祭りのあと

2006年11月第2週

今週の野菜セット

小春日和が続いていましたが、朝夕の冷えこみはだんだん強くなり、日に日に冬の足音が近づいてくきます。釣瓶落としの秋の日暮れが、それに輪をかけるようです。

紅葉シーズン。先週末は日光へ向かう紅葉狩りと、益子の陶器市目当ての車が重なって、このあたりではめずらしく道路が混み合いました。ちょっと買い物に出ても、数時間は帰れなくなりますから、益子の住人は買いだめをして籠城します。わたしは仕事があるのでそういうわけにはゆきませんから、裏道を走るのですが、カーナビの普及のせいか、裏道も車が多くなりました。

その裏道にゴミが目立つようになるのも、この季節。ポリ袋に入ったゴミが点在するのはまだしも、犬猫をこんなところまで捨てにくる人がいるんです。こうなるとマナーの問題では済まされませんからね。そのうちに、年寄りや子供まで捨てられるようになるんじゃないか。そうなったら、この国はまちがいなく滅びるよ、と毎年、春と秋の陶器市が終わるごとにささやき合い、嘆息しています。

陶器市のにぎわいが去ると、今度は山に人が入るようになります。狩猟が解禁になるからですが、この連中のマナーもよろしくありません。みんながみんなではないのでしょうが、ゴミは置き去り。ひどいのになるとタバコの火で山火事を出す。もっとひどいのは、加齢や病気で使いものにならなくなった猟犬を置いてゆく・・・。

人家の屋根ごしに、散弾銃の薬莢がバラバラと落ちてくるのもめずらしいことではなく、わが家の周辺は鳥獣保護区になっていて、狩猟はできないはずなのに、ときおりそれを拾うありさま。山羊を連れて山歩きをしていたころは、鳥獣保護区でもハラハラ、ドキドキしたものです。犬を連れていても安心はできないので、ド派手なセーターを着て、ときおり奇声を発しながら歩きまわる。人気のない山の中だからいいようなものの、顔見知りには出会いたくないものです。

また、水鳥を狙った散弾が浅瀬にばらまかれると、鳥たちは好んでそれを啄みます。なぜそんなものを食べるかというと、鳥には砂肝がありますからね。そこで食べ物をすりつぶすために小石が必要。散弾がそれにちょうどいい大きさであるうえ、光っているので小石よりも見つけやすい。というわけで口にして、深刻な鉛中毒が広がっているそうです。

また、水辺には釣り人がやって来ますが、かれらのマナーの低下も問題になっています。猟銃を手にするにはライセンスが必要ですが、こちらはもっとお手軽で人口が多い分、タチがわるいんだとか。水鳥の事故の大半が、かれらが置き去りにする釣り糸だといいますからね。

今年も、益子の池や沼にカモがたくさん飛来しました。かれらはちゃんと禁猟区がわかっているらしく、安全な場所には大挙してやって来ます。そういうところにはかならずといっていいほど、パンの耳やクズ米を持参する人がいて、その人たちが釣り人の忘れ物をかたづけてくれています。

ツバメ同様、かれらも人の庇護のもとに置かれるようになった感がありますが、助けるのも人なら、それを殺傷するのも人。その差は、ほんのちょっとした心遣いだけなんですけどね。

カモほど人に頼ってはいませんが、今年もサギは幼鳥が残されました。ここ数年の現象なのですが、温暖化の影響で真冬でもサギの餌に不足しなくなったためではないか、と推測されます。幼鳥が危険の多い渡りをするよりは、残ったほうが生存確立が高いからではないか。翌年、帰ってきた親たちと合流するころには、灰色の羽毛が親とおなじように白くなって、どれが幼鳥だったか区別がつかなくなります。

冬の風物詩も変わり、そのうち灰色のサギが冬の季語になる日も近い?刈り取りの終わった田圃に点在。用水路で餌を物色する灰色のサギの姿は頼りなげですが、夕刻、飛び立つ姿を見ていると、帰ってゆく方角はみんなおなじ。親のいなくなった巣で、身を寄せ合って眠るんでしょう。

そんな光景はほほえましいけど、親も渡りをする必要がないほど餌が豊富になってきたら、これはこれで大問題。そこまで温暖化が進行したら、氷の世界に住む動物たちが絶滅してしまいますものね。

今週の野菜とレシピ

ようやく北海道から玉葱じゃが芋が届きました。長らくご無沙汰していたじゃが芋のほうから野菜セットに入ります。

大根かぶも大きくなってきました。これぐらい立派になってくると、おでんでもポトフでもOK。かぶとじゃが芋を塩味で煮て、仕上げに生クリームをたらしたスープ、とてもやさしい味であたたまりますよ。

大根の皮をピーラーを使ってむき、それを4~5センチに切って塩でもみます。それをさっと水洗いして、キムチの素で和えると歯ごたえがよく、カクテキよりも美味。大根の葉のやわらかいところや、ピーラーで薄くそいだニンジンを加えると彩りもきれいになります。

そのキムチの素ですが、市販のものは今ひとつ。かといって本格的に作るとなると材料をそろえるだけでも大変なので、うちでは簡単にキムチの素もどきを作っています。アンチョビ1缶を包丁で叩くように細かくして、ニンニクと生姜の摺り下ろし、たっぷりのとうがらしと煎り胡麻、オイスターソース少々を加えてかき混ぜるだけ。ただし、とうがらしは国産のものでは辛くなりすぎるので、韓国産のものを使ってください。キムチのみならず、炒め物や煮物にちょっとアクセントをつけたいときにも使えて便利です。