熱気球

2006年11月第4週

今週の野菜セット

この秋は小春日和が続いていたせいか、紅葉のほうは今ひとつぱっとせず、葉緑素が抜け、これから色鮮やかになりますよ、というところで落葉がはじまった。そんな感じがするぐらいです。

それでも益子の空はこの時期だけ、色とりどりの風船が舞い、最近ではそれが晩秋の風物詩になった感があります。熱気球の競技なのですが、40キロぐらい先にあるサーキッドを出発した気球が、大挙してこちらへやって来るのです。1キロぐらい離れていても、シュボーッという怪獣の寝息のような音が響くので、あ、今年もあれがはじまったんだな、とわかります。それに反応して、あちこちで犬が吠えたてるのでもわかりますけどね。

真下から見ていると、バーナーが音を立てるたびに炎が上がるのが見え、見た目の優雅さとは裏腹に、乗っている人はかなり大変そう。飛距離と飛行ルートの正確さを計る競技なのだそうですが、このあたりまで来るとかなり高度を落としているものがあり、人家の屋根をかすめそうになるもの、中には田圃や畑に不時着しているものもあり、そうなるとバーナーの立てる音はますます忙しく、乗組員は四苦八苦しています。ここからさらに高度を上げ、峠を越えて益子の町中を縦断するコース。事務局のある真岡に向かうコースと、数日にわたって競技は続きます。

この大空に色とりどりのクラゲが浮遊するような光景は、子供だけでなく大人にも魅力があるようで、たいていの車が徐行しています。中には計測の邪魔になると、気球の伴走車から苦情を受けている熱心なドライバーもいて、いつもは静かな農道がつかの間のお祭り騒ぎ。わたしも今日はのんびりと出勤し、熱気球の浮力をもらったような気分になりました。

熱気球といえば「80日間世界一周」が思い出されますが、あんな小さなゴンドラの中で80日間はつらいだろうな、とも思いました。気球に熱は送り続けなくてはならないし、進路にも気を使うとなれば、ゆっくり景色など楽しむ余裕もないだろうし、おまけにゴンドラは吹きっさらし。風は冷たく、それが強くなれば揺れるでしょうから、酔う可能性も出てきます。雨のときはどうするんだろう。食事は、トイレは?などと考えはじめると、けっして快適な旅ではなかったはず。

見ている者には、気球がまるで夢でふくらんでいるかのように、心地よさそうなんですけどね。それでも年々競技に参加する人が増えているところを見ると、地上からは想像もつかない愉悦があるんでしょう。伴走車には欧米系の外国人の姿が目立つので、国外からの参加者も多いのだと思います。

飛ぶ阿呆に見る阿呆なら、私も飛ぶ阿呆になりたいなあ、と思うのですが、あんなのお金がかかるんだろうな、と思ったとたん、空気がしゅーっと抜けて地上に引きもどされました。

おなじサーキッドで毎年、7時間耐久自転車レースなどというのも催されていて、これには息子が参加しています。数人のチームを組んで、とにかく朝から日暮れまで、起伏の多いコースをひた走るというレースですが、中には7時間ぶっ続けで独走する剛の者もいるそうです。息子のチームは唯一レース用ではなく、ママチャリで参加。それでも最下位は免れているというのが自慢ですが、この時期になると体力増強のため、にわかランナーとなって朝夕走りまわっています。

これも年々参加者が増え、今年は400組近い参加者になるのだとか。でも、こっちのほうはわたしも見る阿呆で十分満足。ま、頑張ってください。

でもね、山歩きをすると、ジムに通っている息子などより、わたしのほうがずっと体力があるんですよ。身体を動かすのにお金を使っている分、脆弱になるんじゃないか、というのは偏見だとしても、遊びというのは一時的なもの。持続性がないんだと思います。

運動にせよ、遊びにせよ、それが生活に密着していればこそ充実するもので、空は飛べないないかもしれないけど、確実に血や肉となる。あのおびただしい熱気球も交通手段のひとつにでもなって、日常的な風景となってはじめて、ほんとうの美しさを確保できるんじゃないか、と思ったしだいです。

今週の野菜とレシピ

今週は青山さんの山芋が入りますが、これは自然薯を小分けにして畑に植えたものなので、粘りはほんものの山芋ほどではありません。が、香りと甘みは山のものとおなじ。ガスの火でヒゲ根を焼いてから水洗いし、皮をつけたまま摺りおろしてください。

サニーレタスも入りました。これはサラダで・・・。油揚げをオーブントースターでカリカリに焼いてから細く切り、これに芥子醤油をまぶしてからレタスに混ぜると、ご飯のおかずにもなる和風サラダ。おいしいですよ。

小松菜ほんれん草春菊と青菜が豊富。こういう青菜を食べていると風邪をひきにくくなるのですが、とくに春菊は風邪気味かな、と思ったときに食べるといいそうです。それでもインフルエンザが流行するとかないませんが、そういうときに抗菌作用を発揮するのが椎茸。

椎茸は干したり凍らせたりすると効力が強くなる上、味と香りもよくなります。わが家では新鮮なうちにスライスして冷凍庫に入れ、それを小出しにして使っていますが、スープや味噌汁にほんのすこし入れるだけでも香りがいいので、みなさんにもおすすめ。切り落とした石づきの部分も、ザルに入れておけば勝手に乾燥してくれますから、これはこれで出し用にご利用くださいね。