日本にもいたガラガラヘビ

2007年5月第5週

今週の野菜セット

左上から時計回り

初夏らしい陽気になってきました。が、ひとたび雨が降ると肌寒く、天気のいい日でも、夕刻には冷たい風が吹いたりします。暑さの中に寒気があるという、奇妙な陽気が続いているせいか、風邪をひいている人も多いようです。

麻疹(はしか)も流行っているようで、免疫のない大人がこれに罹ると命も落としかねないといいますから、侮れません。予防医学の発達していなかった時代には、麻疹になる大人もいたのでしょうが、これほどの大流行は聞いたことがありません。医学の進歩って、いったい何なんでしょうね。そのうち、耳下腺炎なども猛威をふるいはじめるのかもしれず、命を落とす心配はないにしても、精子のない男性が急増したりして・・・。

ま、そんなことにならないことを祈っていますが、ひと昔前まで抵抗力がなく、病気に罹りやすいといったら、老人か小さな子供がほとんどでしたが、最近ではそこに若者が加わるようになったというのが問題なのかもしれません。なにをするにも最終的に問われるのは、体力と持久力。若い人からそれを取ってしまったら、頭脳しか残りません。頭脳がどんなに優秀でも、それを支えるものがなくては、お先真っ暗ですものね。

目に見えるものを重視。見えないものの存在は無視するという、科学的と呼ばれる姿勢の弊害がこんなところにも現れているのかもしれません。菌という人の目には見えないものが、以前よりも人を脅かすようになったのも、人がそれを否定しようとしてきたから?

わたしたちが知ることのできる植物の姿は、その地上部だけですが、地中には地上部をしのぐ勢いで伸びている根があります。だからプロフェッショナルは絶えず地上部を観察しながら、地下部を意識。余分な枝葉を落としてまで、根の成長を促すのですが、そういう配慮がこれまでの医学にも栄養学にも欠けていたような気がします。

そして今度は見えないものの脅威を意識しすぎて、過剰な衛生思想が横行。目には見えない菌はすべて人類の敵、とばかりに消毒しまくるわけですが、これ、ほんとうにプロがやっていることなんでしょうか。人間界がそんな具合だから、麻疹などというのも面白がって出てきたところ、意外と実力があったので自分でもびっくり、というのがほんとうのところかもしれません。

話は変わって、さわやかな新緑の山の中で遭遇したガラガラヘビ。益子の山中にガラガラヘビなどいるわけがない、と思うでしょう?それがいるんです。

新緑の季節というと、数年前までは松食い虫の防除と称して、益子中の山林をヘリコプターが飛び回り、よからぬものを散布していたのですが、さすがに百害あって一理なしというのがわかったのか、とりやめになりました。製薬会社から袖の下をもらっていた議員が退職したのかもしれませんが、そんな勘ぐりはともかくとして、山林から農薬散布がなくなったのは朗報でした。

薬剤が散布された山というのは、数日間は文字通り死んだようになり、鳥の声はおろか、風のそよぐ音すらしなくなるんです。それは風がないからというより、不機嫌に押し黙った木々が、葉っぱ一枚そよがせることも拒否するような、そんな険悪な雰囲気なんですね。きのうまでにこやかに挨拶をしていた隣人が、ある事件をきっかけに口もきいてくれなくなる、みたいな状況で、こちらもいたたまれない気分になったものです。

ひと雨降れば、木々にまつわりついていた薬剤も流れ落ちるので、しだいに機嫌がよくなってくるのですが、流れ落ちた薬剤は地面にしみこみ、今度はそれが地上の小動物を苦しめます。そういうときに遭遇すると、ふだんは温厚な青大将も神経をとがらせていて、まるでガラガラヘビのように尻尾を立ててふるわせる。そしてほんとうに音を出すのです。

ガラガラヘビの立てる音というのを、わたしは生で聞いたことがありませんから、そっくりかどうかはわかりませんが、鎌首を上げて尻尾も持ち上げ、シャラシャラシャラという小刻みに震える音を立てるので、うちの犬などはただちに回れ右。そのまま家へ逃げ帰ってしまいます。

それを怖がらず、不思議そうに眺めていたのは十年前ぐらいに連れていたシベリアンハスキーぐらいで、かれらのDNAにはおそらくヘビという生き物のデータがないのでしょう。

今年はひさびさにそれを目撃。ちょうど青大将が野ネズミを呑みこもうとしているところで、動きがとれないところへわたしたちが通りかかったからですが、ふくれあがった頭部からネズミの尻尾をのぞかせながら、尻尾を立てて威嚇する姿はちょっと滑稽でしたけど、犬はそこで散歩を放棄。逃げ帰っただけでなく、縁の下の狭い空間に巨体をもぐりこませていました。

青大将以外のヘビもそういうことをするのかどうかわかりませんけど、尻尾をふるわせて音を出すというのは、ガラガラヘビの専売特許ではないようです。ちなみに猫が相手を威嚇するのに、シャーッという声というか音を立てるのも、毒蛇の真似だといいますから、何代にもわたってヘビに手を出してきた猫が、自分に向けられた威嚇をそのまま武器として取り入れてきたわけで、遠い昔、ヘビ同士にもそういう情報交換の機会があったのかもしれません。

無毒な青大将が、みずからを毒蛇に見せかけて身を守ろうとする。その知恵にも驚かされますが、そういう情報をかれらがどうして知り得たのか。そんな不思議を解明するような動物学。心当たりがあったら、教えてくださいね。

今週の野菜とレシピ

先週にひき続き、ソラマメが入ります。先週のソラマメはまだ若く、粒も小さかったので皮まで食べられましたが、今週はどうでしょう。さっと塩茹でして、さわやかな初夏の香りをつまんでください。

春菊はこれまでとはちがって、ステイック春菊というサラダ向きの品種。茎もやわらかく、甘みがあるのが特徴です。

山東菜はさっと湯がいて芥子醤油和え。きゅうりといっしょに一夜漬けにしてもさっぱりしています。

オカヒジキは好評ですが、今週あたりが最終便。おひたしにするのが一般的ですが、炒めても食感が損なわれることがありません。

来週はソラマメに代わって、露地もののスナップえんどうが出てきそうです。