長い雨

2006年5月第4週

今週の野菜セット

五月晴れとは無縁の毎日。

梅雨のような陽気、と思っていたらほんとうに梅雨なんだそうで、このあたりでは3月下旬から梅雨空が続いているようなもの。日本の気候も雨期と乾季に分かれてきたようで、この長い長い雨期が明けると、今度はカラカラに乾いた炎暑の夏になるのかもしれません。

雨が続くと畑から虫が姿を消してしまうので、一見、都合がよさそうですが、そのかわり病気が発生しやすくなります。うどん粉病、スス病、赤さび病などなど、作物によって白カビ、黒カビ、赤カビが葉面を覆いつくし、ただでさえ困難な光合成を阻止。空気中にもプラスイオンが蔓延していますから、病気になりやすくなるのです。

日照りが続くと、これらの病気は一気に解消。そのかわり今度は虫が活発に動き始めます。どちらをとっても痛し痒しで、やっぱりほどほど、いい加減というのが人にも植物にも居心地がいいんですね。ところが世の中、そうは甘くない。絶えず不足と過剰がつきまといます。

そうなると、人も植物も体力勝負。有機栽培の植物が放っとかれても、多種多様な農薬に保護(?)されている作物より強いのは、この基礎体力がものをいうからだと思います。もうひとつ、農薬を散布すると天敵が死んでしまう。この点も大きく、草食の虫たちがどんどん免疫をつけ、薬に強くなってゆくのに反して、ハチやカマキリ、テントウムシといった肉食の虫たちはかわいそうなぐらい弱いのです。

農薬はどんどん効かなくなる。天敵はいない、では踏んだり蹴ったり。そのうえ基礎体力がいまひとつというのでは・・・。あと10年もしたら、有機栽培でないと作物が育てられなくなるんじゃないか。夢のような話ですが、これだけ天候が不順だと、それが実現するのも意外と早いかもしれません。

先週、お話したわが家のツバメたち。巣が落ちてしまったので、一刻も早く作り直さないと抱卵できず、ヒナの生育が旅立ちの間に合わなくなるのですが、1週間たってもオロオロするばかり。巣を作ることができないようです。

さっさと作ってしまえばいいのに、とイライラするのは人間の勝手な言い分で、どうやら建築資材である土が濡れたままだと、巣を作ることができないようです。乾いた土を唾液で固めて貼りつけないと、強度に問題が生じるんでしょうね。今度は失敗できませんから、かれらのためにも早く晴れ間がのぞいてほしいもの。(裏面に続く)

一方、去年わが家から巣立ったカラスのキョロちゃん。最近、目立って食欲が旺盛になってきました。これまではおやつ程度に啄んでいたエサが、きれいになくなるようになりましたから、こりゃひょっとしてキョロちゃん、嫁さんもらってパパになったかな、とにんまりしながらご飯の支度。

いやあ、目出度い。ついにカラスの孫ができちゃった。とはいっても、抱っこはさせてもらえないけど・・・。でもね、ハシボソガラスが都会から来たハシブトにどんどんテリトリーを奪われている中、翼を傷めてバタバタしていたハシボソ小僧が立派に巣立ち、所帯をもって子供を作っているなんて、うれしいですよねえ。

どこに営巣しているのかわかりませんが、子供の事故には気をつけて・・・。でも、父親みたいに巣から落ちてバタバタしていたら、またバアちゃんが育ててあげます。今度は苦労してご飯など食べさせてやらなくても、父ちゃんが世話をしに来て、元気になったらいっしょに飛び立ってくれるでしょう。お嫁さんは警戒して室内には入らないかもしれませんが、これはいいや、雨風の心配も外敵の心配もない、というので翌年からわたしの部屋で営巣するようになってくれたらね。

それこそ夢物語。でも、ほんとうにそうなったら、どんなに室内を汚されても、壊されても、ぜったい文句なんかいいません。

今週の野菜とレシピ

ひさびさにレタスが入ります。ルッコラといっしょにサラダでどうぞ。キャベツがほしい、という方も多いと思いますが、これは好子さんが数種類作っていて、順調に行けば6月中旬には出荷できるそうです。

間引きではありますが、ニンジンもひさしぶり。小さなニンジンは塩かマヨネーズをつけてかじり、やわらかい葉っぱのほうはさっと湯がいて胡麻和えなどに・・・。きざんだ葉をチャーハンやピラフに混ぜてもおいしいですよ。

エシャロットは薄皮を一枚むいて汚れを落とし、生のまま味噌をつけて食べるのが一般的ですが、ぴりっとした刺激が苦手という向きはかき揚げで・・・。ネギの仲間は加熱すると甘くなりますが、これはとくにそれが顕著なような気がします。

絹さやはようやく収穫できるようになりましたが、まだ量が安定しないため、足りないところはハウスきゅうりで補うことになりました。ふつう、花が咲いてから10日前後で収穫できる絹さやが、今年は1ケ月ちかくもかかって結実したため、いくらかかたいところがあります。が、生育に時間がかかった分、香りは濃厚。炒めもの、卵とじで初夏の香りをお楽しみください。

かぶ小松菜はスープ、または味噌汁が最適ですが、かぶを炒めてみるのも一興。かぶの皮をむいて3~4ミリ厚さにスライスし、胡麻油で炒めます。半生でもおいしいので手短に調理。塩、胡椒で軽く味をととのえ、最後にはきざんだ葉を加え、火を止めてから醤油をひとかけ。さっぱりした炒めもので、かぶのみずみずしさがかえって引き立つ感じがします。

岩手の山菜。山に入ってみないことにはわからないので、いちおうメニューにはこごみとありますが、もしかするとタラの芽が入るかもしれません。