石油が高騰してるけど・・・

2005年11月第1週

ようやく、南のほうも秋めいてきたようですね。こちらでも先週、急に気温が低くなって、あわててストーブの用意をしたぐらいです。

冬の嵐も到来し、雷とともに大粒の雹が落ちてきました。そのため、穴が開いてしまった野菜もあります。白菜などは外葉が穴だらけ。内側は大丈夫なんですけどね。このあたりでは、寒くなりはじめて雷が鳴ることなどなかったので、ちょっとびっくり。深夜、見る間に戸外が氷の粒で覆われ、真っ白になってゆく様は壮観でしたけど、異様でもありました。

天からは、じつにさまざまなものが降ってきます。宇宙空間から到達する電磁波や放射線、その他もろもろのエネルギーは別として、たいていのものは大気圏内で循環しています。わたしたちが地に捨てたものが、天からもどってくる・・・。氷の粒ができるには、核となるものが不可欠です。ケシ粒がなければ金平糖が作れないのとおなじ道理。窓越しに雹を見ながら、その中心に位置している粉塵のひと粒ひと粒。その中には、普段わたしがなにげなく捨てているものも入っているのかもしれない、と思いました。

天上からいろんなものが落ちてくる一方、地中からもいろんなものが出てきます。中でも世間を騒がせているのが石油で、前世紀から世界はこれを中心にまわりはじめたといっても過言ではありません。先進国の獲得競争は、今世紀に入って中国が参入したため、さらに混迷を深めているようです。そのためには戦争も辞さない。それがこじれたらこじれたで、今度はアフリカ大陸に熱い視線が注がれる・・・。

日本も例外ではありません。わたしは長い間、この国の食料自給率の異常な低さが気にかかっていましたが、それはけっして政府が無能だったわけでなく、すべては原油を獲得するために動いていたんだと知って、あっさり納得してしまったことがあります。石油がなければ農業機械も動かせないでしょう?食糧自給率は25パーセントもあれば十分。いざとなれば第二次大戦後のように配給制度を復活させるから、なんの問題もないんだそうです。

それと同時に脳裏を去来するのは、ネイテイブ・アメリカンの次のような言葉です。黒い油は地球の血液。血をこんなに抜いてしまったらどうなるか。人間なら死んでしまう。地球もだんだん力を失い、地上のものを支えきれなくなるだろう・・・。

ネイテイブたちは住処を追われ、不毛の砂漠に移動させられましたが、そこから石油が出てくると、さらに辺境の居住地に追いやられたのでした。わたしたちの生活は石油の恩恵なしには考えられないものになりましたが、同時にそれは環境破壊の元凶になりました。豊かなはずの産油国も、あまり幸福そうではありません。巨額の富を生みはするけど、それはごく一部の特権階級を潤すだけで、民衆の生活はいっこうに改善されないどころか、難民まで生み出す始末。

かつてアラビアンたちは、ときどき地表に達することのある黒い液体を「悪魔の血」と呼んでいたそうですが、地下深くあるものは地上の空気に触れると「魔」の性質を帯びてしまうのかもしれません。地球の生命力が「悪魔の血」に豹変するのです。巨額の富がからめば、人もまた変わります。

ウランやダイヤモンドといった、強い影響力のある石もそう。地球の臓器として地中にあるときは、その力はプラスに働いているんでしょうけど、人手に渡るとマイナスのエネルギーしか生み出さない。のみならず、売血やら臓器提供やらで、地球は日に日に弱っているのです。

というわけで、原油価格の高騰が世間を賑わし、わたしもガソリンスタンドに立ち寄るたびに、ただでさえ薄い財布がますます痩せてゆくのですが、でも、この現象はそうわるいことではないのかもしれません。生活が苦しくなるといっても、この国には明日の食糧にも困るような人なんていないのですから・・・。人為的なものではあるけど、台風や地震とおなじレベルの浄化作用。贅肉落としみたいものだと考えてみてはどうでしょう。

今週の野菜とレシピ

北海道からの玉葱じゃが芋の便が遅れています。今週中に到着すると思われますので、来週にはお届けできるでしょう。今しばらくお待ちください。

今週はひとまわり大きくなった大根、それにカブが入ります。大根は葉っぱの形状がああなので大丈夫ですが、カブの葉は雹の影響で穴が開いているかもしれません。でも、湯がいたり、塩でもんだりする分にはさしつかえありませんので、無駄なくお使いくださいね。

カブはスープ仕立てにしても、味噌汁でも、その甘みが際だちます。最後に葉っぱを青みとして加えてください。丸ごとポトフにしてもおいしいですよ。

フキのような丸い葉っぱがついているのがオカノリで、これは茎にぬめりがあります。さっと湯がいて芥子醤油で和えたり、湯がいた茎を細かくきざんで納豆に混ぜたり・・・。てんぷらにすると、海苔のような香りがします。このあたりがオカノリという名前の由来。野草に似た風味をお楽しみください。

やわらかい春菊は生食がおすすめ。春菊とりんごは相性がよく、これをフレンチドレッシングと醤油少々で和えると、香りのいいサラダになります。新しく会員になった方の中には意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、有機栽培とそうでないものとの差がもっとも顕著にあらわれるのが春菊で、香りがよく、特有の苦みやアクもありません。サラダ以外にも、肉や魚介類のつけ合わせとしてもご利用いただけます。

今週の野菜はさつま芋以外、すべて生で食べられ、生がまたおいしいのですが、春菊のつぎにお奨めしたいのが京菜。これは和風サラダになります。フライパンに胡麻油を熱し、ちりめんじゃこをカリカリになるまで炒め、煎り胡麻といっしょにザクザク切った京菜の上にのせるだけ。ちりめんじゃこの塩分があるので、醤油を少しずつかけて・・・。ご飯のおかずになるサラダです。

来週はサニーレタスが入ります。ほんとうは今週入る予定でしたが、雹に痛めつけられたので、少し回復を待ってから・・・。ほうれん草も早く復活してくれるといいですね。