冬支度

2006年10月第3週

今週の野菜セット

日中は気温が上がっても、朝夕、冷えこむようになりました。このあたり、夏は東から風が吹き、冬は西からの寒風となるのですが、今のところはまだ東風。でも、それが日に日に冷たくなってゆきます。

虫の声も一時のにぎわいはなくなって、心細いものになり、それがまた秋の深まりを感じさせます。お腹をパンパンにふくらませたカマキリを見かけるようになり、卵も発見。今年は地面から20センチ前後のところに産みつけていますから、去年のような大雪はなさそうです。

人間界もそろそろ冬支度。わが家ではコタツが登場し、ガレージが積み上げられた薪で薄暗くなりました。これは日時計ならぬ季節の進行計で、山になった薪が減ってゆき、暗いガレージ内に日が差すようになると、春が到来するという寸法。

この冬は山羊の食糧さがしに奔走する必要がなくなったので、楽といえば楽。でも、十数年続いてきた習慣が途絶えてしまうので、なんか気が抜けたような感じがしないでもありません。山羊の冬場の食糧はカシの葉が大半を占めるので、絶えずあたりに気を配り、カシの枝を落としているところがあったら、すかさずそれをもらい受ける。事情を知っている近所のオジサンたちは、庭木を切るとかならず電話をくれたものです。このオジサンたち、みんな訛りが強いので、電話を受けた家人は???となるんですけどね。

なにをいってるのかわからない電話があった、というと軽トラですっ飛んで行って心当たりをさがすのですが、今年はそのオジサンたちに山羊がいなくなったことを話さねばならず、それがちょっと気が重い。あらあ、そうけえ、そら寂しいわなあ、なんていわれたら、ほんとに気が滅入りそうですからね。

長年の習慣とはおそろしいもので、未だに車を運転しながら、気がついたら山羊の好物を物色していて、そういうものに出くわすたびに、あ、ユーリはもういなかったんだ、と思い出す。ユーリの死は寿命でしたから、死そのものはそれほどショックではなかったのですが、寂寞とした不在感はなかなか消えてくれないようです。

山羊の食糧さがしは、同時に薪の確保にもなっていました。カシの太い枝は火持ちもよく、最良の薪になったからです。今年はとうとう、近所の薪屋さんから薪を買ってしまいましたが、来年からは全面的に薪屋さんのお世話になるのかな、と思ったら、これまた気が楽なような重いような、複雑な気分です。

先週、益子GEFの危機的状況なんて、おおげさなことを書きましたが、わたしのほうはビワ種を粉末を飲みながら、それを水に溶いてドロドロにしたもので湿布していたら、腫れも引き、すぐに使えるようになりました。ビワ種を飲むと、瞬時に痛みが遠のいてゆくのにはびっくり。

アラレちゃんもだいぶ腕が上がるようになり、危機的状況は解消されました。いろいろご心配をかけたようで、かえって申しわけありませんでした。今週は元通りになっていますので、遠慮なく、なんなりとお申しつけくださいね。

今週の野菜とレシピ

秋も深まって、馬田さんのシルク椎茸が復活。ただし今週はまだ出はじめなので、120グラムとちょっとすくなめ。菌床にシルクプロテインを使っているので、食感がなめらか。香りもいいので、青物といっしょにスープにするとおいしいですよ。

今週は好子さんのキャベツが入る予定でしたが、前にもお話したように、暑い時期に根をセン虫にやられたため、なかなか大きくなれません。そろそろ使えるかな、と思ったのですが、現物を見てみるととても野菜セットに入れられる代物ではありませんでした。申しわけありませんが、半年先の春キャベツにご期待ください。

前々から予定表に登場しているキク芋も育ちがわるく、代わりにさつま芋が入りました。キク芋というのは見た目が生姜、じゃが芋とゴボウをミックスした味と香りなのですが、生活習慣病に効果があるそうです。地上部は巨大で、菊のような黄色い花を咲かせますが、肝心の地下部のほうがなかなか。もうすこしお待ちください。

好子さんのニンジン、まだ小ぶりですが甘さ、香りのよさ、やわらかさはさすがです。他の追随を許さない、彼女ならではのニンジンで、火の通りの早さがその証。一度、彼女のものと別の人のニンジンをいっしょに炒めたことがあるのですが、色のちがいもさることながら、火が通る時間のちがいに驚いたものです。質のいい野菜は、ガス代節約にもひと役かっているようです。

春菊も出てきました。この時期の春菊はサラダがおすすめ。りんごやアボカドといっしょに、フレンチドレッシングに醤油を少し加えて・・・。このドレッシングがなかなか作れない人が多いようです。それが証拠に、スーパーの棚にはいろんな風味のドレッシングが林立しています。こんなもの、だれが買うんだろう、と思っていたら、なんとうちの娘が使っていたのでびっくり。

ドレッシングを作るには3人のキャラクターが必要だといわれています。すなわち酢を入れるケチと、油を入れる浪費家、それにかき混ぜるキチガイ。その通り、少量の酢に多めの油、それに塩と胡椒を適量入れて、泡立て器でガチャガチャやれば、簡単にフレンチドレッシングはできてしまうのです。そこに玉葱のすりおろしを少量入れればよりおいしく、胡麻油と醤油を入れれば中華風、ワサビと醤油を入れれば和風になります。ハーブや大根おろしを入れてもOK。オリジナルのドレッシングを作ってみてください。

来週の予定にはじゃが芋とありますが、青山さんが岩手から山のキノコを持参してくれるようなら、それに合わせて里芋が入ります。