台風とハリケーン

2005年9月第5週

週末には台風17号が関東地方に接近しました。でも、東にそれてくれたおかげで、なんの影響もなかったのですが、赤道付近ではまた新しい熱帯性低気圧が発達中。台風、サイクロン、ハリケーンと、上陸する場所によって名前が変わりますが、発生するのはおなじ海域で、いわば地球の土手っ腹。そこから左巻きの渦が次から次と生み出されます。まるで地球がお腹でも下しているかのよう・・・。

今回、とくに被害が甚大なのは合衆国で、カトリーナの次がリタ。悪女か女神か知りませんけど、もう彼女たちの妹が誕生し、発達しながら動きだしているといいます。いってみれば自然界の同時多発テロ。人の力でそれをやると暴力の応酬になり、ますます混迷を深めるものだから、とうとう自然界が重い腰を上げ、地上のバランスをとりにかかったんでしょうか。

政治が強権的になってくると、人の意識が歪曲するせいか、天災が多発するようになるといいますから、この国も安心してはいられません。ただ、天災にせよ人災にせよ、被害に遭いやすいのが低所得者層だったり、老人や子供だったり、常に弱者であるというのが悲しいところ。でも、そういう人たちに手をさしのべることによってしか、人の心というのはひとつになれず、世界もまた、人と人が支え合うことによって、ようやく調和を取り戻すことができるのかもしれません。

台風は農家にとっても大きな脅威。でも、わたしたちは台風が関東地方に接近中、というニュースを聞くと感謝することにしているんです。変に聞こえるかもしれませんが、浄化のエネルギーに対して畏敬の念を抱くと同時に、それをありがたいと思うんですね。

そりゃあ、平穏無事に越したことはありません。でも、平穏無事というのは、わたしたちが病気ひとつせず、せっせと働き続けるようなもので、人がそんなことを続けていたら、ある日突然ポックリ逝ってしまう。人間が病気になったり泣いたり笑ったりしながら、心身のバランスを取るように、地球もまた、気圧を上げたり下げたり、体内のマグマを動かしたり、噴出したりしないことには存続できないのではないでしょうか。ある日突然、崩壊して宇宙の塵となってしまったのでは困りますものね。

それに加えて、嵐というのはただ単に大気を浄化するだけでなく、人の意識をも浄化しているんじゃないか。なにしろ人というのは、地球にとってもっとも影響力のある生きものですから、そういう連中の欲望やら独善を野放しにしておくと、自分の身が危うくなる。当然、修正を加えようということになるでしょう?

だから、病気を天からのラブレターと捉え、生活を変えることで健康を手にすることができる人は、天災に遭遇しても立ち直ることができるんです。格好の例が芦屋の井上さん。順調に酒屋を営んでいましたが、クローン病と診断された瞬間、人生に絶望。しかし、それを機に食生活を変え、ビワの種という秘薬によって病気を克服したと思ったら、今度は阪神淡路大震災。なにもかも失いましたが、廃材を利用した店舗で見事に復活。震災前より顧客が増えて、今は独自に考案したビワ種の微粉末で多くの人を助けています。

天災が戦禍などの人災と異なるもっとも大きな相違点は、そこにあります。人の中に眠っているものを覚醒させること。意識の上っ面でうごめいている寄生虫みたいな雑念が、きれいさっぱり吹き飛ばされた後ですから、目覚めたばかりの小さな種もすぐに芽を出し、やがて大きくなってゆく・・・。一時的には地獄を見ても、それ以前と以後とでは、幸福の度合いがちがうと思うんです。

三宅島の、新潟の、ニューオーリンズの被災者たちも、時がたつにつれ、ああ、そうだったのか、あんなことがあったおかげで今があるのか、と思うようになってくれるといいですね。

今週の野菜とレシピ

全国的に秋風が立つようになり、野菜セットもようやく秋めいた内容になってきました。そろそろ青菜の味噌汁が恋しくなってくるころですから、小松菜がうれしいですね。間引き白菜も味噌汁にうってつけ。青菜の味噌汁など、若い人にはもうなじみのないかもしれませんが、日本人ならDNAが記憶しています。舌先で感じる味覚とは別に、身体で感じるおいしさというのがあるとすれば、これがまさにそれ。あたたかいご飯と味噌汁で、夏の疲れを癒してください。

モロヘイアは遠くなった夏の思い出みたいな感じで、今となっては季節はずれかもしれませんが、リピーターが多いので、もう一度だけ登場させてみました。てんぷらにすると、香りがよくておいしいですよ。

青山さんのカリフラワー。暑い時期に生育したので、虫から身を守るためでしょうか、身がしまっています。それでも、ごくまれにヨトウムシが紛れこんでいることがありますが、その際は申しわけありません。箸でつまんで捨ててください。湯がくときには塩といっしょに酢を少々、それに小麦粉もスプーン1杯ぐらい水の中に入れておくと、ふっくら色白に茹であがります。

しその実は2~3時間、水に浸けてアクを抜いてから使います。青唐辛子や生姜といっしょに、醤油に漬け、あったかいご飯にのせると最高。名づけて田舎のキャビア。作り方は簡単で,しその実1パックに対して唐辛子1本、辛いのが苦手な向きは半分ぐらいを小口切りにしてください。生姜はひとかけ、親指の頭ぐらいのものをみじん切りにして、しその実と混ぜ、小さめのガラス瓶を用意。ぎゅっと握って余分な水分を取り、押しつけるようにして瓶に詰めたら、ひたひたまで醤油を注いでできあがり。しその実を詰めこむのは、すかすかにしておくと醤油の量が多くなりすぎるから・・・。翌日から食べられます。残ったお刺身など、これにまぶしておくと、ご飯がとてもおいしくなります。できれば新米にのせたいものですね。

その新米ですが、こちらは断続的に雨が続いていたため、なかなか稲刈りができませんでした。今、その真っ最中ですので、もう少しお待ちくださいね。