カラスの巣立ち

2005年8月第4週

残暑が続きます。さすがに熱帯夜というのはなくなりましたが、日中の暑さはまだまだ衰えそうもありません。みんな、ちょっと疲れ気味?

幸い、この中は風通しがいいので、いつも空気が流れている状態。おかげでクーラーなど使わなくても、けっこう涼しく仕事ができます。ところが一歩出ると、そこはもう炎熱地獄。野良猫が入ってきて、動こうとしないのも納得できます。新参のアメリカン・ショートヘアなど、まるで家主のようなのさばりよう。こういう猫も、捨てられたのか家出したのか知りませんけど、野良になるようになったんですね。

家出中と報じられた黄トラは怪我をしてきて、やけにおとなしく謹慎していると思ったら、傷が化膿してぐったりしてました。目下、治療中。少しずつですが、ご飯が食べられるようになったところです。

じゃじゃ馬姫のほうは、いたって元気。アメリカン・ショートヘアのおじさんがお気に入りらしく、後を追いかけまわしているのですが、このおじさん、うるさがるどころか尻尾で遊ばせてくれたりします。この小娘が大きくなったら・・・という下心あり、とわたしは見てるんですけど、黄トラの傷が癒えたら、またオス同士の唸りあいがにぎやかになりそうです。

にぎやかといえば、最近、カラスがよく鳴きますね。朝夕だけでなく、日中も鳴いています。カラスは暑さが苦手なので、昼間は木陰で息をひそめているはずなんですが・・・。

よく見ると、日中活動しているのは10羽前後の団体さま。ファミリーではなく、親元を巣立った若者集団だったのです。元気なのも当然で、カラスが巣立てば、秋はもうすぐ。食料がもっとも豊富になる時期に、子供を独立させるあたりはさすがです。そして子供たちはたっぷり食べて冬に備え、冬になると集団同士の合コンが盛んになり、カップリングに成功すると、春にはもう親になって子育て開始。

秋も深まったころ、車を運転していると、車道の真ん中にカラスがうずくまっていて、車が接近してもなかなか動こうとしないことがあります。そして間一髪のところで、ふわりと飛び立つ。電線にとまって見守っている仲間がいて、わたしはそれを、向こう見ずな若者の肝試しみたいなものだと思っていたのですが、もしかしたら異性のハートを射止めるのが目的だったのかもしれません。電線から真っ逆さまに落下して、着地寸前、きわどいところで羽ばたくというバンジージャンプみたいなのを見たこともあります。

ともあれ、いたるところでカラスが巣立ち、若者たちが命知らずなゲームに興じはじめるわけですから、ときにうるさく感じられることもあるかもしれません。でも、大目に見てやってくださいね。わが家を巣立ったキョロちゃんもその中の一羽だからです。

キョロちゃん、あいかわらずベトベトの離乳食みたいなご飯を食べに、日に一度は帰ってきていますけど、姿を見かけることはありません。でも、ご飯が少しずつでも減っているところを見ると、元気にしているんでしょう。人間に拾われたので、一時的に学習が遅れたかもしれませんが、その分、経験は豊富。ほかのカラスにはない処世術を身につけているはずです。それを武器に、たくましい若者になってくれるといいですね。そして冬、すてきな奥さんに巡り会えますように・・・。

今週の野菜とレシピ

ひさびさにネギが入ります。暑いときですから、ピリ辛のネギ味噌でご飯、というのはどうでしょう。

ニンニクひとかけをみじん切りにして、胡麻油で炒め、そこへ豆板醤も加えて炒めます。はねると熱いので、火は弱めておいてくださいね。こうすると豆板醤が眠りからさめたかのように、辛みの中に隠れていた香りがどっと出てくるのです。刺激的ないい匂い。そこに挽肉を入れ、強火にしてよく炒めたら、味噌で調味。小口切りにしたネギを入れ、味噌をからめたら、火からおろして後は余熱で・・・。ネギは火を通しすぎないのがコツ。加熱しすぎると甘くなるからです。

県内に肉も魚も使わない、有機野菜が中心というレストランがあるのですが、そこから毎週、大量に空芯菜の注文が入ります。空芯菜といえば中華料理というイメージが強かったので、なににするのか伺ってみたところ、豆乳を使ったスープやパスタソースにするんだそうです。レシピをもらったわけではないのですが、自分流でやってみたら、意外なおいしさ。というわけで、みなさんも作ってみてください。

ニンニクひとかけ、玉葱小1個はともにみじん切り。バターか植物油でよく炒め、玉葱が透き通ってきたら、スープなら小麦粉を大さじ2杯。パスタにからめるのなら4杯ぐらい、よく混ぜて豆乳と、同量の水を少しずつ入れながらのばします。空芯菜を入れたら、塩、胡椒、オイスターソース少々で調味。夏にクリームスープはちょっと重いのですが、これならイケそう。

かぼちゃもスープにして、冷たくしておくと、暑い、もうなにもほしくない、というようなとき、食欲増進剤代わりになります。この暑さももうすこしの辛抱。食欲の秋のために、力をつけておいてくださいね。