師走に思うこと

2006年12月第1週

今週の野菜セット

早いもので、もう師走。

どうもグレゴリオ暦というのはいけない、と毎年、この時期になると思います。とくに農事に携わっていると、正月は立春というのが妥当に思われるのですが、百年も前にお国が決めたことを、今頃になってとやかくいってもしかたありませんしね。今月いっぱい、時間に追われることになりそうです。

あっという間に時間が過ぎる。年々、それが早くなってゆく感がありますが、最近では子供たちまでが、時間が経つのが早い、と口にするようになりました。小学生がですよ。子供のころ、そんなことを思うのは夏休みぐらいで、1年がいやになるほど長く感じられたものですが、今どきの子供は大人のような顔をして嘆息して見せるのです。早熟なんですねえ。

ふつうに考えると、5歳の子供の1年は人生の5分の1の長さです。50歳になるとそれが50分の1になるわけですから、当然短く感じられるはず、と単純に感覚の問題にしていたのですが、どうもそれだけではなさそう。ミヒャエル・エンデの「モモ」ではないけれど、灰色の服を着た男たちに時間がどんどん盗まれているんじゃないか、と疑いたくなるぐらいです。

しかし、実際は時間というものの性質に原因があるようです。わたしたちの生きている三次元世界は四次元世界によって支えられていますが、その四次元というのが時間そのもの。だからタイムマシンなどというのは、この四次元世界を通過することになっているのです。四次元世界といえども宇宙原理に組みこまれているわけですから、帯のようにまっすぐ伸びているわけでなく、円を描いているんですね。正確にいうとゼンマイのように渦巻いている。

そのゼンマイの先端にこの世界があったころは、1万年単位で経過していた時間が、人類が登場したあたりから千年単位となり、有史時代を経て百年単位という風に、内側に向かってぐるぐると渦巻いているから、なにもかもが加速度的になり、文明はめまぐるしく進歩するのです。現に20世紀という百年間のおける科学技術の発展は、それまでの千年を優に上回るものでした。

ついこの間まで、10年ひと昔などといわれていましたが、今ではそれも通用しなくなっています。10年単位で更新されていたものが5年となり、3年となり・・・。そのうち毎年、パソコンを買い換えなくてはならないようになるかもしれません。そうなったら地球はゴミの山。汚染のほうも加速度的に広がっていますから、40年後には海洋生物がみんないなくなる、という恐ろしい予測まで出てくる始末。加えて、ゼンマイの中心部は狭苦しいものなので、世相もぎすぎすしてきます。百年前にくらべたら、暮らしははるかに豊かになっているはずなのに、百年前より余裕がない。あくせく働かないことには、みずからの欲望についてゆけなくなるからです。そういうことに背を向けてしまったのが、ニートと呼ばれる若者たちではないでしょうか。

最近やたらと目につく母親が子供を殺すという事件にしても、母親の人格以前に、人類が将来に希望を持てなくなってしまったのではないか、という不安のほうが先に立ちます。子殺しも親殺しも大昔からありました。悲劇の原型はみんなギリシャ時代に戯曲化され、回避する仕組みが作られていましたが、そんなことも通用しなくなってしまったようです。

意外に思われるかもしれませんが、そんなぎりぎりと絞めつけるようなゼンマイをすこしでも緩めようとしているのが自然災害。ゼンマイは人の意識で巻かれていますから、右巻きの渦を作っています。それに対して台風の渦は左巻き。おそらく地震や火山噴火の電磁波も左巻きにうねっているのでしょう。

年々自然災害が増えているのも、そう考えれば納得がゆくことで、これは人の病気に似ているかもしれません。病気は災難みたいなもので、それによって死に至ることもありますが、ほんとうは人を死に至らしめないために出現し、軌道修正させるものです。病気というものがなかったら、わたしたちはやりたい放題の生活を続けることができるけれども、ある日突然、燃料の切れたロボットみたいに動かなくなってしまう。病気から立ち直った人の多くがいうように、病気は神さまのラブレターみたいなものなのです。

自然災害もそれとおなじ。それを災難と見なすか、ラブレターと受け取るか、それによって子供たちの将来が左右されるのではないでしょうか。

今週の野菜とレシピ

今週はごぼうが入りました。先週のニンジンといっしょにきんぴらにしてもいいのですが、たまには目先を変えてごぼうのカツレツなんていかがですか。ごぼうは適当な大きさに切って、薄味で煮ておきます。それに小麦粉をつけ、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけ、さっと揚げる。そのままでもおいしいのですが、梅干しの種を取って叩いたものに、同量の蜂蜜と醤油を加えてソースにすると美味。ごぼうは子供に敬遠されがちですが、これならよく食べます。

京菜小松菜も、スープにすると甘みがよく感じられます。そこに椎茸も少し加えると香りがプラスされ、余計なものはなにもいらない、という感じ。味噌汁にするときは、仕上げにほんのひとつまみ塩を入れると、野菜の甘みが引き立ちますよ。

勢いよく伸びたほうれん草は、ナムル風のおひたしで・・・。湯がいたほうれん草に胡麻油と醤油をかけ、鰹節も加えてよく混ぜます。胡麻は煎ってから包丁で切り、香りをつけてから加えてください。

レモンは牡蠣フライに、魚料理に活躍してくれますが、半分使って残りを保存となるとなかなかむずかしく、すぐにわるくなってしまいます。そこでレモンを使ったときには、残り半分も果汁を搾ってしまいます。果汁にすると何ヶ月でも冷蔵庫で保存できます。皮はおろして、小さなパックに入れて冷凍。これはドレッシングの風味づけやお菓子作りに利用します。残りはゴミ箱行きですが、その前にレモンの切り口でまな板を両面、よくこすってから・・・。除菌と漂白作用がありますので、こすった後、洗わないでひと晩ぐらい置いてください。

来週は里芋と、塩漬けにした山のキノコが入ります。