春の憂鬱

2007年4月第2週

今週の野菜セット

左上から時計回り

先週は桜が咲いたと思ったら、雨が続き、寒さもぶり返しました。晴れ間を見て、近くの公園で花見をしましたが、風が冷たく、早々に退散。桜を見る余裕もなく、あわただしく弁当を食べただけで帰ってきました。

今年は冬の冷えこみがなかった分、春になっても寒気が居座り、季節の境目がはっきりしません。まあ、花冷えという言葉があるぐらいですから、もともと不安定な時期なんでしょうが、そんな季節に花を咲かせ、雨にも風にも耐えている姿を見ると、人の世を見ているようで身につまされます。

大国の侵略やら内戦やらで、花を咲かすに咲かせない男女が世界中にどれだけいるか。貧困に花を摘み取られ、若くして枯れてゆく男女がどれだけいるか。花見弁当など食ってる場合か、と急に降り出した雨に叩かれているような気分でしたが、こんな贅沢ができるのも今のうちだけかもしれません。

桜の開花情報で社会全体が右往左往する。余所じゃ考えられない話ですが、この国にはいつまでもそんなバカをやっていてほしいもの。天気予報からそれが消えるようになったら、この国の若者たちもまた、花芽を摘まれるんでしょうからね。

今年はツバメがやって来るのも例年より早く、4月に入るなり、軒下がにぎやかになってきたのですが、また姿を消してしまいました。それが先週末、お天気が回復すると、ふたたび登場。にぎやかにさえずりながら、営巣を開始したようです。

急激な気温の低下に、かれらはどう対処しているんでしょうね。山の中の梢で、身を寄せ合ってでもいるんでしょうか。とにかく庭に出ると邪魔になるぐらい飛び交っていたのが、忽然と消えてしまうのです。巣が完成して抱卵がはじまると、どこにも行かなくなるんですけどね。

この時期になると、猫どもが庭に出る時間が長くなる。あたたかくなるからですが、ツバメはそれが気に入らない。しきりに低空飛行して、猫を追い払いにかかります。猫にとっては皮肉なことに、日向ぼっこに最適の時期が来ると、庭先でくつろげなくなるのです。

ツバメはどこでどう学習するのか、ウサギにはなにもしないんですよ。犬も攻撃されることはありません。暑くなるころには、猫の存在をそれほど気にしなくなりますが、そのころには猫のほうも日向ぼっこなどしたくない・・・。遠来のお客さんなんだからガマンしなさい、というのですが、猫は納得のゆかない様子。今朝は窓際でふて寝してました。毎年、あたりまえのようにやって来るツバメ。もちろん個体の識別などできませんから、メンバーがどうなっているのかわかりませんが、少なくとも去年営巣したところへまっすぐに来て、巣作りをはじめるつがいは去年とおなじ顔ぶれと思いたいものです。

遠くは東南アジア、近いところでも沖縄あたりからてやって来るのでしょうが、海を越えながらかれらがなにを見、なにを感じているのか、聞いてみたい気がします。いちばん気がかりなのは、かれらの寿命。人間ほどジャンクなものは口にしないとはいえ、大気汚染や化学物質で小さな虫にも異変がないとはいえません。渡りの途中で命を落とす個体もあるはずで、それが増えているんじゃないだろうか、と・・・。

そんなことが気になるのも、先月、この近くの公園で仲良しになったカラスが、突然いなくなってしまったからで、渡りをしないカラスが居場所を変えるわけもなく、テリトリーを追われるほど年を取っていたわけでもない。アラレちゃんは、きっとどこかで巣作りしてるんだよ、といってくれるのですが、テリトリー外で巣作りなどしないでしょうからね。

夕刻、仕事を終えて公園に立ち寄ると、もう車をおぼえていて、ボンネットに飛び移るなりフロントガラスをノック。車を降りると、ぴょんぴょん跳びはねながら後をついてきたり、ベンチに先回りして待っていたり・・・。ひとしきり遊ぶと、枯れ草を集めたりしていましたから、営巣していることはたしかで、つかず離れずのところにひとまわり小さい、彼女と思われるカラスもいました。

問題はそのカップルだけでなく、それまで何羽もいたカラスがみんな姿を消してしまって、公園の上空ががらんとしていること。栃木県では従来通り、カラスをはじめ野鳥の捕獲は禁止されているはずですが、よく見ると、公園の周囲の住宅にはカラス除けグッズがびっしり。なんかイヤーな予感がしますが、それがなんなのかはわかりません。

まあ、そんなわけで短い恋はあっけなく終わってしまい、失恋の痛手のせいか、なにを見てもマイナス思考に走りがち。春先からこんなことでは困るんですけどね。

今週の野菜とレシピ

先週の寒の戻り。畑の土が凍りつくほど気温が下がって、ひさびさに霜柱が立ちました。おかげでキャベツの結球が遅れています。青山さんのアスパラガスも今週あたり出てくるか、と思われたのですが、地面から10センチほど顔を出していたところを霜にやられて全滅。復活までに時間がかかりそうです。

キャベツとアスパラガスの代品に天然ワカメが入ります。おつゆに入れてもいいのですが、新ものなのでぜひ生で食べてみてください。水でもどすと数倍になる点に注意。サラダには半分ぐらいで十分だと思います。

葉玉葱が入りますが、これは小さな玉の部分といっしょに葉も食べられます。3~4センチに包丁を入れ、玉は半割りにして油炒め。味醂と味噌で甘辛くして食べるのが一般的ですが、ベーコンといっしょに炒め、塩、胡椒で食べるのも美味。さっぱりした味つけで、玉葱の甘みがひきたちます。

山東菜は白菜(しろな)とも呼ばれています。クセがないので、サニーレタスのようにサラダにすることもあります。わたしはこれが出てくると煮魚を作り、残った煮汁でさっと煮て、魚に添えることにしています。

魚はなんでもけっこう。ちなみに煮魚を作るときは、醤油と酒と砂糖をあらかじめ鍋に入れておき、煮立てる前から魚を入れておきます。煮汁の温度が上がるとき、魚に味がしみこむのでゆっくり加熱。沸騰したらひっくりかえして、後は中火ですばやく煮ます。(ひっくりかえしにくい魚は、スプーンで煮汁をかけながら煮ると仕上がりがきれいです)火が通ったらすぐに取り出して、後は煮汁だけ火にかけて煮詰めること。そこへ山東菜を入れてしまうと、また水っぽくなってしまうので、かならず魚に煮汁をかけてから、その残りで煮てください。

煮魚が苦手という方が多いのですが、この方法だとうまく行きます。コツは煮汁を濃いめに作っておくこと。味醂を使うと肉質がかたくなるような気がするので、わたしは酒だけにしています。

来週はキャベツが出てきますように。アスパラガスも早く復活してほしいですね。