土の中から春が来た

2006年3月第1週

雨上がり、庭に出てみるとあちこちで微妙に土が盛り上がっている感じ。かがみこむと、クロッカスの芽が顔をのぞかせていました。早いところではスイセンも立ち上がり、花をつけようとしています。

先週の雨で、一気に地面が動きはじめているようです。畑の中にも、土盛りがあちこちにできていて、これはモグラが住居を改築しているんですね。冬の間、霜に持ち上げられて脆くなったトンネルを修理。それと同時に、住まいも改築して子育てに備えているのです。畑でそれをやられると迷惑ではあるのですが、まあ、家庭菜園みたいなものですから、大目に見ています。モグラが住みつくということは、それだけ食糧になるミミズが豊富なんでしょうからね。

山の中にも、いたるところに土盛りがあります。畑にくらべたらミミズは乏しいはずなのに、なぜそんなところに住居をかまえるのかというと、そこが安全な場所だから。畑には食糧もたくさんあるかわり、上空にはいつもトンビが旋回しているからです。かれらは旋回しながらモグラの土盛りを観察していて、土がほんの少しでも動くと急降下してきますからね。その視力もさることながら、カラスの倍もありそうなトンビが急降下してきたときの迫力といったら・・・。尻餅をつきながら、ひゃー、格好いい!もちろん口はぽかんと開けたままでした。

それで納得。いつも犬といっしょに歩いている林の中に、歩きにくいほど土盛りがたくさんできているのは、樹木がトンビよけになっているから・・・。畑のモグラが異常繁殖しないのも、適度に間引かれていたからなんですね。生態系の妙といいますか、わたしたちが手出しなどしなくても、絶妙なバランスが保たれる。特定の動植物が暴走するなどということはないのです。

今日もわが家の上空では、トンビが数羽、ピーヒョロヒョロヒョロと鳴き声を響かせながら舞っています。ウサギのモモがちょっと心配ではありますけどね。

少しずつ春らしくなってきたと思ったら、花粉もまた少しずつ舞いはじめているようです。先週あたりから、マスクをした人を見かけるようになりました。

春という、一年でもっとも生命の輝きに満ちた季節に、外界と遮断されなくてはならないなんて、ほんとに気の毒だと思うのですが、これもまた人がみずから作り出した業病のひとつなんでしょうね。空気中の二酸化炭素量に比例してアレルギーが増えるという定説以外にも、わたしたちの過剰防衛、被害妄想にも似た守りの姿勢が肉体レべルにも出現しているとは考えられないでしょうか。なんの害もないただの花粉を、身体が外敵と判断してしまうから、くしゃみや鼻水が出てくるわけで、問題は防衛システムのほうにあるわけですから・・・。

国家や個人のセキュリティーが度を越すと、見えない敵に対して攻撃的になってくる。すると今度は自分自身の細胞を攻撃し、死滅させるというわけのわからない難病だって登場しかねません。家の中に侵入してきたハエー匹殺すのに、家中に毒ガスを撤き散らし、自分まで死んでしまうというブラックユーモアにも似たことが、ふつうの家庭で日常的に行われていますしね。やれ殺菌だ、防虫だ、消臭だといった具合で、住居が快適になればなるほど、身体の具合がどんどんわるくなって行く・・・。

ダニもカビも生息できない住居には、人もまた住めないし、花粉の飛ばないような世界には、人も動植物も生存できません。先住者のダニやカビを悪者扱いするわけではありませんが、[悪」を一掃しようとするとすればするほど、さらなる「悪」に見舞われるという、人間社会のジレンマそのまま。増加の一途をたどる病気と犯罪。わたしたちがそれと闘うのをやめないかぎり、右肩上がりになってゆくのではないでしょうか。

さて、花粉症対策ですが、この事務局でも春先はアラレちゃんがくしゃみを連発。毎年、にぎやかなことこの上ないのですが、今年はそれが軽減されました。ティッシュを鼻につめこんだ、ヒゲアザラシみたいな顔にもお目にかかっていませんしね。ビワの微粉末が効いているみたいです。井上さんがクローン病を治癒するためにみずから開発。ビワ種の中の仁と呼ばれる部分をフリーズドライ製法で粉末にしたものですが、免疫力を高めるので、いろんな症状に効果があります。とくに花粉症には即効性があり、飲んだその日から楽になるそうです。1日に軽くスプーン1杯、症状の重い人は朝夕2回飲んでください。

杏仁のような香りで、飲みやすいのも魅力で、このやさしい香りとほのかな甘さが、体中の細胞に安堵感を与えているんじゃないか、とわたしは勝手に憶測しています。なにも恐れることはない。あなたの敵なんて、ほんとうはどこにもいないんだよ、といった具合・・・。アトピーの方は馬油に混ぜて塗布すると、即座に庫みが止まりますので、外用薬としてもご利用いただけます。

ビワ種微粉末は100g入り1袋2600円でお分けしていますので、電話またはFAXでお申し込みください。

今週の野菜とレシピ

毎週おなじような青ものが続きますが、あくまでも旬が基本のセットなのでご了承ください。わたしたちも毎週、みなさんとおなじものを食べていますが、形のわるいもの、伸びすぎたものなどもありますので、かなり量は多くなります。使いきれないものはどうするかというと、みんなスープにするんです。カゴいっばいの小松菜もスープにすると、それほどの量でもなくなりますし、野菜をたっぶり使ったスープが常備されていて、食事のメニューにそれほど頭を悩ませることもありません。みなさんも使いきれな、ものがありましたら、玉葱、じゃが芋、にんじんをべースに、青菜のスープを作ってください。

春が近くなってくると、冬のこってりとボリュームのある食事に飽きて、さっばり系が恋しくなります。それも昔からあるようなものを身体が求めているみたい。たとえばほうれん草の胡麻和えなど。そんなわけで最近、暇さえあればゴマスリをしています。春菊を胡麻和えにするときは、酢を少量入れるのがコツ。胡麻を播るのが面倒でした、さっと湯がいた春菊を甘酢にからめ、煎り胡麻に包丁を入れ、香りが出てきたとこをまぶしてもおいしいですよ。

来週はいよいよ春の先駆け、あぶら菜が登場してきそうです。