経済発展っていったいなあに?

2007年8月第5週

今週の野菜セット

左上から時計回り

あいかわらず暑い日が続いていますが、さすがにあの猛暑は影を潜めたようで、草むらでは秋の虫の声。朝夕には涼しい風が吹くようになりました。日中は少々暑くても、夜、ぐっすり眠れるようになると、身体はずいぶん楽になりますものね。

しかし、蝉時雨のほうはまだまだ健在で、そう簡単に秋になられてたまるか、というかのようです。今年は蝉が大発生しているらしく、木陰に入ると耳の中がわーんと鳴るぐらい、さまざまな蝉の羽音が押し寄せてきます。ミンミンゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボーシ、それに夕刻にはヒグラシも参入してにぎやか。夜が更けても、羽化したばかりなのか、それとも交尾を終えて息絶えるところなのかわかりませんけど、あちこちからジジジーッという断末魔のような羽音が聞こえてきます。

林に入ると、そんな蝉がよく落ちてきて、犬がそれを食べています。唐揚げみたいでおいしそう。庭先でも畑でも、いたるところで蝉の抜け殻が見つかりますが、これはおいしくないのか、犬も猫も見向きもしませんから集めてみたら、すぐにバケツがいっぱいになってしまいました。

来年の夏はどうなりますか。でも、七年後にはかれらの子供が地上に出てきて、またにぎやかになるんでしょうね。

七年後といったらずいぶん先のような気もするし、あっという間という感じもするのですが、自然のサイクルというのはゆったりしたもの。ところによっては、七年後に地上に這い出そうとしても、そこが道路になっていたり、家が建っていたりすることもあるんでしょうね。

たった一年でも、人間界はどんどん変わります。このあたりでも、田畑が潰されて道路になったり、次々と店舗ができたりしていますから、冬眠から覚めるに覚められず、そのまま永眠してしまうカエルやヘビはおびただしい数にのぼると思います。この事務局のすぐ近くにも、また新しいスーパーが建つようで、ただでさえスーパーやコンビニが過当競争でつぶし合っているようなところへ、またまた大型店舗が進出してくる。もうたくさん、もう結構という状況にもかかわらずです。

ひとつの街におなじ系列の店舗が並ぶこともめずらしいことではなく、小泉政権時代の規制緩和がこういう状況を生みだしているのでしょうが、それを見ていると、経済発展っていったい何なんだろう、って思ってしまいます。現に、御用学者以外の経済学者は、これ以上の経済発展は不経済発展である、といい切っているぐらいです。多額の借金を抱えながら、店舗がつぶし合いをしているのを見れば、素人にだってそれぐらいはわかるというもの。業績が右肩上がりでなければ存続できない資本主義経済なんて、初期の段階ならともかく、成熟期には通用しないどころか、通用させてはいけないものになっているのではないでしょうか。

今や、経済発展は破壊活動以外のなにものでもない、というところまで来ています。中国やインドの急速な経済発展。そのマイナス面がよく報道されていますけど、わたしたちもかつてその道を歩んできたのです。かれらを新しいライバルと見なして、これ以上の環境破壊に突き進むのは愚かなことで、ここはひとつ一歩先を歩む者として、巨大化した産業の収束方法でも模索。いいお手本作りでもしてみてはどうでしょう。

せめて、いざというときなんの役にも立たない紙幣などより、生きた大地をすこしでも多く残す努力がほしいものです。

今週の野菜とレシピ

トマトに続いてきゅうりが姿を消し、野菜セットからすこしずつ夏の香りが消えてゆきます。そのわりに秋野菜のほうは、今ごろから種まきがはじまるので、しばらくはメニュー作りに苦労しそうです。

心強いのは茄子で、これから秋が深まるにつれ、甘みがのっておいしくなります。今でも十分甘いんですけどね。

先日、都内にある野菜を使ったケーキ屋さん、パテイスリー・ポタジエから好子さんの茄子を使ったタルトをいただきました。食べてびっくり。予備知識があったにもかかわらず、りんごのタルトとしか思えなかったのですから・・・。無理をいって、作り方を教えてもらいましたので、たまには茄子のジャムというのはどうでしょう。

茄子は皮をむいて水にさらしておきます。1袋の茄子に対して砂糖200グラムを少量の水といっしょに火にかけて煮つめ、カラメルソースを作ります。その間に、茄子を食べやすい大きさに切っておいてくださいね。水飴が茶色くなったところへ、バター100グラムを入れると勢いよく泡立ちますから、そこへ茄子を全量放りこみ、弱火にして15分ぐらい煮こめばできあがり。簡単なのでお試しください。タルト生地を作るのがめんどうなので、わたしはトーストにのせて食べています。

輪切りにしたゴーヤを水飴で煮て、ざるに広げて乾燥させてから粉砂糖をからめたお菓子もあります。市販されているかどうかわかりませんけど、昔作ったことがあって、けっこう子供に受けていたので、育ち盛りのお子さんのいらっしゃる方は、よかったらこれも作ってみてください。

今週はなんだかスイーツ特集みたいになってしまいましたが、パテイスリー・ポタジエでは玉葱のクッキーや、春菊や空芯菜を使ったケーキも作っています。野菜の魅力の再発見、というのがお店のテーマだそうですが、教えられるところが多く、やみくもに旬の野菜を薦めるより、こんな方法で野菜好きを増やすという手もあったんだな、と思いました。

パテイスリー・ポタジエは東京都中目黒、駅から歩いて5分ほどのところにあります。お近くにお住まいの方は、のぞいてみてください。益子GEFの野菜も活躍しています。