落ち葉炊き

2005年12月第2週

裸木が目立つようになりました。つかの間の紅葉が風に舞いはじめると、樹木は骨格だけを残して休眠。でも、枝先にはぷつぷつとかたい新芽の姿が見られます。

おもしろいのは夏の樹形と裸になったときとのギャップで、葉を茂らせているときは堂々としてたのに、葉を落としたとたん、貧相になってしまう木があるかと思うと、逆に意外とがっしりした体型で、あら、あなた、着痩せするタイプだったのね、というのがあること。山の中の雑木には前者が多く、庭木は後者のほうが多いような気がします。

とはいっても、大木になってくるとオールマイテイー。着衣とヌード、どちらにも自信があるようで、どちらの姿も圧倒されます。わが家のナンバーワンになった辛夷、裏山の朴と山桜の巨木も、先週、一糸まとわぬ姿になりました。

あちらこちらで、落ち葉炊きの煙があがります。わたしもこれが大好きで、時間があると落ち葉炊き。すこし湿り気を帯びた枯れ葉から、おびただしい白煙があがるのですが、この匂いがいいんですね。

炊き火をはじめると、犬は家の中に隠れてしまいますが、山羊はかならず出てきます。白い煙にすっぽり包まれて、目をしょぼしょぼさせながら、気持ちよさそうにするのですが、ときどきそれを食べているみたい。煙を食べるなんて、変に思われるかもしれませんが、ウサギのモモもこれをやります。立ちあがって煙の中に頭をつっこみ、小さな舌をぺろぺろ出すのです。

いくら草食動物でも、落ち葉の煙が食事がわりなるとは思えませんが、好んでそれをやるということは、きっとなにかあるんでしょうね。そういうものを本能的に察知する能力を失ってしまった人間のひとりとして、思いあたることといえば、植物を燃やしたときにできる酢・木搾液ぐらいですが、それ以外にも未知の成分が含まれているのかもしれません。

わたしも真似てみましたが、大口を開けるとむせて咳こむし、舌を出したぐらいではどうにもならない。口をすぼめて、少しずつ吸いこもうとするのですが、これがなかなかむずかしいのです。こういう秘薬は人類の口には、そう簡単には入らないようにできているのかもしれません。

煙には虫除けの効果もあります。のみならず、被毛を弱酸性にして、毛艶をよくする働きもあるようです。煙浴をしたあとは、ブラシの通りがとてもなめらかで、山羊の白い毛にラメでも入っているような仕上がりになるからです。オスで、しかも爺さんなのに、まるでウエデイングドレスを纏っているみたい、といったら親バカになるかもしれませんが・・・。

畑も煙浴。まんべんなく煙が行き渡るように、風向きを見ながらあちこちで枯れ草や落ち葉を炊いています。灰はそのまま肥料になりますしね。一挙両得どころか万得なのに、このあたりでも市街地に隣接したところでは、だんだんそれもままならなくなっているようです。ゴミ収集場や公園のわきに、ポリ袋に入った落ち葉が積み上げられているのを見ると、うら悲しい気分になってきます。もったいないことをしますよねえ。

ウサギのモモがうちへ来てから3ケ月。大きくなったとはいえ、よそのウサギにくらべたら半分ぐらいで、まだ成長過程なのか、それともそういう品種なのか、よくわかりませんが、自己主張は一人前になってきました。

そのひとつが、外へ出たい。畳にすれば20畳ちかい空間に、戸外から引っ越してきた鉢植えも加わって、きわめて自然に近い状態に置かれていたのですが、やっぱり生の自然にはかなわないんですね。犬も猫も、山羊でさえ、生の自然は好きではあるけど、人工の空間のほうが快適みたい。それはかれらが家畜としての歴史が長いからかもしれませんが、ウサギだって早くから人に飼われてたと思うんですけどねえ。

ともあれ、日曜日だけ外に出してやることになりました。はじめのうちは庭先をぴょこぴょこ跳ねまわっていたのですが、そのうち裏山に入るようになり、無断外泊までするようになりました。とんだ不良娘でしょ。先週など、3日も4日も帰って来ないので、キツネかタヌキにやられたか、と諦めかけていたぐらい。それがひょっこり帰ってきました。どうやら、家に入ってしまうと、また日曜日まで外に出してもらえない、というのが外泊の理由だったようです。

そこで一大決心をして、玄関のドアに穴を開けました。もう出入りは自由。そうなってわかったことですが、ウサギって夜行性だったんですね。昼間はほとんど家の中にいて、夕刻お出かけ。明け方ちかくにまた帰って来る、という生活パターン。明け方近くにはキツネ、タヌキが徘徊しますから、本能的にその時間帯は巣の中にいるのでしょう。昼間はトンビに狙われますから、これも家の中で息をひそめて・・・。

でも、夜は夜でフクロウが飛びまわっているんですけど、かれらはウサギに手は出さないんでしょうか。いちばん気がかりなのは、あのあたり、野ウサギもたくさんいるのです。モモが最近太ったなあ、と思っていたら、ある日子供が生まれてた、なんてことにもなりかねませんからね。ま、そうなったらそうなったで、この欄で里親募集といきますか。その際は、どなたかよろしくお願いします。

今週の野菜とレシピ

今週は予定を大幅に変更して、白菜ネギ春菊椎茸と、鍋ものセットになりました。寒くなってきましたので、野菜たっぷりの鍋で体をあたためていただこうという寸法。それぞれのご家庭、自慢の鍋でお楽しみください。

白菜は小ぶりですが、鍋で残った分はサラダにすると意外なおいしさ。葉先のやわらかいところを千切りにして、りんごと生クルミの薄切りといっしょにフレンチドレッシング+醤油のソースで・・・。クルミは無理に買ってくる必要はありません。レーズンをぬるま湯に浸したものでもいいですし、りんごだけでも十分おいしくいただけます。

白菜の芯は縦に細く切り、さっと塩もみ。塩分を洗い流してから、鷹の爪といっしょに甘酢に漬けると中華風の酢の物に・・・。ザー菜を細かく切って、白菜といっしょにスープにしても美味。ザー菜を使うと出しを取る必要がなく、味つけも塩味を補うだけなので、時間のないとき便利です。ザー菜をきざんで水から煮て、卵とじにしたものをご飯にのせてもおいしいんですよ。というわけで、ザー菜は常備しておくと重宝します。ただし加工されたものではなく、握り拳みたいな原型をとどめているものにしてくださいね。

葉先がギザギザしているからし菜は、漬け物用の野菜ですが、そのまま塩をしたのでは辛くなりません。さっと熱湯をかけると、ツーンと芥子の匂いが鼻をつき、特有の辛みが出てくるのです。それから漬けてくださいね。

来週は青山さんの山芋が入ります。今週みたいに、予定が大きく変更になることはないと思いますで、どうかよろしく。