秋のスズメとカラス

2007年9月第1週

今週の野菜セット

左上から時計回り

朝夕どころか、日中まで急に涼しくなったので、人間ばかりか夏野菜たちもびっくり。先週はゴーヤもオクラも、青息吐息という感じになってしまいましたが、今週はどうなるでしょう。

台風9号の影響で暑さがもどってくるのかもしれませんが、今年の夏は短期間燃焼型とでもいうのでしょうか、気温が上がったわりには長続きしませんでした。終わってみれば儚いもので、気象庁の猛暑という予想も、タケノコの冷夏予想も、どちらもそれなりに当たっていたのかもしれません。

蝉時雨もさすがに衰えてきて、かわりに秋の虫の羽音が大きくなってきています。そういえば日が暮れるのも、急に早くなったように感じられ・・・。このまま秋になってしまうのかと思うと、ちょっと寂しいような気もしますよね。

田圃の稲穂も頭をたれはじめました。そうなると現金なもので、冬から春、夏にかけて毎日パンを求めてやって来ていたスズメが、ぴたっと姿を見せなくなるのです。あんなに大挙して、毎朝わたしたちが出勤してくるのを待ち受けていたスズメたち。それがいなくなると、ああ、そろそろ米に実が入ってきたんだな、とわかるという寸法です。

はじめは食パンで満足していたスズメが、やがてそれには見向きもしなくなり、それはドバトに譲って、自分たちはもうちょっとカロリーの高そうなパンに群がる。というわけで、アラレちゃんは毎日ふたつもみっつもパンの袋をかかえて出勤。そんな袋が手つかずのまま、入り口付近にごろごろしています。

スズメは米を食べる害鳥みたいにいわれていますが、春から夏にかけて、スズメはせっせと田畑の虫を食べてくれます。動物性蛋白質が必要になる子育て期間と、田畑に虫があらわれる時期がうまい具合に重なっているんですね。知らず知らず農家は助けられているというわけで、実りの季節にはやっぱりすこしはお礼をしなくちゃ・・・。食害ではなく、源泉徴収みたいなものと考えたほうがよさそうです。

スズメ担当のアラレちゃんがヒマになるころ、カラス担当のわたしは忙しくなってきます。夏の間、食欲が落ちていたカラスたちが、俄然元気になってくるからです。カラスは体が大きい分、暑さにも弱いんでしょうね。炎天下、スズメが旺盛な食欲を見せているときでも、カラスは木陰で涼んでいるのか、姿を見せるのはかなり陽が傾いてから・・・。子育てが一段落しているせいもあって、食事の量は半分以下になっていたのでした。カラスはその場で食べるよりも、畑の中や植えこみなどに保管。後で堀りかえして食べるほうが多いのですが、夏期は食べものが傷みやすいので、そういう貯蔵もできなくなるんだと思います。わが家でも、屋根の上にひからびた肉や魚の残骸が散らかるようになると、傷みにくいドッグフードに切り替えているのですが、このごろはそれでは不満になってきたらしく、明け方、わたしが寝ている部屋の上でタップダンスを踊るようになりました。

それはもうにぎやか。というより、思わず「うるせエ」と怒鳴りたくなるような騒音なのですが、それにしてもどうしてわたしが寝ている場所がわかるんでしょう。早速、フレッシュな食材に変更したのはいうまでもありませんが、それでも足りないときは、また集団でタップを踏んでくれるんですからたまりません。

アラレちゃんの家に来るカラスはちょっと変わっていて、気に入らないご飯のときは、わざわざそれを拾い上げて、コンクリートの基礎の上にきれいに並べてあるんだそうです。散らかったままにしておくのがイヤなんでしょうね。もちろん意思表示でもあるんでしょうけど・・・。そういうものは散歩の帰り、犬がきれいにかたずけてくれるのですが、カラスってフアミリーごとに個性があって面白い。

いずれにしてもワガママだけど憎めないのです。事務局の古顔、カンちゃんとランちゃんはこの夏、また白髪ならぬ白羽が増えましたが、あいかわらずオスのカンちゃんのほうは、ウインナソーセージをまとめて3本くわえるという力業を披露。老齢で子供はできなくなりましたが、昔取った杵柄は健在みたいです。5年前のかれらの子供で、片足をなくしてしまった坊やも元気でやっているようで、ときどき奥さん同伴でやって来ています。

今週の野菜とレシピ

夏野菜がすっかり影をひそめてしまいました。そのわりに秋の葉ものが育たないのは、ついこの間まで高温と乾燥が続いていたからで、ようやく今月に入って大根やカブの種まきがはじまったところです。気温が低くなると、急に小松菜などの青ものが恋しくなりますが、今すこしご辛抱くださいね。

それでも季節感を出すために、青山さんがゴボウを掘ってくれました。新ゴボウはきんぴらよりもかき揚げにしたほうが、香りが濃厚に感じられます。

茄子は気温が低くなるにつれ、生育が遅くなるので味が濃く、甘みも強くなってきます。焼き茄子にすると最高。新しょうがをたっぷりおろして添えてください。

生落花生は塩茹でしていただきます。海水ぐらいの濃いめの塩加減で落花生を茹で、そのまま冷ますと中までほどよく味がつきます。それを冷蔵すると1週間は大丈夫ですから、酒のつまみや箸休めとして、すこしずつ使うこともできます。これが苦手という方は、120度ぐらいのオーブンで1時間ほど、ゆっくり焼くと香ばしい仕上がりになります。

おなじみ、高橋さんの梅干しが入りますが、今年は梅とらっきょうが大凶作。例年の半分にも満たない量しか作れなかったそうで、今年はいつもよりひとまわり小さいパックになりました。口あたりのやさしい梅干しですから、ご飯のおかずというより、お茶うけに向いているかもしれません。たまっていた夏の疲れを癒してください。

来週は好子さんが里芋を掘るといって、張り切ってくれています。里芋の収穫はゴボウとおなじぐらい重労働。おなじ根菜でも、じゃが芋やニンジンとは大ちがいなんです。大の男でも音を上げる仕事ですが、好子さんは黙々とそれをやる。毎年、手堀りでゴボウを出荷してくれている青山さん同様、頭が下がりますよね。感謝。