戌年だけど

2006年1月第1週

明けましておめでとうございます。

例年になく寒い正月。あちこちに大雪が降り、交通網が寸断されたり、家屋が倒壊したり・・・。生活に支障が出ているところもあるそうです。さいわい、こちらは雪は降りませんでしたが、戸外には毎朝厚い氷が張っていて、日が高くなってもそれが解けず、翌朝にはそれが厚みをまして、金づちで叩いてもビクともしないという日々。水道管が破裂したところもあります。

そんな寒さのせいか、パソコンが作動してくれず、今年はじめての通信は挨をかぶったワープロをひっばり出す事態となりました。便利なものほど、いざというときには不便、というのがこんなところでも立証されたわけですが、実際こうやって入力していると、パソコンの使いやすさが恋しくなってくる・・・。つらい幕開けとなってしまいました。

去年は暗いニュースが多かったので、正月ぐらいは能天気なゴシップで・・・。というわけで、最初の話題は週刊誌の見出し風にいくとこうなります。

“同棲発覚!バニーガールのモモちゃんと山羊のユーリ氏。年齢差もなんのその”びちぴちギャルのモモちゃんと、12歳という高齢のユーリ氏。一見ちぐはぐなカップルですが、ユーリ氏は広大な敷地と住居を所有。財産目当てといううがった見方もあるようですが、このふたり、よく考えてみたら食の噴好が共通していたんです。しかも山羊の柵の中には、キツネ・タヌキが入ってきません。近所の犬・猫に追いかけられても、ここなら安全。ユーリ氏の許可を得て、日当たりのいい斜面あたりに巣穴を掘れば、快適な暮らしも保証されるというわけです。

というわけで、モモちゃんはさっばり家に寄りつかず、ユーリの柵の中でしかお目にかかれなくなりました。たまに帰ってくると「ユーリと喧嘩でもしたのかしら」と、逆に家人から心配されるようなありさま。でも、仲たがいをして帰ってくるわけじゃないんです。ウサギも山羊も草食動物なので、塩が不可欠なんですが、ユーリの塩壷ではモモちゃんには大きすぎたんですね。そこで年明けいちばん、ミニサイズの塩と水の補給場所を作りました。いよいよ戸外でしか、モモちゃんには遭遇できなくなったしだいです。

アラレちゃんのところでは、年末にまた子猫が迷いこんできて、合計17匹の大所帯。とても人に慣れているので、たぶん捨て猫だということです。たくさん猫がいるところに猫が集まってくるのか、そういうところを狙って捨てる人がいるのか・・・。正月休みを利用して、連日、山の中でゴミ拾いをしましたが、いつもながら思うのは、みずから運を捨て、徳を捨ててしまう人の悲しさ。ゴミにせよ、生き物にせよ、人目のつかないところにそんなものを捨て去って、本人はさっばりしたつもりかもしれませんが、じつは自分自身、いいかえれば人生の一部を捨ててしまっている。だれも見ていないところでこそ、人がみずからを律しなければならないのは、そこが人生の要(かなめ)だからだと思うんですね。

自動車道路のガードレール越しに、谷あいに向けて投げ捨てられたゴミ。その半分ぐらいが建築にたずさわっている業者のもので、山のようなペンキの缶、ネジクギ、ブリキ、コンクリートのいっばい詰まったバケツや工具に加えて、作業着や履物まで投げ捨ててあるんです。建築業界って、上から下まで、今もっとも荒廃しているところなのかもしれません。もちろん、みんながみんなではないんでしょうけど、目に見えないところがどうなっていてもかまわないという建物は、目に見えないところから崩壊します。人も同じで、そういうものを軽視しているから、目には見えないヴィールスなどに生存を脅かされるようになるんでしょうね。

個人レべルでもリサイクル法ができて、処分にお金がかかるようになったせいか、電気製品が目立つようになりました。急斜面に捨てられた冷蔵庫や大型テレビなんて、わたしひとりの力ではどうにもならず、拾えなかったゴミのひとつひとつが石ころみたいにお腹の中にたまってゆきます。でも、いちばん気が滅入るのは、紙おむつや衣類、おもちゃといった子供グッズで、これは捨て子にちかいものです。この子は無事に育つんだろうか。育ったところで、こんな親を見て育った子供は将来、どんな大人になるんだろうか・・・。

ゴミでいっばいになった袋をいくつも、足場のわるい急斜面で持ち上げていると、真冬でも汗だくになってしまいます。今年は寒いので、すぐに体が冷えるせいか、とうとう風邪をひいてしまいましたけど、さいわい寝こむほどではありません。この一年もそんな感じでスタートしました。

今週の野菜とレシピ

年末からの冷えこみで、野菜がずいぶん傷んでいます。とくに大根など、毎朝マイナス10度ちかくまで気温が下がるので、地表に近い部分が凍傷になり、出荷ができなくなっています。というわけで今週は寒さに強い青ものが主流になりました。今週は玉葱も入る予定でしたが、北海道からの荷物が遅れているため、来週に持ち越し。その分、長葱が入りますのでよろしくお願いします。

ター菜小松菜ほうれん草はこの寒さでますます甘みを増してきました。椎茸も生育に時間がかかるせいか、香りが濃厚になっています。ひさびさの厳寒を全身で受け止めた野菜の滋味を味わって、この一年も健康でいられますように・・・。