バイオ燃料のこと

2007年9月第3週

今週の野菜セット

左上から時計回り

秋の長雨が一段落して、週末はひさしぶりに青空をかいま見ることができました。とはいっても曇りがちで、残暑のほうもひんやりとした秋風に押され気味。こちらではもう風邪が流行りはじめました。

ちょっと涼しくなるとこれですものね。アラレちゃんもわたしも、家に帰ればそこは風邪の巣窟。くしゃみや咳にかこまれながら、いかにしてわが身の純潔を守るか。先週はそんな抵抗の日々でしたが、台風11号の影響で、今週は蒸し暑くなるかもしれません。

野外では栗が落ち、カヤも実を落とし、イチジクが色づきはじめました。山椒の実もようやく赤くなり、収穫間近。こんな季節に風邪なんかひいていられませんよね。原初の血が騒ぐのか、そういうものが落ちていると拾わずにはいられない。また拾いはじめると、時間のたつのも忘れてしまうのです。

あちこちで稲を刈る光景も見られるようになりました。稲刈りが終わると、カラスが田圃に下りたって、落ち穂拾いをはじめます。黄色っぽい地面に黒いカラスが点在し、ところによってはかたまりになっていたりして、この色のコントラストが鮮やかなんですね。

スズメは収穫前の稲穂を啄みますが、カラスは収穫が終わるまで、田圃には近づきません。カラスぐらいの大きさなら、稲を倒して米を食べることもできるのに、それをしないのです。人間が取りこぼしたものだけを啄んでいる。ちょっと感動的ですが、カラスにこんな節度がなかったら、農産物など全滅ですし、都会だっておちおち歩きまわっていられなくなりますものね。

カラスは長年、人と共存してきた鳥なので、人とのつきあいかたを心得ているんでしょう。人の生活を破壊してしまったら、自分たちも生きづらくなるのをちゃんと知っている。うまく人を利用する術を心得ている、といったほうがいいのかもしれません。

あちらのほうが一枚上手。カラスから見たら、地面をはいずり回ることしかできない人間はのろまでバカだけど、よく働く生きもの。でも、凶暴性があるので油断はできない。そんなところかもしれませんが、せめてカラスぐらいの節度があれば、もう少し環境にも配慮ができるんでしょうけど、人という動物は欲深いのか、なかなかそれができないようです。

CO2削減がいっこうにはかどらないのも、わたしたちがそう簡単にはカラス並みになれないことを物語っているようです。

脱石油の筆頭に挙げられているバイオ燃料がいい例で、トウモロコシでも大豆でも、まずそれを蒸し煮。でんぷんに酵素を加えてブドウ糖にしますが、この段階で石油を使う。さらに酵母を加えてアルコール発酵させ、アルコール水溶液ができると、それを蒸留して濃縮。ここでも石油が燃料となるわけですから、なんの解決にもなっていないのです。バイオというクリーンなイメージだけ。それなら車のタンクに直接石油を入れたほうが手っ取り早いし、問題意識が残る分、良心的かもしれません。

そうやって作られたバイオ燃料の残滓は、いずれ微生物に分解され、CO2を排出しますしね。大国主導のこの案は、エネルギー問題よりも穀物の値段を引き上げるのが狙いじゃないか、という憶測もできるくらいで、そんなことをやっているから人間はカラスにアホーといわれるのです。

ただでさえ食糧不足が深刻になろうとしているときに、理性のある生きものがこんな選択をするとは思えませんものね。CO2削減の担い手にされている原子力発電だって、建てるにしても壊すにしても膨大な石油が必要で、そのうえ廃炉や廃棄物の処理や管理に向こう数百年、どれだけのエネルギーが必要になってくるか・・・。

要はわたしたちがこのまま快適な生活を続けていこうとしたら、環境はどんどん不快になってゆく。わたしたちが豊かになればなるほど、まわりはどんどん貧相になってゆくということで、わたしたちと共存を決めこんだカラスも、これは頭の痛いところでしょう。いっそカラスに政治を任せてみたらどうだろう、と思うのは最近、お粗末な茶番劇ばかり見せられているせいかもしれませんね。。

今週の野菜とレシピ

端境期ということに加え、台風9号の風にもまれた茄子やきゅうりが失速。青菜の生育も遅れ気味。というわけで、今週は好子さんのお母さんから芋茎(ずいき)を分けてもらいました。

芋茎というのは八頭の茎のことで、これを乾燥したものは野菜セットにも何度か登場していて、けっこうフアンも多いのですが、生ははじめて。でも、冬に食べる芋茎とちがって、生のものは秋の味覚として、このあたりではけっこうポピュラーな食材なんです。

芋茎はそのまま、3~4センチにざくざく切って湯がきます。すぐに火が通りますから、ザルにあけて冷まします。その間に酢と味噌、砂糖、たっぷりのすり胡麻で胡麻だれを作り、芋茎を和えます。芋茎はあたたかいうちに和えたほうが、味がしみやすいのですが、食べるのは冷たくなってから・・・。冷蔵

保存も可能ですから、箸休めにどうぞ。

味噌だれを作るのがめんどうなら、そのまま味噌汁に入れるという手もあります。これもまた、ほんのり甘くておいしいですよ。さつま芋の味噌汁というのも、なつかしい味がしますよね。いずれも葱を最後に散らすと、香りがぐーんとよくなります。

堀りたてのさつま芋というのは、意外に甘みがのっていないものなので、ふかし芋にするときは1~2週間、ザルにひろげて乾燥させてから・・・。すぐに食べるのでしたら、上記の味噌汁かてんぷらがおすすめです。

山東菜もようやく食べられる大きさになってきました。ひさしぶりの青菜の味噌汁。秋はなぜか、味噌汁が異様においしく感じられ、ついおかわりをしたくなります。身体が求めているのかもしれませんね。

すだちは今が旬のサンマの塩焼きなどに・・・。できれば大根おろしもほしいところですが、大根はまだ双葉の状態。これが大きくなるのは11月頃になりそうです。秋風が立ちはじめると、無性におでんが恋しくなったりするのですが、これも大根が出てくるまではじっと我慢の子。

玉葱は先週で終わり、と書きましたが、まだ在庫がありそうなので、もう1週入りました。これも11月に北海道産のものが届くまで、しばらく姿を消すことになりそうです。