夏のデトックス

2007年8月第3週

今週の野菜セット

左上から時計回り

暑い日が続きます。ついこの間まで、この暑さを待ち望んでいたのに、実現したとたん、げんなりするのは身勝手とわかっていても、やっぱり暑いです。

そんなとき友人から電話があって、暑いけれどもクーラーは入れたくない。部屋の中が散らかっていて、掃除をしようと思うのだけど、暑すぎて動けないというのです。こちらも野菜セットを作っている最中で、汗だくでしたから、掃除なんか涼しくなってからでいいんじゃない、といったのですが、家の中が散らかっていると暑さというのは倍増されますからね。

掃除をする間だけ、クーラーを使うという手もありますが、それでも暑いことに変わりはないので、結局、頼りになるのは天然クーラー。汗なのです。それも中途半端な汗ではなく、衣類がぐっしょり濡れるぐらいの汗。その汗を熱い風呂で洗い流せば、ウソのように涼しくなります。

農家が仕事をするときのいでたちは、夏も冬もさほど変わりがありません。汗取りの下着に、長袖のシャツ。下は長ズボンにゴム長で、首にはタオルを巻いています。冬はそれにジャンパーがプラスされるぐらい。

見るからに暑苦しい格好ですが、やってみるとこれがいちばん涼しかったんですね。これで炎天下の作業をすると、たちまち汗が噴き出してきて衣類が濡れる。その濡れた衣類が熱を遮断するからです。とくに後頭部から首にかけて。この部分が直射日光にさらされると、どっと体力が奪われますから、帽子とタオルは不可欠で、タオルもまたすぐに濡れて冷却装置になるという寸法。

これで日陰に入ってひと休み。帽子やタオルを取ったとたん、衣類の中にこもっていた熱がさっと引いて、そこにそよとでも風が吹けば、クーラーも顔負けの涼しさが得られるのです。

無理をして農作業をする必要はありません。室内でもいくらでも汗をかくことができるのですから、長袖のシャツを着て、思いっきり動きまわってみませんか?汗だくになったシャツを脱ぎ捨て、首のタオルを取ったときの爽快感。これはただ単に温度差だけでなく、汗といっしょに体内に蓄積されていた不要物が排泄されるからだと思います。

尿や便では排泄しきれないものが、汗によって体外に出されるのですから、クーラーの弊害は冷えだけではなさそうです。とくに後頭部から首にかけての汗は毒抜き、と昔からいわれていて、この部分を日に当てると疲れるというのも、毒抜きが不十分になるからかもしれません。

また、汗をかいた後のシャワーは格別ですが、夏こそ熱めの風呂がおすすめ。気持ちがいいからと、ぬるま湯など浴びていたら逆効果で、そのときは気持ちがよくても、風呂上がりがすっきりしません。日本よりも暑い国々、日中の気温が50度を超すようなところでは、昔から暑気払いに蒸し風呂が使われているぐらいですから、ここでも汗を流すというより、汗をかくことが重要なポイントになるわけで、湿度の多い日本では熱めの風呂に短時間。逆に冬はぬるめのお湯にゆっくりつかったほうが、身体がよくあたたまり、湯上がりに冷水など浴びるとさらにぽっかぽか。湯冷めもしにくくなるぐらいですから、夏に水を浴びるなどもってのほかなのですね。

高温多湿の日本の夏は、デトックスに最適の季節だったというわけで、これを利用しない手はありません。ただし、十分な水分補給もお忘れなく。また午後3時から5時にかけて、水をたくさん飲んでおくと新陳代謝がよくなって、浄化が加速されるといいます。お茶でもジュースでもなく、ただの水。わたしもその時間帯には努めて飲むようにしています。

今週の野菜とレシピ

人間には暑い夏も夏野菜、とくにオクラやゴーヤ、空芯菜といったアフリカや東南アジア原産の野菜には快適らしく、生育がよくなってきました。それとは逆に減速気味なのがトマト。夏野菜の代表格ですが、アンデスの高地が原産。高温多湿には意外と弱く、とくに上段になってくると、トマトの表皮が直射日光で火傷。水ぶくれができたりします。トマトのような果菜は下から実をつけはじめ、だんだん上がってきますから、最上段は商品にならないのがふつうで、野菜セットにたっぷり入るのも、今週が最後になるかもしれません。

先週あたりから元気になってきたのがゴーヤ。ゴーヤもずいぶんポピュラーな食材になってきましたが、子供たちには人気がないといいます。そこで、子供にも抵抗なく食べられる、ゴーヤの肉詰め:材料はゴーヤ1本に対して、挽肉200グラム前後、カレー粉、ソース用の玉葱少々です。

ゴーヤは6~7ミリぐらいの厚さに輪切りにし、中の種をくり抜いておきます。挽肉はボウルに入れて、手でよくこね、粘りが出てきたら塩とカレー粉で調味。ドーナツ状のゴーヤに詰めて、小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣をつけて揚げます。玉葱少々をすりおろし、そこに同量のケチャップとマヨネーズを加え、混ぜるとサーモンピンクのソースになります。このソースは色がきれいなせいか、子供に人気がありますが、玉葱が入っているので大人の舌にも合いますから、これだけでなく、魚のムニエルやサラダにもお使いください。お好みで酢やレモン汁を加えてもおいしいですよ。

オクラというと、さっと湯通ししてサラダやおひたし、というのが一般的。それに上記のソースをかけてもイケますが、フライパンで焼いたものをバーベキューソースで食べてみたら、それも美味でした。ジョージア州に旅行した友人が、オクラのフライ攻めにあった、といって帰ってきたので真似をしてみましたが、1回ぐらいならおいしいかな、という感じでしたので、こってりしたものがお好きな向きはお試しください。

夏のホウレン草の異名を持つ空芯菜。ニンニクといっしょに炒めるのが最高ですが、どうしてもべたべたになってしまう、という方におすすめなのがサラダ。小鍋を火にかけ、煙が立つぐらいまで熱したところに胡麻油を入れ、食べやすい大きさに切った空芯菜にかけるという簡単なもの。ジューッと音を立てながら油をまわしかけたら、あとは醤油で調味するだけで、お好みで鰹節やちりめんじゃこをトッピングしてください。

来週は青山さんの新生姜が入ります。