月とウサギ

2006年10月第2週

今週の野菜セット

中秋の名月は、あいにく台風の影響で望むことはできませんでしたが、十六夜は晴れ渡った夜空に満月がくっきり浮かび、前日の雨と風がまるでウソのよう・・・。一日遅れのお月見になりました。

月とウサギはほんとうに、なにか関係でもあるんでしょうか。モモがいつになくハイテンションで、しきりにジャンプを繰り返します。はじめのうちは、猫もいっしょになってはしゃいでいましたが、そのうち退散。モモだけがいつまでも跳びまわっていました。たぶん、夜が更けるまで・・・。わたしたちも途中でひきあげてしまったので、詳細はわからないんですけどね。

月夜にウサギがダンスをするというのは、ほんとうのことらしく、ただし童謡にあるように仲良く踊っているのではないそうです。ジャンプをするのはオスだけで、メスを前にして能力を競い合っているというのが真相だとか。武器らしい武器を持たないウサギの決闘が、人の目にはほほえましく、ダンスに見えたのかもしれません。

というわけで、モモはバニーガールなどでなく、オジサンなのでした。オス猫の顔面めがけて蹴りを入れるかと思ったら、メス猫には友好的。そのかわりマウントして、交尾を試みては頭をポカリとやられているようなしだいです。わが家の周辺には野ウサギもたくさんいるので、そっちで嫁さん見つけたら?っていってるんですけどね。

思えば、去年の十五夜にはじめて戸外を経験し、おそるおそる庭先を一周して室内に逃げ込んだ子ウサギが、いつの間にか一人前になっていたんです。今や戸外の生活に味をしめて、室内にもどって来ることはありませんが、わが家の境界はちゃんとわかっているらしく、隣近所まで足をのばすことはないようです。近所に除草剤を撒く婆ちゃんがいて、それが心配だったのですが、これも無事にクリア。ただ、敷地内ではしたい放題なので、せっかく芽を出した花や野菜が無惨な姿になるのが、ちょっとつらいところです。

でも、モモの顔を見るとそんなことは忘れてしまい、逆に機嫌を取っていたりして・・・。ウサギはその容姿だけでなく、性格的にも人の心をくすぐるところがありますから、家人がみんなして甘やかす。それも顔を合わせるたびにおやつを与えたりするものですから、最近、顎が二重になってきました。おやつ禁止令を出しているのですが、あまり効力はなく、モモの威力にはかなわないようです。

話は変わって、益子GEFの危機的状況についてひとこと。アラレちゃんが先週から突然、右腕が上がらなくなって、五十にもならないのに五十肩?その分、わたしが頑張らなくちゃ、と思っていたところ、たった今、右腕が使えなくなってしまいました。したがって、これは左手だげで入力しています。つらい。

なぜそんなことになったのか。はい、この事務局には住み込みの猫のほかに通いの猫がおりまして、オス同士がかち合うとケンカになります。つい今しがたも、通いだけど古株の黒猫がご飯を食べに来ていて、そこへ住み込みではあるけれども新顔の黄トラがケンカを売りに来たわけです。その黄トラを追いやりにかかったら、なにを思ったか、こいつがいきなりわたしの腕に噛みついた。それも興奮状態だったから、思いっ切り。

猫に噛まれたぐらい、と思われるかもしれませんが、これが一時的に失神するぐらいハードなもので、吐き気はする、脂汗は出る、そして血の気がなくなる・・・。のみならず、今夜あたりパンパンに腫れあがる、というおまけつき。ようやく起きあがり、血をぬぐって消毒を終えましたが、右手が震えて使えない。痛いやら腹が立つやら、でも通信は続けないとね。

それでもこれは外傷ですから、数日で使いものになるでしょうが、問題はアラレちゃんの腕。早くよくなることを祈っています。

今週の野菜とレシピ

好子さんのキャベツが不調。根をセン虫にやられて、なかなか大きくなれないでいるうちに、青山さんのカリフラワーのほうが先に育ってしまいました。カリフラワーは小房にわけて湯がきますが、そのとき塩といっしょに酢を少々たらしてください。そうすると色白に仕上がります。また、小房にわけたとき「お客さん」に遭遇してしまう場合がありますが、これはヨトウムシ。収穫時に確認しているのですが、中に入りこんでいるとわからず出荷してしまうことがあります。そんなときは申しわけありませんが、楊枝かなにかでつまみ出して捨ててください。育てたりする必要はありませんので、念のため。

間引き大根は一夜漬け、またはちりめんじゃこといっしょに炒めて常備菜にします。大根と葉をわけて、葉っぱのほうはさっと熱湯にくぐらせてから小口切り。大根も同様に切ってください。フライパンに胡麻油を熱して、ちりめんじゃこをよく炒め、大根のほうから加えて炒めます。葉っぱはぎゅっとしぼって水気をよく切ってから炒めてください。醤油と七味唐辛子少々で調味。仕上げに煎り胡麻をふって・・・。ちりめんじゃこを挽肉で代用すると、子供がよく食べてくれます。

この小さな大根が、ひと月後には一人前に育ちます。秋風が吹きはじめると、どういうわけかおでんが恋しくなるのですが、もう少しご辛抱くださいね。わたしもスーパーの大根を横目にしながら、我慢、我慢と自分にいい聞かせているしだいです。毎年、この時期には大根が待ちどおしくなるのですが、栃木県では9月に入らないと大根の種が蒔けません。無理をして早く蒔いても、有機栽培だと虫に食われたり、とろけたりして消えてしまうからです。そういう事情がわかっていても、やっぱり大根がほしくなる。わかります。申しわけありません。

秋茄子もそろそろ終盤。名残を惜しんで、わが家ではこの時期の茄子は薄切りにして、ニンニクといっしょにオリーブ油でじっくり炒め、ペースト状にして保存します。味つけは塩、胡椒とオイスターソース少々で、このままパスタに和えても美味。保存といっても、数週間しかもちませんから、ガーリックトーストにのせたり、キャベツを待ってロールキャベツの挽肉に混ぜたりして使い切ります。

もちろん焼き茄子、味噌焼きなどなど、名残の惜しみかたはたくさんあります。香りのいい新生姜をたっぷり添えてどうぞ。