野菜と雑草

2006年6月第1週

今週の野菜セット

日照不足による野菜の高騰。このあたりでも、スーパーへ行くと野菜が値上がりしているようです。

でも、日照不足の影響を受けているのは野菜だけで、雑草は関係なく背丈を伸ばし、花をつけ、生い茂っています。これって変だと思いませんか。おなじ植物なのに、この差はいったいどこから来るんでしょう。

人工的なものというのは、暑さ、寒さ、病害虫のストレスなどを極力減らすように作られているにもかかわらず、気候の変動にはきわめて弱い。収穫量の増加や手間の削減といった経済効率が重視され、生命体としての植物の意思が無視され続けてきたことと無関係ではなさそうで、それは都会という便利で快適な空間が、微妙な均衡が保たれていないことには機能しない。アクシデントにはきわめて弱いというのとおなじかもしれません。

交配やら遺伝子操作によって作り出された一代交配の種子が、農場という人工空間で栽培されるわけですから、多雨や旱魃の影響を受けやすいのはあたりまえ。おまえら、ちょっと変だよ、とおてんとうさまがそっぽを向いているのかもしれません。

雑草の生命力というのは、かれらの自由意思にほかならないのではないでしょうか。かならずしも条件のいい場所が与えられるわけではないのに、文句もいわず発芽して、芽を出した以上はそこで頑張る。踏まれても、刈られても、また背丈を伸ばし、次の世代の種子を作る・・・と、ここまで書くと、なんだか週末の草取りができなくなってしまいそう。

上記の作物に欠けているのがこの健気さで、種が蒔かれたんなら発芽するわよ、肥料があれば伸びてあげるわよ、でも暑いのはいや、寒いのもいや、虫はだいっきらい、病気になんかなったら死んじゃうから、といった具合。おまえ、母親になるんだろうが。頑張れよ、といったところで、どうせわたしの種なんか、使いものにならないんでしょ?

うん、その気持ちもわからないではない。今は農家が自家採種できないよう、ほとんどの野菜が一代交配。これは種苗会社の陰謀だと思うのですが、こんな風にとことん管理されると、人間だってどうだっていいや、という心境になりますものね。こんな野菜にだれがした、という声が聞こえてきそうです。

では、雑草のように逞しい野菜を作るにはどうしたらいいか。至難の業かといえば、それがそうでもないんですね。だって、ここではあたりまえのように、そういう野菜が育っていますから・・・。

わが家の家庭菜園でさえ、野菜たちが逆境をプラスに利用する術を心得ているかのよう。ソラマメがいい例で、毎年作っていますが、毎年どうやっても2~3割はアブラムシで真っ黒になってしまいます。ソラマメはどんなに窒素分を減らしてもアブラムシがつきやすく、無農薬栽培がほとんど不可能みたいにいわれていますが、全滅するわけではありません。たかが2~3割、これはアリとアブラムシによる源泉徴収と考えることにしていたのですが、今年はそれがないのです。春先からの長雨でアリが活動できなかったため、アブラムシのつきようがなかったんですね。おかげで例年にない収穫量になりそうです。

ソラマメの話が出たついでといってはなんですが、じつはお詫びしなければならないことがあります。これを読みながら、この分だと好子さんのソラマメも好調。もうすぐだな、と思われた方には申しわけありませんが、好子さんのソラマメ、春先に消滅してしまいました。これには好子さんもびっくり。責任を感じて、なかなか事務局にも報告できないでいたそうです。

彼女の畑にいったいなにが起こったのか。ソラマメは11月中旬に種を蒔き、芽を出したところで越冬。春からしだいに大きくなってくるのですが、春先の除草が遅れると草にすっぽり埋もれてしまいます。そういう状況下、気をきかしたご主人が耕耘機を入れ、畑をきれいにしてしまったんですね。好子さんから「ありがとう」といわれたい一心でやったことでしょうが、気になっていた草取りにやって来た好子さんは唖然。へなへなと座りこんでしまったそうですが、そんなわけでメニューからもソラマメが消えました。

申しわけありませんが、来春にご期待くださいね。

今週の野菜とレシピ

野菜高騰の折りですが、益子GEFはそんなこととは無縁。とくに今週は嵩のあるセットになりそうです。

先週に引き続き、福田さんのレタスが入ります。それに好子さんのキャベツが加わりました。毎回おことわりしていますが、有機栽培のキャベツはアオムシに外葉は与えますが、特殊な物質を分泌して結球した部分には入れないようにしています。キャベツとチョウはそうやって千年以上も共生してきたのです。が、ヨトウガは近年になって東南アジアから入ってきたため、そういう約束事を無視。幼虫は平然と内部まで入りこむのですが、外側から見たのではわからない場合があります。もしヨトウムシに遭遇してしまったら、申しわけありませんが、箸でつまんで捨ててください。育ててやる必要はありませんので、念のため。

絹さやの生育が遅いので、今週も出はじめのきゅうりと組み合わせ、どちらかが入ることになりました。

間引きニンジンは塩をつけて、ポリポリかじると甘いですよ。葉っぱのほうはかき揚げがおすすめ。パセリのようにきざんで、炒めご飯に入れたり、ハンバーグに混ぜこんでもイケます。

小松菜がこれが最後。次回は秋口になります。雨が多すぎて葉ものが育たないといわれていますが、こちらは逆で雑草同様、伸びすぎて始末におえないぐらいだそうです。見かけはわるくても、葉も茎もやわらかいですからね。

こちらでも新玉葱ができてきました。まだ小ぶりではありますが、オニオンサラダで・・・。新玉葱の味噌汁も甘みがあっておいしいですよ。

岩手の山菜。今週はタラの芽が入りました。びっくりするような大きな芽もあって、栽培されているタラを見慣れている方はびっくりするかもしれませんが、タラの芽は大きければ大きいほど香りが濃厚でおいしいものなのだそうです。てんぷらにして、お塩でどうぞ。