続・カラスの子

2005年5月第4週

5月といったら、例年なら初夏。ところが今年は肌寒いぐらいで、嵐のような豪雨もありました。晴れた日も暑いというよりさわやかで、これをもって異常気象と称する人も・・・。でも、ちょっと待てよ。昔の5月って、こんな感じじゃなかったっけ?

5月といったら、まだ春の延長線上。田植えも6月になってから、というところが多かったと思います。ただ、この時期に豪雨というのはなかったかもしれません。雨はしとしとと降るものだったのではないでしょうか。

なぜなら、スズメは今なお雨樋に巣を作っているからです。雨が降っても、以前なら巣が流されるということはなかったのでしょう。雷雨が到来することには、ヒナも巣立っていますしね。ところが、ろくに羽も生えそろわないうちに雷雨があったりするもんだから、大量の雨水といっしょにヒナたちが雨樋からはき出されてしまう・・・。おそらく即死。そういうヒナたちに、今年はたくさん遭遇しました。

時代の流れになかなかついて行けないスズメたち。ヘビもまた、車社会と農業の機械化にはなかなか対応できないようです。そういうわたしもIT社会の落伍者なのかもしれませんが、路上のヘビや硬直した鳥のヒナ、行き場を失ったクジラなどを見ていると、どうしても他人事とは思えない。人類の近未来を暗示しているような気がしてくるんですね。

これをマイナス思考というか、杞憂と呼ぶか。5月のさわやかな空の下でなにいってるんだ、と一喝されたら、いっそ気持ちがいいかもしれません。

というわけで、明るい話題。

今年はタケノコが不調だったので、米の不作が予想されていますが、ここへきて気温が上がってきたせいか、田圃でちぢこまっていた稲苗が背丈を伸ばしはじめました。水面に落とす影がしだいに長くなって、やがて水面が見えなくなるまで・・・。この時期が、農家にとってはもっとも手のかかるときなんでしょうが、傍観者にはもっともうつくしく見えるとき。カエルやタニシ目当てに、カラスやサギの姿もよく見かけます。

ところでこの冬、居残りしていたサギの幼鳥はまだ仲間といっしょになれないのか、単独行動しているみたい。去年のヒナは羽がまだ白くなく、灰色なので目立つんですね。間もなく羽も生え替わり、ほかのサギと見分けがつかなくなるんでしょうが、冬のころよりひとまわり身体も大きくなって、悠然と滑空する姿など、長旅でやつれ気味のオトナたちより貫禄があるようです。

うちのキョロちゃんもあんな風になってくれるといいなあ、と思いながら見ています。キョロちゃんって?はい、先週お話ししたカラスのヒナです。好奇心が旺盛で、よく動きまわるのでキョロちゃん。脚の怪我もだいぶよくなって、足先の一部が欠落していますが、それほど支障もないようです。食欲も旺盛になってきて、早朝からご飯、ご飯と起こされるようになりました。

日曜大工で部屋中、あちらこちらに止まり木を打ちつけたので、それを利用して飛行訓練をするのですが、下に座っているとまるで扇風機が回っているよう・・・。この夏は電気代が節約できるかもしれません。お気に入りの休憩場所は、下に落ちている糞の量でわかります。犬がかじって穴だらけになったソファーもお気に入りで、ほころびをさらに拡大。中身をほじくり出すのが面白くてたまらないらしく、いたるところに大きな綿埃が落ちています。。

外のカラスたちと会話もしているみたいです。自分の置かれている状況をなんと説明しているのか。わるいヤツに誘拐されている。今すぐ現金を用意しないと殺される、なんてことをいってるのかもしれませんが、外のカラスたちも気になるのか、よく窓辺に来て鳴いています。

誘拐犯でもテロリストでも、この際かまわないから、なんとでも呼んでくれ。キョロちゃんが外のカラスの同情をかっているようなら、巣立ちは成功したも同然だからです。戸外へ出しても、テリトリー侵害で攻撃されるようなことはないでしょうからね。キョロちゃん、今のうちにあることないことどんどん喋って、先輩たちと仲良くなっておいてね。

今週の野菜とレシピ

今週も間引き玉葱が入ります。会員のYさんのおすすめ料理は即席ピクルス。玉の部分から、葉のつけ根あたりまでを使います。葉先はお吸い物の青みなどに使ってください。

玉葱は大きさに応じて半分か四分の一にして、塩をまぶします。しんなりしたら水気を切って、ひたひたの酢と味醂、それに出し昆布を鋏で食べやすい大きさに切って入れ、落としぶたをしておきます。半日もすればたべられます。わたしは味醂を切らしていたので、かわりに蜂蜜を使いましたが、さわやかで美味でした。ちょっと汗ばむような日にうってつけ。甘いのはどうも、という向きは酢と醤油で漬けてみてください。

待望のきゅうり絹さやが入りました。絹さやの卵とじ。これはお吸い物でも、煮物風でも、油炒めしてオムレツ風でも・・・。これぞ5月の風、といった香りがします。

岩手県安比高原のこごみも入ります。これはてんぷらが一番。油ものが苦手な方は、さっと湯がいて鰹節と醤油。あるいは胡麻和えでどうぞ。

お知らせ

すべての作物が例年より遅れ気味ですが、またらっきょう漬け梅干し梅酒作りのシーズンがやってきます。今年も注文を受けつけていますので、お早めにご予約ください。

生産者は青梅:海老原京子、らっきょう:小倉孝一、実山椒:青山作美。お届けは6月中旬から下旬にかけて、となりそうです。