暴走族に未来を託す

2005年4月第2週

寒さがやわらいだかと思うと、いきなり初夏の陽気。箱の中の野菜に支障はなかったか、心配になるほどでした。

暑いか寒いか。その中間のほどよいあたたかさ、気持ちのいい陽気というのがなくなってしまいましたね。そういや、わたしたち人類も、ほどほどというさじ加減を忘れてひさしい。世界地図を広げてみると、極端な過剰と不足がひと目でわかります。富と物が集中する場所と、ないったらほんとになにもない場所と・・・。さらにその地域内でも広がる格差。

そして貧しいものはもちろん、富めるものも幸福かといえば、けっしてそうじゃない。それは、両者がおなじ病根をかかえこんでいるからだと思います。暑すぎるか、寒すぎる。ほどほどで満足しないから過剰になって、過ぎたるは及ばざるがごとし、となるわけで、のみならず弱者にツケをまわすから、おそろしくバランスがわるくなって、それが天候にも反映されているのでは・・・。

経済のグローバル化などという欲望のばけものみたいなものが、ますます地球の温度差を拡大しそうです。灼熱地獄か、寒冷地獄か。どっちに転んでも地獄なんです。もの憂い春ですねえ。

そこで、憂さ晴らしにちょっとおでかけ。

事務局から徒歩数十秒のところに小学校があります。そこを過ぎると川につきあたり、橋を渡ると児童公園があるのですが、校庭も、川沿いの土手も、公園内も桜が満開。ぶらぶらと花の下を歩いてきました。

公園は花見でにぎわっていましたので、河原でおにぎりをほおばって、ついでにごろりと横になって、心地よい水の音、カモの声、遠くの歓声や、ときおり通りすぎる車の音などを聞いているうちに、ついうとうとと眠りにひきこまれ・・・。流れのあるところって気持ちがいいねえ。河原乞食って、案外いいのかも、などと話しながら帰ってきたしだいです。

そんなわけで、今はほんのり桜色の倦怠感。春特有の半熟卵状態です。政治がどうあれ、さらさらと川が流れ、河原に花が咲きこぼれているうちは、ヒトはどうとでも生きてゆける。でもね、そのきれいな流れもよく見ると、深みに自転車が沈んでいたり、なぜか向こう岸に布団が丸めて置いてあったり・・・。

そして河原では菓子パンの袋、ペットボトルが風に吹かれ、まるで生きものみたいに動きまわっているのです。政治がわるいなんて、口が裂けてもいえません。

山の中はあいかわらずゴミ捨て場と化してますし、道路に面した田畑もまた空き缶とペットボトルがごろごろ。田植え前、農家がいちばんにやらなければならないのがゴミ拾いだなんて、悲しすぎるでしょ。ヒトそのものが荒廃しているみたいです。親が子供の見ている前で、平気でゴミを捨てるんだもの。犬や猫まで捨ててしまう。それを見て育った子供は、将来おなじようにゴミを捨てるし、年老いた親も捨ててしまうんでしょうね。たぶん、なんのためらいもなく・・・。

山の中のちょっとした空き地は、元気のいいおにいちゃんたち、俗にいう暴走族のたまり場になっていて、そこに落ちているのはエロ写真集、シンナーが入っていたリポビタンDのビン、たばこの吸い殻などなどですが、先日、ついにかれらと出会ってしまったのです。おっかねえー。でも、かれらのひとりがうちの犬とたわむれはじめたので、わたし、勇気を出していってみました。

酒もたばこもかまわない。交通法規も破っていい。それはオトナが作った法律だから、オトナの都合のいいようにできている。でもね、自然のオキテは破っちゃダメだよ、罰があたるから、みたいなことをいったわけです。自然のオキテってなんだ、というから、ゴミを捨てないこと、といったら鼻で笑いやがったけど、数人がそそくさと散らかしたものを袋に入れはじめたんです。自分たちのものではないものまで拾いはじめたから、うれしくなって、そうだそうだ、その調子。日本の将来はあんたたちの肩にかかっているんだ、と叫びそうになりました。

またあの子たちに会いたいな。次に会ったとき、またいろんなものを散らかしているのかもしれませんが、それでもいいのです。

今度はなにもいわなくても、わたしがゴミ拾いをはじめたら、かれらも黙って拾いだす。すぐにポイ捨てグセがなくなるとは思いませんが、かれらが父親になったとき、きっと子供にいうでしょう。そんなところにゴミを捨てたら罰があたるぞ。

一条の光が差しました。けっ、うるせえババア、と思われてるんでしょうけど、なんとでもいってくれ。わたしは内心、企業戦士も国会議員も学校のセン公も、学歴などでなく暴走歴で選んだほうが、世の中きっとよくなる、とひそかに思っているんです。だって、現行のシステムに順応している連中じゃあ、なにも変えられないでしょうからね。

わたしも今日から不良になります。もうなってる、という声があちこちから聞こえそうですけど・・・。

今週の野菜とレシピ

今週はアートグリーンあぶら菜紅芯菜とアブラナ科の野菜が勢揃い。春一色です。

あぶら菜はさっと湯がいて、まな板に広げて粗熱をとってから包丁を入れ、醤油と胡麻油少々で下味をつけてから、もみ海苔を加えて和えます。先週にひき続き、韓国海苔を使うと、微妙な風味がプラスされて美味。

葉先がちぢれているのがアートグリーン。こちらはしめじといっしょに炒めてみましょうか。豚肉とも相性がとてもいいです。また、しめじとコンビでお吸いものにしてもおいしいですよ。

春はアサリがおいしくなります。ニンニクひとかけといっしょに炒め、アサリが口を開いたら紅芯菜を加えてパスタにからめると、ボンゴレの春バージョン。見た目もきれいです。

ワカメは海の野菜ですが、これも今が旬。三陸の荒波にもまれたワカメはひと味ちがいます。塩抜きのため、水につけてから使いますが、1袋を一度にもどすとかなり大量になるのでご用心。すこしずつ、必要に応じてお使いください。保存は冷蔵庫の野菜ボックスで・・・。

水でもどしたワカメに包丁を入れ、針のように細く切った生姜を散らして、ただ醤油をかけるだけ。これがとてもおいしい。こんな簡単な料理が許されるのも、天然ワカメのありがたさです。

ワカメは半分ぐらい残しておいて、来週、タケノコといっしょに使うという手もあります。来週は、大きめの鍋を用意してくださいね。