ウサギのモモ・2

2005年9月第2週

今年は秋の訪れが早い、とにらんでいたのですが、大ハズレ。朝夕、涼しくなったはいえ、まだまだ残暑が続きそうです。

今年は春先の地温が上がらず、タケノコやアスパラガスが不作。そういう年は凶作、と相場が決まっているので、夏は短いと思いこんでいたんですね。でも、この残暑のおかげで、夏のはじめ生育が遅れていた稲も穂をつけ、しだいにうつむきはじめました。例年通り、今月末には稲刈りになるかもしれません。

それよりも深刻なのが四国の渇水。仲間の柑橘農家があえいでいます。接近中の台風14号だけが頼りといいますが、今度は過剰で大洪水、なんてことにならなければいいんですけどね。

わが家の一員になった子ウサギのモモ。旺盛な食欲で、鉢植えをどんどん坊主にしてゆきます。その小さな体のどこに入るのか、と思われるほど。うちの鉢植えはほとんどが10年選手。最長のものはシダに似た観葉植物で、あらためて計算してみたら、なんと18年にもなります。

みんな巨大化していますから、鉢を変えるたびに、これ以上大きくなったらもう入れる鉢がないからね、と釘をさすのですが、どいつもこいつも聞く耳もたず。いよいよ鉢がなくなって、特大のポリバケツの底に穴を穿ち、鉢がわりにしている「幸福の木」など、今やバケツの形が変形しているのですが、あんなもの、わたしひとりの力ではどうにもなりません。こればっかりはウサギも手が出せませんしね。

それ以外のものはみんな坊主。ブライダルベールなど、とくにお気に入りらしく、直径が1メートル近く、長さはそれ以上になっていたものをきれいに平らげてしまいました。おかげで持ち運びは楽になりましたけど・・・。坊主になっても根は生きていますから、ウサギの手の届かないところに移動すれば、そのうち復活すると思います。

畑の隅からタンポポや、オオバコ、ヨモギ、クローバーといった青草を毎日のようにプランターに移植して与えていますが、みるみる消滅。山羊のユーリにはかないませんが、草食動物というのはかなりの大食いみたいです。まあ、あんなカロリーの低いものを食べるのですから、量も必要なんでしょうけどね。

はじめて山羊を飼ったとき、豊かな感受性や頭のよさに驚いたものですが、ウサギも同様。いっしょに暮らしてみないとわからないことって、けっこうあるみたいです。

まず、排泄物のこと。ウサギの糞は山羊とおなじでほとんど無臭。問題はないのですが、おしっこは臭います。どうしようかな、と思いながら1週間、様子をみていましたが、おしっこもうんこもところかまわず、ではないのですね。ちゃんとトイレを決めているようで、そこに排泄物が集中してました。部屋の隅、鉢植えが並んでいるコーナーの奥がそれで、ちょっと掃除には不便ですが、そこに猫用トイレを置いてみました。すると猫同様、おしっこに砂をかけているではありませんか。室内飼いが可能と判明。

もうひとつ発見がありました。ウサギも鳴くんです。鳴きウサギというのは知ってましたが、ふつうのウサギは声を立てないと思っていたので、これは大発見。名前を呼ぶと、キュッキュッと小さな声が聞こえてきます。体が小さいので、どこに隠れているかわからないのです。子猫の声にも聞こえます。それとも虫かな、と思っていると、モモが出てきて、今度は目前で鳴きました。ちゃんと返事をしていたんです。

キュッキュッキュッキュと、長く鳴いているときは物陰から出てきません。そういうときは、眠いんだよ、とでもいってるのでしょうか。今、眠いんだよ、お腹がいっぱいだよ、遊び疲れたんだよ・・・。しばらくはウサギ語のお勉強が続きそうです。

最近、カラスのことが話題になりませんが、キョロちゃんはどうしてますか、というお手紙をいただきました。

あっけないほど順調に、周囲のファミリーに迎え入れられて、行動を共にするようになったので、話題になりようがなかったのですが、いつまでも周囲にとけ込めず、室内でもたもたしながら話題を提供してくれるより、本人のためにはこのほうがよかったはず。でも、朝夕は室内に帰ってきているらしく、なつかしい「おふくろの味」を啄んだ痕跡が残っています。

外界のカラスの子供も、ほとんどが巣立って、親のテリトリーから出て行きました。たぶん、キョロちゃんもほかの子供たちといっしょに、若者集団に入ったのだと思われます。そのせいか最近、カラスたちの動きがちょっと変化しはじめました。

毎朝、わたしが寝ている部屋の真上に、カラスが食事にやって来ます。かれらは朝が早く、6時ぐらいにやって来るので、ご飯は夜のうちに屋根の上に放り投げておくのですが、最近はそれより早く、5時前後にやって来るグループがいます。たぶんそれが若者集団で、朝食時間を親たちとずらしているだと思います。かち合えば怒られますし、後になったのでは食べ残しにしかありつけませんからね。

カラスの足音って、けっこう大きく響くんです。そのうえオハヨー、オハヨーと鳴き交わすので、わたしも目がさめるんですね。5時?日が短くなっているのに、なんで朝が早くなったんだろう、と思いながらまた眠りに落ちて、今度は6時、またガサゴソ、オハヨーで目がさめて、それで起きりゃいいのに性懲りもなくまた眠りに落ち、7時の目覚まし時計でやっと起き出すという不精者。農家の人たちには内緒ですよ。

キョロちゃんがどちらのグループに属しているのか、ほんとうのところはわかりませんし、若者たちがいつもの時間に食事をすると思って、案外親たちがひと足早く来ているのかもしれませんが、いずれにせよ、箪笥の上に用意したご飯が減っていたら、キョロちゃんが元気にしているという証。毎晩、ゼリーの入っていたガラスの容器に、パンとチーズをミルクでのばし、そこに鰹節を混ぜるという、ちょっと気持ちのわるいキョロちゃんの好物を用意しています。

でも、そんなものは一人前のカラスにとってはオヤツ程度。ちゃんとした食事は、みんなといっしょに摂れるようになっているはずです。来春には、奥さん同伴で現れるかもしれません。そうなったら、わたしもオヤツの内容を変えたほうがよさそうですね。

今週の野菜とレシピ

今週は生の落花生が入ります。殻ごと塩茹でしてみてください。塩はかなり濃いめにします。海水ぐらいの濃度。沸騰したら火を弱めて、10分から15分。そのまま冷まして、冷めたら水を切って冷蔵庫に入れておきます。酒のつまみや箸休めに・・・。ローストした落花生とはまたちがった味わいで、どちらが好きかは意見の分かれるところですが、わたしはこちらのほうが好き。

殻から豆を出し、皮つきのままたっぷりの油で炒め、同量の砂糖と味噌をからめたものがピーナッツ味噌。こちらは甘口ですが、ご飯のおかずになります。

茎に空洞のある空芯菜は、ニンニクといっしょに強火で炒めたり、豆乳を使ったクリームスープにしたり、もっぱら加熱するものだとばかり思っていましたが、一夜漬けにしてみたら、シャキシャキと歯ごたえがよく、意外と美味でした。今度はキムチ風にしてみようかな、と思っています。夏のホウレン草の異名をとる空芯菜、みなさんもいろいろ工夫してみてください。