お盆あれこれ

2006年8月第3週

今週の野菜セット

ようやく真夏日になったと思ったら、もうお盆。このあたりはお盆を境に、朝タの風が冷たくなります。しだいに秋の気配が探まってくるのですが、今年のように夏が短いと、残暑に期待が寄せられたりして...。

ここへ来て、稲の花が匂い立つようになりました。日向くさいような、甘く香ばしい香りです。品種によってはもう実をつけて、穂を垂らしているものもありますが、コシヒカリはやっと花をつけたばかり。実入りをよくするためにも、この暑さ、うっとうしいけど貴重です。

このあたりではお盆中、朝食には餅、昼にうどん、タ飯に白いご飯を食べるという風習があります。それを遵守する家は減る一方で、今ではほとんど見られませんが、農家では未だにこの時期、餅をついている家があります。餅は傷みやすいので、紫蘇や笹といった殺菌効果のある葉で巻かれ、きれいに並べて仏壇に供えられますが、暑い最中に餅を食べるのはけっこう苦痛。わたしも何度かおすそわけをいただいたことがありますが、もてあましてしまいました。今ではお供えだけというケースも多いようです。

お昼のうどんは乳茸(ちたけ)という、夏のキノコの出しで食ペます。乳茸というのは切ると乳が出るので、そういう名前がついたのですが、ほぽ全国で採れるのに食用にしているのは栃木県でもごく一部の地方だけ。今では貴重品で、とても高価なものになってしまいましたが、これだけはこの地方の人にとって、いろんな風習は無視しても、ひと夏に一度は食べたい郷土の味になっているようです。

乳茸は濃厚な出しが出るので、茄子といっしょに油妙めして、水と醤油と味酪で味つけ。ミョウガを薬味に、手打ちうどんをつけて食べると、たしかにクセになる味で、わたしもこのときだけは栃木県人。この時期、無性に食べたくなります。

その昔、まだ東京に住んでいたころ、益子の知人の家でこれをいただいて、帰ってから何度も挑戦して失敗した記億があります。乳茸というものを知らなかったからですが、茄子とミョウガと干し椎茸。うーん、これじやない、というので挽肉を加えたりして、ますます味が遠のいてしまったりして...。こちらに居をかまえて、ほんとうの乳茸うどんができたときは、ほんとうにうれしかったものです。

やっばり旅行者じやダメなんですね。住み着いてナンボのもん、とそのとき実感したものです。

お盆中、都会の道路ががら空きになるのに反して、こちらはふだんスムーズに流れている道が混み合ってきます。スーパーやデパートも、来客に備える買い物客でごった返し、お盆の行事には無縁のわたしたちまで右往左往。田舎に住んでいると、お盆というのは正月とおなじぐらい大きなイべントなのです。迎え盆には、提灯を片手にぞろぞろ歩く家族の姿。お墓まで来ると提灯に火を灯し、来た道をもどります。最近は車で送り迎えをするケースも多いようですが、ご先祖はちゃんと車に乗ってるんでしょうか。車の後を追いかけるのでは、霊といえども息が切れるんじやないか、なんてよけいな心配。ご先祖を家の中に入れるときには、なぜか玄関を使わず、縁側からと決まっているそうですが、これも集合住宅の場合、ちゃんとペランダから入れるのかな、とこれまたよけいな心配をしたりして...。

でも、実際にお盆中はご先祖たちが帰って来ているらしく、霊感の強い娘の友達など、いつもこの時期になるとうちに泊まっていたものです。夜中に歩きまわる者やら、酒を飲んで騒ぐ者やら、うるさくて寝られないから、というのがその理由。へえ、死んだ人がお酒を飲むの?お酒も飲むし、ご飯も食ペる。毎年騒ぐのは、たぶん××おじさんだと思う、という話でしたから、朝昼晩ど餅やうどんを作る風習。お嫁さん泣かせかもしれませんが、ご先祖たちは喜んでいるんでしようね。

お盆の帰省ラッシュをニュースで見るたび、バカみたい、と以前は思っていましたが、年に一度、亡くなった人たちに子供や孫の成長ぶりを見せてあげたい。そのためなら渋滞も満員電車もなんのその、という意気込みに感動すらおぼえるようになりました。でも、ラッシュには事故がつきもの。いくらご先祖孝行といっても、ついて行ってしまったのでは元も子もありませんからね。帰路には十分ご注意ください。

今週の野菜とレシピ

福田さんのトマトが失速してきたので、メニューから消えました。そのほかの夏野菜も、先週の雨で花芽が落とされたため、量が採れなくなっていますい夏野菜、多難の年みたいです。

そんな中で、ゴーヤが頑張ってくれていまt はじめて食べたときには違和感があったけど、いまでは大ファンという人が多く、すっかり日本の夏に定着している感があります。レイシという、苦みの少ない品種が定着しているせいもあるんでしようけどね。

ゴーヤといえばチャンプルー。豚肉と豆腐がつきものですが、豚のかわりにウナギの蒲焼きを小さく切って使うと、さらに苦みがマイルドになります。蒲焼きについているタレも味つけに使うからですが、ゴーヤはどうも、という年寄りもこれはよく食ペてくれます。豆腐は重しをして、しっかり水切りしてから使ってくださいね。

つるむらさきは好き嫌いの多い野菜のひとつですが、夏バテ防止にぜひ食べていただきたいものです。事務局の昼食で人気があるのが、つるむらさき素麺。つるむらさきは葉を落とし、茎を斜めに細く切ります。葉っばのほうは適当に包丁を入れればOK 。ニンニクひとかけはスライス。挽肉を少量用意して、あれば青とうがらしも数本、きざんでおいてくださしち

フライパンに油を熱して、ニンニクと挽肉、青とうがらしを妙め、つるむらさきを茎のほうから妙めます。味つけは塩とオイスターソースのみ。青とうがらしを使わなかった方は、一味とうがらしを入れてください。これだけ用意してから素麺をかために茄で、水にさらして胡麻油少々をからめてから、つるむらさきを和えたら完成。青とうがらしのピリピリ感が爽快ですよ。どうしてもつるむらさきはイヤという方は、ゴーヤやピーマンで代用することもできます。いただきものの麺類を処分するにも、格好のお手軽料理。素麺がなければ冷や麦でもけっこうです。