畑の準備

2007年3月第4週

今週の野菜セット

左上から時計回り

寒の戻りもようやくほどけて、そよ風が吹くようになりました。嵐のような北西風が吹き荒れていたのが嘘のようで、週末あたりから風向きが変わりました。今度は南東の風。これは少々吹いたところで、もう身を切られるような冷たさはありません。風が心地よく感じられる季節になったんですね。

早いところでは今週あたり、桜が開花しそうです。このあたりは来週に持ち越されそうですが、辛夷はもう満開。レンギョウも蕾がほころびはじめました。梅の花も依然として健在。咲きはじめたころより、ウグイスの鳴き方が上達し、声も大きくなってきました。

ホーホトトケキョと、独特な鳴き方をするウグイスも帰ってきたらしく、元気な声を耳にしました。姿は見たことがないのですが、その訛りで、ああ、あのウグイスが来てるんだな、とわかるのですが、もう十年以上それを耳にしています。ウグイスの寿命がどれくらいなのかわからないので、けっこう長生きするものなのか、それとも訛りが伝承されているのかわかりませんが、これを聞くと春。それも顔なじみの春が、これまでと寸分たがわぬ姿でやって来た。そんな安心感があるんです。

たとえ錯覚でも、こういうなつかしさがあるから、さあ、今年も夏に向けてがんばるぞ、という気持ちになれるんですね。畑の土が、微生物たちが動きだしています。地面に張りついていた雑草も頭をもたげ、花をつけていますから、こちらもおちおちしてはいられません。追い立てられるように活動開始。

今年はどんな農法を試してみるか。冬の間からいろいろ策を巡らせてはいるのですが、こちらは本職の農家とちがって、出荷というプレッシャーがないので気楽といえば気楽。でも、成功したら農家に薦めることもできるので、いかに楽をして、効率よく品質のいいものが作れるか、けっこう燃えてくるんです。そして自分で考案したつもりのものが、「現代農業」などに掲載されていたりすると、ああ、やっぱりやっている人がいるんだな、とうれしくなってくる。

その一例が有機物マルチ。草除けのビニールマルチがイヤだったので、モミガラや半熟の落ち葉堆肥など、作物ごとに試していたのですが、ビニールがゴミになるのに反して、こちらは使用後には肥料になる。ところが素人の悲しさで、その肥料にする段階が今ひとつパッとしなかったのですが、それがプロの助言で大幅に改善されました。今年はそれを成功させて、来年からは益子GEFの農家にもゴミを出させない。ささやかですが、それが今年の目標で、今から夏を心待ち。春はその準備段階です。

有機物マルチは園芸用にも重宝します。小さな植え込みやプランターなら、台所から出る茶殻で十分。もうすこし広いところには腐葉土を敷きつめます。それでも草は生えてきますが、根が土中ではなく、茶殻や腐葉土の中に張るので抜きやすく、管理がとても楽になります。

肝心のマルチが時とともに減ってくるのは、ミミズがそれを食べているから。減ってきたらまた足しておきます。それがまたミミズの餌になりますから、固い地面も地中に団粒構造ができるため、やわらかくなってくる上、ミミズの出す糞が肥料になるので施肥の必要もなくなります。

それともうひとつ、茶殻や腐葉土が根元にあると、植物のグリーンが鮮やかに見えるという利点もありますので、今年はぜひこの方法で・・・。腐葉土は作らなくても、ホームセンターにあるもので十分です。

今週の野菜とレシピ

毎年のことながら、端境期の野菜セットはメニュー作りに四苦八苦。冬野菜が次々と消えてゆくのに、春野菜の生育が追いつかない。一年中でいちばん苦しいのが、皮肉なことに春を迎えたこの時期なんですね。

今週の援軍はスナップエンドウ。これは中里友久さんのハウスものです。露地では福田幸子さんが絹さやを、好子さんがスナップエンドウを作っていますが、これらが登場してくるのは一ヶ月ぐらい先。ひと足早い初夏の香りです。

とにかく甘いエンドウですから、スジを取ったらさっと湯がいてマヨネーズ。あるいは炒めて塩、胡椒。いずれにせよ味つけはシンプルにして、エンドウの持ち味をお楽しみください。

薬味葱は白いところを3~4センチに切り、さっと湯がいてからサラダにすると一見ホワイトアスパラガス。味のほうも本物のアスパラガスに負けてはいません。マヨネーズやフレンチドレッシングでも美味ですが、たっぷりのオリーブオイルでニンニクをじっくり炒め、そこにアンチョビを加えた熱々のソースをかけ、少し冷めたころにいただくのが最高。パセリもたっぷり使ってくださいね。

じゃが芋はこれが最終。発芽がはじまっているので、甘みもホクホク感も増していますから、丸ごと茹でて上記の葱サラダにつけ合わせ、ソースにからめて食べるとおいしいですよ。発芽はどんどん進みますから、すぐに使わないときは冷蔵庫で保管。好子さんのじゃが芋が出てくるのは6月ですから、しばらくお目にかかれなくなります。

来週は愛媛の野口さんから新玉葱が届く予定です。