もおいしく食べて、しなやかで強靱な身体作り。身体の健全なところには、病魔も災害も寄りつきませんものね。