危険なオモチャ

2007年7月第4週

今週の野菜セット

左上から時計回り

九州・四国地方に大きな爪痕を残した台風4号ですが、こちらにはさほど影響はなかったものの、通り過ぎた後が尋常ではありませんでした。

ふつう台風一過といったら、紺碧の空が広がって、気温もぐーんと上がるのですが、青空が見えたと思ったらすぐにかき曇り、梅雨空にもどってしまいました。以来、低温が続いています。

台風が海上にそれてしまったので、このあたりは浄化しきれなかったのではないかとか、いや、台風そのものが変質してしまったのではないかとか、素人の憶測が無責任に飛び交っていますが、そんな中でまた中越沖地震。度重なる受難にショックを受けたのは、被災地の人ばかりでなかったようで、あすはわが身という、いやーな予感におののいている人も多いと思います。

地震があったとき、こちらでは横揺れがありました。それも小刻みなものではなく、ゆったりとした大きな揺れで、船酔いに似た気分になったものです。遠くで地震があったというより、空間そのものにひずみが生じ、揺らいでいるように思われて、それはそれで不安でしたが、地震のニュースには唖然となりました。大きな地震のあったところは、しばらくは大丈夫という固定概念が覆されたからで、これからはなんでもありなのかもしれません。

会員の中には、被災地にお住まいの方もいます。どうかご無事でいらっしゃいますように・・・。

こわいのは柏崎原発のポカ。不祥事と呼ぶのも憚られるようなミスの連発で、放射能漏れはない、という当初の発表を、ウソだあ、と思いながら聞いていたら、やっぱり後からぼろぼろ出てくる。もっとも放射能漏れというのは珍しいケースで、ふつう原発は平然とその一部を放出している、という技術者の証言もあるぐらいですから、異常事態という認識が薄かったのかもしれません。

地震大国に原発という物騒なものが林立していることについて、あまりそういうことに神経質でない人も、漠然とした危機感を抱いているものですが、あまり声を大にしてはいえない雰囲気がこの国には漂っています。まず、これが国策であること。だから電気事業法などという法律があって、電力会社は設備費の8パーセントを電気代として徴収できるのですから、もっとも不経済な原子力発電が、もっとも金になるという奇妙なシステムになるわけです。

郵便局など民営化しているヒマがあったら、電力の自由化をもっと推し進めるべきで、そうなったらみんな安い電気に飛びつきますから、いやでも原発は休業に追い込まれます。それに、原発がなければ電力が不足するとわたしたちは思い込まされていて、現に柏崎原発が運転できなくなると、この夏の電力不足が心配などと騒いでいますけど、これまで真夏のピーク時でも電力は20パーセント以上余っている状態で、原発が供給している電力が全体の20パーセント前後にすぎないことを思えば、たいした貢献はしていないことになります。

しかも原発は出力の調整ができなので、たいていのところには揚水ダムというのが併設されていて、表向き、これは電力が足りなくなったとき、水力でそれをまかなうことになっているのですが、実際には原発から出る余剰電力で水をダムの上まで持ち上げ、その水を発電させないで落とすといったことが繰り返されているそうで、もちろんそういう施設費もわたしたちの電気代に上乗せされています。

CO2削減という金科玉条も、原発の建設、稼働、廃棄物の処理、すべての面でガソリンを使いまくっているわけですから、これもあまり説得力がありません。

そして問題の地震対策ですが、電力会社のいう通り、設計図には問題がないとそうです。しかし、エリート集団が作った完璧な設計図を、実際に施工するのは人。当初は放射能がありませんから、細かいところまで設計図通りにできたとしても、修理となるとそうは行きません。長時間の仕事ができない環境で、しかもそれを専門にしていたら寿命を縮める仕事ですから、熟練工が存在しない。場所によってはボルトひとつを締めるにも、数人の作業員が入れ替わり立ち替わり、おまけに高熱でゴーグルが曇ったり、手元が狂ったりするわけですから、完璧な仕事を望むほうが無理だといいます。

そして、いくら炉に耐震能力があっても、炉には無数のパイプが繋がっているのです。しっかりと固定されたパイプばかりでなく、天井からぶら下がったものもありますから、それが揺れ、パイプ同士がぶつかって、そのひとつでも逸脱したら、目も当てられないことになるわけで、原発の安全性に絶大な自信を持っていた技術者のひとりは、阪神大震災に遭遇したとき、あ、こりゃダメだ、と思ったそうで、以来、180度方向転換して反原発の講演をしていましたが、昨年、職業病ともいえる癌で亡くなってしまいました。

それにつけてもわからないのが、こんなものをこの国が後押ししていることで、ここまで経済効率にこだわる国が、一度大きな事故が起これば日本の円など紙切れ同然。狭い国土の大半に人は住めなくなるし、そうなったら産業界も大きな打撃を受けるはずなのに、せっせとウランの在庫を増やしている・・・。

これはもう、核兵器が持ちたくてしかたがないんだ、と思われてもしかたがありませんよね。危険なオモチャを持ちたい幼児性か、強固なペニス願望か知りませんけど、そんなものにつきあわされる国民はたまりません。

それにつけても、だらしがないなあ、と思うのがマスコミで、原発の危険性はおろか、原発の不祥事に対してもおそろしく消極的。特集を組むどころか、数日後にはもう、そんなことなどなかったような顔をしているのですからね。

不二家やミートホープといった小悪に対してはねちねちと、まるでわたしたち、消費者のために闘っています、みたいな報道をするのに、大きな問題には突っ込めない。ま、NHKあたりは会長が原子力安全委員会などという、わけのわからない団体に入っていたりするから、もう諦めているんですけど、民放にはマスコミ本来の仕事をしてほしいもの。あ、でもテレビというのは電気がなけりゃ映らない。電力会社のご機嫌を損ねたら、スポンサー料だけでなく、もしかしたら電力まで供給してもらえなくなるんでしょうか。

電気はクリーンなエネルギーなんていわれていますけど、これほどダークでダーテイーなエネルギーはないのかもしれません。わたし、これまで以上に節電を心がけようと思いました。

今週の野菜とレシピ

低温が続いているため、ピーマンやオクラ、ゴーヤの花が結実しないまま、ぽろぽろと地面に落ちているそうです。モロヘイアも生育がよくないため、今週はメニューから姿を消しました。また、台風4号の影響で倒れたとうもろこしですが、ふつうなら持ち直すところ、これも時ならぬ低温のせいか、復活はむずかしくなりそうです。

トマトも500グラムと、ひかえめになりましたが、今週は平年並みに気温が上がりそうなので、来週には持ち直してくれると思います。

そのかわりきゅうりが出てきました。先月まではハウスきゅうりでしたが、今週からは露地栽培。ミョウガといっしょに、きゅうりもみにするとおいしそうです。

茄子はなんとか持ちこたえています。いくらか小ぶりになるかもしれませんが、天候には逆らえないのでご容赦ください。

先週に引き続き、枝豆が入りますが、中には実の入りがわるいものもあるかもしれません。が、今年は茶豆という品種に変えましたので、甘みは去年よりも強いはずです。

サラダ菜も、好子さんはバーベキュー・シーズンに合わせて作ったそうですが、あいにくのお天気続き。空振りになってしまいましたが、料理のつけ合わせだけでなく、サラダにもしてみてください。ほろ苦い葉が、意外とおいしく感じられるかもしれません。