夏バテ

2005年9月第3週

台風14号、このあたりはほとんど影響もなく、心配されていた愛媛のほうも暴風圏外だったそうで、大地は湿潤、水瓶にはたっぷり貯水ができたそうです。これで十数年ぶりの水不足も一気に解消。被害に遭った方々には申しわけないのですが、今回は恵みの台風でした。

それを境に気候もしだいに秋めいて、朝夕など半袖では肌寒く感じられるようになりました。そろそろ夏の疲れが出てくるころです。いつもより1時間ぐらい早く布団に入る。朝食をしっかり食べる。機会があれば昼寝をするなど、できるだけ身体をいたわるようにしてくださいね。

そういうわたし自身が不調なんです。ようやく暑い夏が終わって、これから涼しくなるというときに、いきなり目眩。妊娠初期のつわりと船酔いが同居しているような状態、とでもいったらいいでしょうか。日常生活に支障はありませんが、ずっとそんな感じです。

グラッときて、とっさに思い浮かんだのがメニエール症候群。インターネットで症状などを検索していたら、好子さんが来て、そんなことしてるヒマがあったら医者に行け、と知り合いの内科を紹介してくれました。とても丁寧に診察をする先生で、直接の原因は低血圧症ですが、半月前に猫を亡くしているので、自律神経も失調気味。夏の疲れもあるだろうけど、引き金となったのはそれではないか・・・。

ちらっとカルテを盗み見たら、「ペットロスト症候群」などとあって、自分では全然そんなつもりはなかったんですけどね。当の本人がすっかり立ち直っているつもりでも、そういうことってあるんでしょうか。そして、もしそれが当を得ているのなら、かつて数年にわたって悩まされ続けた原因不明の皮膚炎は、わが家の帝王であり、ひとつの時代の象徴でもあった山羊の死に起因していたのかもしれません。今いるユーリのお父さん。とにかく大きな存在でした。

ペットが死ぬと、最前を尽くしたつもりでも、ああしてやったほうがよかったのではないか。あのとき、自分がああしていれば、こうはならなかった、と後から後から愚にもつかない後悔が出てくるものです。そういうどぶ泥から浮かび上がるメタンガスみたいな泡を、ひとつ、またひとつと消していって、きれいにしたつもりでも、不衛生きわまりないどぶ泥は心の中に残っているわけで、もしかしたら病気というのはそういうところからも生まれてたんですね。

では、ペットなどいないほうがいいかというと、それは本末転倒。ペットがいるから、泥にまみれたどぶ川が、水のきれいな小川になって、身体中を流れていたのです。ペットの死が川の流れをせき止めても、それは一時的なこと。またすぐに流れはじめて、きれいになるはず。むしろこういった体調不良は、身体をゆっくり休ませろというサインでもあるわけですから、気長にこの船旅を続けたいと思います。プールやカジノのある豪華客船でないのが、ちょっと残念なんですけどね。

今週の野菜とレシピ

今週末は中秋の名月。それに合わせて里芋を掘ってもらいました。芋はまだ小粒なので500グラムずつと少量ですが、煮っころがし、衣かつぎなどで、ススキ・オミナエシ・ワレモコウといった秋の野草といっしょにお供え。たまには月見酒もいいもんですよ。

さつま芋も登場しました。初物はやっぱりふかし芋にして、お月さまに供えてからにしましょうか。でも待ちきれない向きは、1本ぐらいてんぷらでいただいても罰は当たらないと思います。

つるむらさきは特有の匂いが好きか、嫌いかで大きく意見が分かれる野菜ですが、この事務所ではお昼によくつるむらさきうどんを食べています。うどんのおつゆを残す人も、これはきれいに飲み干しますから、つるむらさきの魔力にちがいありません。

つるむらさき1袋でだいたい2~3人分。豚肉50グラム(なければ干しエビ20グラム、生のエビなら100グラム)ニンニクひとかけ、用意します。これに茄子やピーマン、玉葱などが加わってもOK。ただし、あまり具だくさんでも食べずらいので、人数が増えたら野菜の種類も増やすようにすればどうでしょう。

つるむらさきは茎から葉を取り除きます。茎は斜めに包丁を入れ、葉っぱのほうはざっくり2~3等分しておくだけ。厚手の鍋に油を入れ、スライスしたニンニクを炒め、香りが立ってきたら細かくした豚肉、またはエビなどを炒め、つるむらさきの茎、最後に葉っぱを入れて、1人分およそ2カップの水を入れます。煮たってきたらうどんを入れて、弱火で煮込みながら塩、唐辛子、オイスターソース少々で調味。仕上げにナンプラーと胡麻油をたらしますが、クセのない和風が好きという方は、代わりに醤油をたらしてください。

これでつるむらさきが苦手、という人が半減するはず。空芯菜もさっと湯がいて、鰹節と醤油といったオーソドックスな料理法が意外と受けたりして・・・。ともあれ青いものをたくさん食べて、上手に夏から秋へ、季節を乗り換えてくださいね。