ゴミ大国の春

2006年4月第4週

今週の野菜セット

あいかわらず肌寒い日が続いています。週末には台風並みの雨と風。台風とちがうところは、風が北西から吹いてくること。これは冬の風なのですが、かと思うと雷鳴がとどろいて、大粒の雹まで落ちてきました。

まあ、季節感がないというか、ありすぎて困るというか、日差しは春なのに冬の風が吹き、そこに真夏の夕立まで入りこんでくるという、盛りだくさんな一週間でした。そんな気候のせいか、桜は半月を過ぎても花が散らず、蕾を開きはじめた八重桜とソメイヨシノが同時に見られるという、まれな光景が生じています。

山桜もそろそろ開花。この時期の山の景色は、新緑にはなりきらない芽吹きの淡い色合いと、そこに点在する桜のピンクが入り混じり、お天気がいい日でもうっすら霞がかかったような、微妙なパステルカラーに彩られています。鳥の声もにぎやかになってきて、ケキョケヨケキョと舌を噛みそうだったウグイスも、だいぶ上手に鳴けるようになってきました。

山の中に入ってくる車も多くなりました。山菜取りがほとんどですが、中には希少種の山野草を採集している人もいます。ほとんど見分けはつきませんが、雰囲気が微妙にちがうので、すれちがっただけで、ああ、これはワラビ取り、これはカタクリや蘭を狙っているな、と区別がつくんです。

山菜取りの人たちは、どちらかというとのんびりした感じ。それに対して山野草取りの人というのは、それが趣味であれ、商売がらみであれ、なんとなく眼光鋭い感じがするからです。後ろ暗いところがあるのか、挨拶もそこそこに通り過ぎてしまいますしね。

しかし、共通点もあるのです。それは持参した弁当や飲み物の残骸を、そこらに放置したまま帰ってしまうという点で、コンビニの袋に入った弁当箱があちらこちらで風に舞う。タヌキやカラスがそれをバラバラにしてしまうので、プラスチックや発泡スチロールの花吹雪となるわけです。タバコの吸い殻、ビールの空き缶、アイスキャンデーの袋などなど。中には家庭のゴミまで置きみやげにする人もいる始末。

このマナーのわるさ。怒りながらゴミを拾うぐらいなら、笑いながら通りすぎたほうがいい、というのがわたしの持論ですが、それでもときどきイヤになる。山にかぎらず、道を歩いていてもかならずどこかにゴミがあり、ちょっとした空き地などはゴミの山。みんな、いったいどうしちゃったんだろう。人っ子ひとりいない、ゴミだらけの廃墟にでもいるような、暗澹とした気分になることがあるのです。

世界中を旅したわけではありませんが、こんなにゴミが散乱しているところを、わたしは見たことがなく、この国が将来までも投げてしまっているようなイヤーな気分になるんですね。あ、そういやアメリカから帰ってきた人の話によると、あちらもけっこうゴミだらけだとか。ヨーロッパでは、どんな小さな路地に入っても、人気のない散歩道でも塵ひとつ落ちていなかったのと対照的だったという話です。やっぱ、そのあたりもアメリカナイズされているんだね、というところに落ちついたのですが・・・。

では、アジア諸国はどうなのか。おなじ祖先を持つかれらのマナーはいいのか、わるいのか。それが目下、最大の関心事なのですが、だれか教えてくれませんか?アジア、アフリカ、中近東、どこもかしこもゴミだらけなら、わたしもこの状況、あきらめて受け入れることができるのかもしれません。いや、それならそれで、世界的な危機とばかり、震えあがってしまうのかもしれませんが・・・。

今週の野菜とレシピ

今週は山ウドが入りました。てんぷら、きんぴら、お吸い物と利用範囲の広い山菜。根元の白いところは生のまま、味噌をつけて食べても美味です。

山東菜は別名を白菜(しろな)といって、クセのない味が特徴。葉先のやわらかいところをレタスがわりに生食し、根元のしゃきしゃきしたところも胡麻油を加えた中華風ドレッシングで食べるという手もあります。煮魚の煮汁でさっと煮て、魚につけあわせたり、スープにしてもおいしいですよ。

小かぶは薄切り、葉っぱもきざんでいっしょに塩もみ。スライスしたレモンを加え、オリーブオイルと醤油をたらすと、サラダと漬け物の中間みたいなさっぱりした一品に・・・。ご飯にもパンにも合います。

ニラは春先のけだるいような疲労感を一掃するのに最適ですから、おひたしや炒めもので・・・。

しめじはこれが最後になりそうです。出しがよく出るので、小松菜やアートグリーンといっしょにスープにしてよし、油炒めして塩、胡椒、レモン汁をかけてもよし。これもレモンがよく合いますので、今週はレモンをひとつずつサービスします。このレモンも最後に残っていたものを、野口さんに無理をいって分けてもらいました。

来週はフキが入ります。