蛍の光

2005年6月第1週

さわやかな晴天。心地よい風が吹いていますが、今週あたり、梅雨入りなんだそうです。気象庁のいうことだから話半分。にしても、今年はちょっと早いですね。

低気圧の影響で五月晴れが少なかったからでしょうか、羽虫が大量発生しています。蚊も多く、閉めきっているはずの室内でも、羽音をよく耳にします。不思議なのは、出入りが自由な犬や山羊のところより、密室みたいなところにかぎって蚊がいること。わが家の謎のひとつで、わたしも寝室をカラスのキョロちやんに開放したとたん、明かりを消すと同時にプーンという、あの不快な音がなくなりました。

無防備は最高の防御、などと口ではいいつつ、けっこう防備に砕身しているのを笑われていたのかもしれません。おまえ、いってることとやってることが逆じやないか、って・・・。でも、最小限の防御はしておかないと、山羊や犬がフィラリアになっては困りますからね。

わが家には山羊の水飲み場のほかに、睡蓮鉢、花壇の水やり用の雨水受けなど、ボウフラが発生しやすいところがいくつもあるのですが、そこには麦飯石と粘土クズを入れてあります。麦飯石は溜め水を腐らせないための酸素供給用。そして粘土はずばり、虫除けです。したがってミジンコが発生することがあっても、ボウフラは影も形もなくなるのです。

そればかりか、風呂桶を利用した山羊の水飲み場には、いつの間にかカワニナが生息するようになったらしく、夏の夜には蛍の姿も・・・。周囲の田圃が農地改良で区画整理され、用水路もコンクリートでかためられてしまったため、エサになるカワニナが生息できなくなってしまったのでしょう。このあたりでも蛍の光など、滅多にお目にかかれなくなってしまいました。昔は川全体が光って見えるほど群生し、それはそれは美しかったそうですが・・・。

もっとも小さな水飲み場では蛍の光もちらほらで、かつての天然ネオンサインにはほど遠いのですが、それでも十分神秘的。庭先やベランダに水瓶があるお宅でも、蛍を呼んでみてはどうでしょう。蛍はともかく、ボウフラの発生が防げるだけでもいいでしょう?

粘土は陶芸用でいいのですが、入手が困難なら園芸店などにあるゼオライトでも代用できます。雨が降ると水たまりになるところなどにも、撒いておくと効果的です。また、犬小屋やその周辺に撒いておくと、ノミの発生も防げますよ。下がコンクリートになっている場合には、粘土またはゼオライトと水をバケツに入れておき、その上澄みを撒いておけば大丈夫。

この上澄み液は、子供がプールなどで毛ジラミをもらってきたとき、シャンプー後、リンスの要領で使うこともでき、薬品などよりはるかに効果的。お疑いの向きは、象が泥浴びをするシーンを思いうかべてみてください。あれは虫除けでしたよね。カーペットのダニ対策も、お天気のいい日にこれをスプレーしておきます。

梅雨時にもうひとつ、気になるのは臭いです。とくに台所や洗面所の排水溝からあがってくるイヤーな臭い。これはね、寝る前に鶏糞を少しずつ落としておくと、翌朝にはすっきりさわやか、臭いが消えてしまうんです。発酵鶏糞の中にいる微生物が、臭いの元になるバクテリアを食ペつくしてしまうんですね。えっ、鶏糞なんかで?そう、鶏糞なんか・・・。数年前、車のトランクに生ゴミの袋を入れたところ、袋に穴があいてたんでしょうね。トランクルームのみならず、車内全体に猛烈な悪臭が充満したことがありました。そのとき、ヤケクソでやったことが毒をもって毒を制す。鶏糞を水にといて、車内にスプレーしたところ、一時間もしないうちに臭いが消えていたのです。

以来、なにかというと鶏糞のお世話になっていますが、マンション暮らしの人にまで鶏糞は勧められませんものね。園芸店などに行くと、堆肥などの肥料作りに使う微生物資材が並んでいます。小さな箱入りなので量もほどほど。排水溝に使う場合は、お出かけ前か就寝前。少量を50ccぐらいの水といっしょに流しこんでおいてください。

せっかく無農薬の野菜を食べているのに、暮らしの場が薬剤にまみれていたのでは無意味だし、野菜にも顔向けできません。もし手こずっていることがありましたら、お役に立てることもあるかもしれません。遠慮なく事務局宛にお電話ください。

今週の野菜とレシピ

タラの芽が入ります。かつて、幻の山菜とまでいわれたタラの芽も、最近では山形あたりで栽培されるようになり、都会のスーパーにも出荷されるようになりました。しかし、ハウスの中で栽培されるタラの芽と、自然の厳しい山中からもたらされるものとでは、味も香りも比較になりません。

青山さんは山に入るとまず、クマの糞を探すそうです。それが乾いていたらOKですが、新しいものだと場所を変えねばなりません。人の存在を知らせるために、トランジスタラジオも欠かせないものだそうです。そういうところで採集されたタラの芽です。

タラの芽というとすぐに思い浮かぶのが天鉄羅ですが、それだとせっかくの味と香りが半減してしまいます。そこで春巻きの皮を用意して、生ハムといっしょに巻いて揚げたところ、香りは濃厚。ほのかな苦みと生ハムの塩分も絶妙にマッチして、以来、タラの芽といえばこれ。ぜひお試しください。

先週は絹さやでしたが、今週はスナップエンドウが入ります。絹さやより肉厚で甘みも強いので、スジをとってさっと湯がいたら、醤油をまわしかけ、マヨネーズを添えただけでも美味。

フキのような葉っぱをしたのがオカノリ。茎の部分にぬめりがあるので、ヌルヌル系が好きという方はおひたしで。反対に苦手という方はかき揚げでお召しあがりください。揚げるとほのかに海苔のような香りがします。

春菊は鍋ものによく使われるので、冬の野菜と思われていますが、ほんとうの旬は今。出はじめのやわらかい葉っぱは生食に最適です。韓国では肉料理に生の春菊がたっぷり添えられますが、チャーハンなどに刻んだ生葉をたっぷり入れてもおいしいですよ。事務局の昼ご飯では、リゾットにもこれを加えます。

ついでにお昼によく作る即席漬け物。大根を半月に薄く切って、きゅうりも斜めに切り、ニンニク小ひとかけもスライス。これをボウルに入れ、醤油をまわしかけるだけなんですが、さっばりして蒸し暑い日にはとくにおすすめ。ニンニクの香りが妙にさわやかなんですよ。

来週は、お待たせしていた好子さんの玉葱が入ります。新じゃがも今月中旬には出てきそうです。

お知らせ

すべての作物が例年より遅れ気味ですが、またらっきょう漬け梅干し梅酒作りのシーズンがやってきます。注文を受けつけていますので、お早めにご予約ください。

お届けは6月中旬以降になります。