不二家騒動のこわいところ

2007年1月第3週

今週の野菜セット

左上から時計回り

寒い毎日が続いていますが、陽光には早くも春の兆し。今年は春の到来が早そうですが、早すぎるのも考えもので、長い冬に耐えながら心待ちにされてこそ、ありがたみがあるのではないでしょうか。

山に入ると、もう木々の新芽がふくらみ、ほんのり赤みをおびていた先端が淡くなりはじめています。これが白くなるともう春で、産毛に包まれた小さな葉が、花のように咲きこぼれるのも間近。ほんものの花よりもきれいなぐらいですが、それがつややかな緑になるころには、もう山歩きをしていると汗ばんできます。

短い春ですが、春にかぎらず秋も冬も短くなって、夏ばかり延々と続くというのもつらいですよね。

話は変わって、このところマスコミを賑わしている不二家の「賞味期限切れ」騒動。わたしとアラレちゃんは今、スーパーなどで返品漏れしている不二家製品探しにけっこう力を入れているんです。べつに不二家のお菓子が特別に好きというのではないのですが、子供のころ、ずいぶんお世話になったもんですから・・・。パラソルチョコなんて、おやつの定番でしたものね。

やっと見つけたのが、アンパンマンチョコとペンシルチョコ。残念ながらパラソルチョコは見つからないのですが、田舎のスーパーって、こういうことに過剰に反応しないところがいいですね。田舎でも大手はダメ。地元の人しか知らないようなスーパーがいいんです。そういうスーパーには、季節になると天然ものの茸や山菜が並びますし、ときにおいしい魚も入る。こんな騒動があったって、そう簡単には迎合しない、独自の方針を持ち合わせています。

田舎の小規模スーパーがこれだけ毅然とした態度を取っているのに、マスコミというのはどうしてこうもだらしがないんでしょう。一局二局が騒いでいるのなら、あらまあそうなの、という気になるんでしょうが、どこもかしこも判で押したようにおなじ報道をしていると、不二家がんばれ、といいたくなってくるんですね。すべての食品に賞味期限をつけなければならない、などというお国の政策もちょっと変じゃないでしょうか、なんて気の利いたコメントをする人物も出てこない。

そんなこといったら、二年味噌や三年味噌も賞味期限切れになるし、熟成チーズなどもそう。ヴィンテージワインなど、その最たるものですから、厚生省のお役人はボージョレしか飲んではいけないことになります。それとこれとは話がちがう?そりゃまあ、不二家は発酵食品を扱っているわけではありませんから、当然責められるべき。それはおっしゃるとおりです。でも、だからってすべての製品を売り場から撤去する必要はないのでは?生菓子部門は自粛、謹慎。その他のものに関しては消費者の判断にお任せする、というのが一消費者として妥当な処分だと思う。そういうことがいいかったわけです。

どこを見てもおなじニュース。おなじコメント。なにか不祥事があると、まるで鬼の首でも取ったみたいに責め立てて、だれひとり異を唱えない。右へならえ。これがもしかしたら、子供のイジメを蔓延させている元凶ではないか。子供は社会を映す鏡のような存在です。大人がやらないようなことを、かれらが率先してやるわけがないのですから・・・。

そしてもっと怖いのは、この美しい国が臨戦態勢に入ったとき、マスコミがやはり右にならえで、戦意高揚番組を流しはじめ、だれも異を唱えることができなくなってしまうこと。もしかしたら「その日」に備えて、報道機関がすべておなじ動きをするよう、再編されつつあるのではないか、というのが今回の不二家事件から受けた印象で、わたしたちがパラソルチョコのために奔走する心境もわかっていただけたと思います。

そういえば、あのチョコはパラソルが閉じた形をしています。今となってはそれが、だれの傘下にも入らないという意思表示。不戦の決意に見えてくるから不思議です。きっとそのうち、不二家のパラソルチョコは復活をとげ、平和のシンボルとして人気を博すようになると思いますよ。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんのお母さんの沢庵が入りました。

この冬は大根が大豊作。とても使いきれないので切り干し大根にしようと思ったそうですが、あれはきざむだけでも大変ですし、毎日干しては夜になったら取りこむという作業も大変。すぐに挫折して、大根の山をお母さんのところへ運びこみ、沢庵にしろ、と命じました。沢庵にしてください、と頼むのではなく、命じるところが好子流。たぶん、沢庵作りも手伝っていないのだと思います。

そんなわけで、お母さんの汗と涙の結晶みたいな沢庵が登場するのですが、ウコンで色づけ。ヌカに米麹も加えているため、甘みがあります。田舎ではこれがお茶うけがわりになるので、甘みのあるものが好まれるみたいです。(微量の切り干し大根は、野菜たっぷりセットの方にのみ入りますが、どうしてもという方は別注も可能です)

かぶは厚めに皮をむいて、薄くスライス。それをさっと塩にあて、レモンの薄切りも加え、醤油をたらすと漬け物風。オリーブ油をかけるとサラダになります。ホタテの貝柱を薄切りにして加え、パセリのみじん切りを散らすと豪華版。また、じゃが芋といっしょにスープにしてもおいしいですよ。

じゃが芋は、年が明けて男爵からメイクイーンに変わりました。甘みが強く、皮むきも楽なうえに、煮くずれしないメイクイーンは、煮ものや炒めものに向いています。かぶといっしょのスープには、スープストックも不要なくらい、双方からいい味が出ます。塩、胡椒で味をととのえ、かぶの葉を彩りに加えてください。器に盛ってから生クリームをたらしても美味。

パセリというと料理の仕上げ、または彩りみたいに思われがちですが、小麦粉をふってからりと揚げてもおいしく、てんぷらのように衣をつけるとさらに食べやすくなります。パセリのてんぷらをたくさん作って、翌日それを天つゆでさっと煮てから卵でとじる天玉丼。これは子供に大受けですし、わたしも大好きです。

春菊もかき揚げにして、同様にするとおいしいですよ。