土の中で大活躍

2006年2月第1週

いくらか寒さがゆるんできました。三寒四温をくりかえしながら、ゆっくり春になってゆくんでしようか。ほんとうに春なんか来るんだろうか、と思われたほどの寒さ続き。ようやくそれがほころびかけてきた感じです。そういえば今週末は節分でした。季節のわかれ目。こころなしか陽光があかるく、あたたかくなってきましたね。このところ、山羊の水飲み場に張った氷を叩き割るのが日課になっていましたが、今朝のそれは薄氷で金槌など不要。春のたしかな足音が聞こえてきたようでした。

10日ぐらい前に作った雪だるまが、長い間玄関先に立っていましたが、すこしずつ形が崩れ、最後にはサッカーボールぐらいの大きさになって、それもとうとうなくなりました。このあたりの雪だるまにしては寿命が長かったのですが、毎タ、帰宅するたびに形状が変わっていて、それがまるで病気の進行でも見ているみたいで、ちょっとグロテスク。

中がふわふわ、外側がゴムという心地のいい手袋をもらったので、つい調子に乗って作りましたが、雪だるまなんて、いい年をして張り切るものではなかったのかもしれません。でも、数十年ぶりの雪丸め、雪かきで疲れていたにもかかわらず、楽しいものでした。要するに、雪だるまはそのまま雪に埋もれてしまうか、日だまりで翌日あたり消えてしまうか、潮時がかんじんで、はかなさが身上だったんですね。いつまでも残骸が人目にさらされるような、中途半端な低温続きがいけなかったんでしよう。

ともあれ、雪だるまのあったところも地面がむきだしになり、そこにびっしりと春の草がはりついています。ちよっとでも気温が上がると花をつけ、それがどんどん背丈を伸ばしてはびこるのです。そのたくましい生命カ。山羊の柵の中ではとくにそれが顕著で、噛み切られても引きちぎられても根が生きていて、春には一面、緑の茂みになるのです。畑の隅では、晩秋に発芽したカミツレやヒナゲシが小さな体を地面に押しつけ、霜から身を守っています。畑の中でも、あぶら菜、エンドウ、ニンニクなどが、ひたすら春の日差しを待ち受けている。

ウサギのモモといっしょにそれを見てまわるのが、週末のいちばんの楽しみで、モモはお食事、こちらは春に備えて畑の手入れ。山の中の落ち葉をかきわけ、堆肥になりかけている古い落ち葉を集めておくのも、この時期の仕事のひとつなのです。この半熟堆肥を畑に敷くと、ミミズがそれを餌にして、栄養たっぶりのコロコロの土にしてくれるので、横着者のわたしにぴったり。他力本願農法と、これを呼んでいるんですけどね。

この他力本願はご家庭の花壇でも応用できます。半熟堆肥が手に入らなかったら、落ち葉や刈り取った草でもOK 。その場合には、ミミズの餌となる米ヌカを撒いてから、4~5 センチの厚さになるよう落ち葉を敷きつめます。要はミミズの餌となるものと、かれらに必要な湿り気が与えられたらいいんです。条件が整えばミミズが勝手に動いてくれますから、鍬を入れなくても土はふかふか、肥料を与えなくても肥えた土壌ができるという寸法。ミミズの糞は最高の土となり、尿は滋養満点の液体肥料なんですね。

プランターの場合には、ミミズを一匹でいいですから、どこかから連れてくる必要があります。面倒かもしれませんが、一匹入れておけばミミズは勝手に増殖しますし、このプランターにこれ以上のミミズは住めないという限界まで来たら、自然と増殖をストップします。市販の腐葉土を敷きつめておくという手もありますから、都会のべランダなどではこれがおすすめ。腐葉土を使う場合には、米ヌカも不要ですし、小さなプランターならお茶殻でもいいんですよ。紅茶、日本茶、ウーロン茶、毎日出るお茶殻の量もバカにはなりませんから、わたしはその都度、庭先に持ってゆきます。おかげで肥料など与えなくても、みんな元気。きれいな花を咲かせてくれます。

地表を覆っていた腐葉土やお茶殻は、いつの間にか消えてしまいます。ミミズが食べてしまうからで、そうなったらまた新たに覆いをします。あと一カ月もしたらミミズが活動しはじめますから、今のうちに準備をはじめておいてはどうでしよう。

今週の野菜とレシピ

ター菜は根もとの泥を落とすのがちょっと面倒かもしれませんが、妙めてよし、スープや味噌汁によし、やわらかく甘みのある青菜です。大陸出身というせいか、中華料理との相性は抜群で、肉や魚介類と一緒に妙め、片栗粉でとろみをつけると、少々手抜きでも本格的。最後に胡麻油を少したらして、香りと照りをプラスするのを忘れないでくださいね。

昨年からの低温続きで、大根が出荷できなくなっていますが、おなじ根菜でも、ニンジンは強いんですね。葉っばがほとんど枯れてしまっても、土の中で生育を続けている模様。だから大きくなりすぎて・・・と好子さん。中には1本で500グラム以上になるものもあるようです。

大きくなりすぎたニンジンをくれるのですが、なにに使えばいいものか。そのとき、大阪市にお住まいのYさんからいただいたレシピを思い出しました。ニンジンのひらひら揚げ。ニンジンをピーラーでリボン状にしたものを素揚げにするのです。二度揚げしてパリッとなったところへ塩をふると、ニンジンスナック。リボン状のニンジンを生のまま、塩をふってしんなりさせ、塩気を洗い落としてから蜂蜜とレモン汁で調味したサラダも美味でした。

さて大根ですが、福田さんが急逮ハウスに種を蒔いてくれたものが、ようやく親指ほどの太さになってきました。今月末あたりにはお届けできるでしよう。この時期、大根が入っていない野菜セットなんて間抜けですが、もうすこしの間ご辛抱くださいね。