夏の虫対策

2006年7月第2週

今週の野菜セット

今年はじめてヒグラシの声を耳にしました。長かった梅雨も、もうすぐ明けるんですね。

ヒグラシのカナカナカナという羽音は涼しげですが、晴れた夜には地虫の声も聞こえてきます。地中でジーッと鳴るケラの羽音は暑苦しく、これが聞こえているときは夜風もぴたりと止むようです。

通称オケラ。子供のころはよくこれを堀り出してオモチャにしたもので、ダンゴ虫とおなじくらいポピュラーな遊び道具でしたが、10年ぐらい前まで、栃木県にオケラはいませんでした。地中から聞こえてくる音など耳にすることがなかったし、みんな名前すら知らなかったぐらいですから・・・。

農業関係の本を見ると、よくケラの退治法が出てくるのですが、その都度「ケラってなに?」と聞かれたものです。ほら、あれよ、ミミズだって、オケラだって、みんなみんな生きているんだ、しあわせなんだ、って歌があったでしょう?ま、ミミズはありがたい存在で、ケラはその逆みたいだけどね。

そのケラが、このごろでは日暮れになると、いたるところで音を立てるようになりました。みんなそれには気づいていても、それがケラだとは思っていないようですが・・・。これも温暖化のなせる業。そのうち、このあたりの農家にも、ケラ対策が必要になってくるんでしょうね。

夏といえば虫の季節。とくにわたしたちには蚊の暗躍が気になります。都会に住んでいるとそれほどでもないんでしょうが、今年は雨が多かった分、蚊が大量発生しているらしく、夕刻には事務所の中まで入ってきます。

今まで、事務所の机の下に蚊がひそんでいることなどありませんでしたし、たまに外に出ていても、刺されるのはたいていアラレちゃん。わたしは無関係でいられたのですが、今年はなぜかわたしのほうがやられるのです。うちでは家族がやられ、わたしは無傷でいられるのに、なぜ?

アラレちゃんが種明かしをしてくれました。彼女、今ダイエットのためにバナナ酢なるものを飲んでいるそうです。バナナと黒砂糖とりんご酢を発酵させるそうですが、ダイエット効果のほうはどんなもんだか・・・。あまり変化は見られないようですが、おかげで蚊に刺されなくなった、と本人は大喜び。

彼女のところには犬が3匹います。ひとりでは無理なので家族で散歩に出るのですが、夕刻、それも田圃や畑の畦道を歩くのですから、ヤブ蚊の総攻撃を受けるんですね。とくにアラレちゃんの被害はハンパではなかったそうです。それがバナナ酢を飲むようになってから、ぴたりと刺されなくなった。家族はあいかわらず刺されているのに、自分は無傷。この夢のような状況を作り出したのが、バナナ酢の元になっているりんご酢だったんですね。

わたしも事務所で蚊に刺されるのはイヤですから、りんご酢を飲みはじめました。毎年、山羊には飲ませていて、今年から犬猫の飲み水にも少しずつ入れていながら、自分は飲んでなかったんです。昔にくらべたら虫にやられにくい体質になっているので、ちょっといい気になっていたのかもしれません。

どんな酢でもいいのですが、虫対策にはりんご酢がとくにおすすめみたいです。イギリスかドイツか忘れましたけど、酪農家がりんご酢と海藻エキスを飲み水に混入したところ、蚊やブユはもちろん、牛につきまとうハエまでいなくなった、という報告をだいぶ前に読んだことがあり、それをそのまま山羊に応用させてもらっているのですが、たしかに効果は絶大です。それ以前は、山歩きをするとマダニがついたりしていたのですが、それもなくなりましたからね。

というわけで、この夏はりんご酢で虫知らず。野菜たちもお酢の葉面散布で快適に暮らしているようですから、わたしたちもあやかることにしましょうか。

今週の野菜とレシピ

ようやく梅雨が明けそうですが、今年は春先からほとんど日照がなく、雨が続いていましたので、野菜も今ひとつ元気がありません。多湿に弱いズッキーニなどは、早くから実をつけていたにもかかわらず、これからというときになってダウン。病気が入ってしまったらしく、実ができても傷みやすいので出荷は取りやめになりました。

家庭菜園のズッキーニはほとんどが実もつけないまま、ダメになっているようですから、まあ頑張ってくれたほうでしょう。茄子にいたっては、プロでもうまく行かなかったようで、栃木県内の茄子は全滅と聞きました。被害額もかなりになりそうです。

でも、好子さんの茄子はここへ来て調子を取りもどし、例年並みになってきました。甘みも増してきたようです。ただし、苗の時期にかなり苦労をしていますから、中には早く次世代を作ろうと焦って、種が黒くなっているものがあるかもしれません。見栄えはよくありませんが、食べても差し支えないので、茄子の身の上を思いやってご容赦ください。

パンパカパーンとトマトも登場。夏野菜の王様みたいな存在ですから、鳴り物入りで出てきました。一番果のトマトは表面に傷が入りやすいのですが、甘みも酸味も適度にのって、味のほうは一人前です。益子GEFの野菜は無農薬が原則ですが、トマトだけは苗の時期、消毒散布しています。

新ゴボウはかき揚げにすると、香りが引き立ちます。きんぴらでもサラダでも、なんでもOKですが、洗うときには布巾などを使ってやさしく扱ってくださいね。なぜならゴボウは皮が取れてしまうと、ゴボウを食べる意味がなくなるというぐらい、皮の部分に栄養が集中しているからです。アク抜きにもあまり意味はなく、食味にはまったくといっていいほど影響がないそうです。

どじょうインゲンもかき揚げがおいしいですね。急に気温が高くなると、身体がだるくなってきますが、そんなときには実だくさんの味噌汁がいちばん。玉葱とじゃが芋とインゲンとか、おかのりとニンジンとか・・・。ふしぎと身体がしゃんとするものですよ。