地球の温暖化

2007年5月第1週

今週の野菜セット

左上から時計回り

あたたかいのか、暑いのか、うすら寒いのか、よくわからないまま春が過ぎ、五月になりましたが、あいかわらず暑いのか寒いのか、はっきりしないお天気が続いています。

日照時間が短かかったせいで、野菜の生育状況がよくありません。日照がないと土から出てくるもの、アスパラガスやタケノコは顔を出しにくくなる一方、すでに土から出ているもの、青菜のたぐいはストレスから、早く成長して種を残そうと徒長するようです。自分の人生に見切りをつけて、子孫に希望を託すといったところでしょうか。人の食糧になることなど考える余裕もなく、ひたすら茎を伸ばして花をつけようと焦っている姿を見ると、自分の都合も忘れて、青菜がかわいそうになってくる、とは農家の談。

天候がこれだけ不順になっているのも、もとはといえばヒトの贅沢三昧のせいなのですから、口に入るものが少なくなったと嘆くより、植物がかわいそうという農家の言葉のほうが正解で、それが重く感じられます。

天候不順とここに書くたび思い出すのは、たかだか数百年の記録を基にして、それが不順だの異常だのと騒ぐのはおかしいのではないか、という会員のひとりからのお手紙で、いわれてみればごもっとも。地球の気の遠くなるほど長い歴史を考えれば、これほどヒトをはじめとした哺乳類の生息に適した時期はなかったはずで、そんな恵まれた環境の中で、やれ日照りだ、長雨だと騒ぐこと自体、贅沢なことだったのかもしれません。

昨今、なにかといえば地球の温暖化が話題になっていますが、地球が温暖化するのだって、なにも今にかぎったことではなく、定期的に温暖化と寒冷化を繰り返しながら、生命体としてのバランスをとっていたのではないでしょうか。前回の温暖化の時期が平安時代だといいますから、古い話ですが、いわれてみれば現代にも通じるところが多々あるようです。

温暖化による気候の変動が、食糧不足による飢餓や疫病の流行を招くのも、「羅生門」で死肉をあさる老婆の姿を思い起こせば、ああ、今はまだそれほどでもない、と安堵したくなりますが、当時はまだ世界が狭かったから、京の都に地獄絵図が展開しましたが、今は見えないところでそれが起こっているのかも・・・。テレビというのは先進国の話題には過敏ですが、グローバル経済の割を食っている後進諸国のこととなると、だんまりを決めこんでいるようですからね。

また、温暖化が進行する時期というのは、強力な指導者が現れず、政治が乱れる一方、宗教の力が強くなるといいますから、これも平安時代を見ているようです。平安に暮らせたのは一部の貴族階級だけで、かれらとて台頭しはじめた武士の勢力に戦々恐々としていたわけですから、これも一見平和な今の日本に酷似してはいないでしょうか。

ヒトが気候を生み出すのか、気候がヒトを変えるのか、その辺のところは境界があいまいではっきりしませんが、いつの世も庶民はさまざまな変動に耐えながら、逞しく生きてきたのでしょう。その力に、農家もわたしたちもあやかりたいものです。

田圃に水が入りはじめました。早いところでは、もう田植えがはじまっています。が、今年はタケノコが不作。タケノコが出ない年は米も不作、というのはたかだか二十年あまりの益子GEFの歴史から生まれたデータですが、これが当たってしまうから困るのです。

凶作といっても、このあたりはほどほどに収穫できるのですが、北の米所には大きな打撃になるかもしれません。以前は十年ぐらいの周期で訪れていたタケノコと米の不作。その間隔もずいぶん短くなってきたようです。

今年の夏は猛暑、というのが気象庁の予報で、わたしもそう思っていたのですが、案外冷夏になるかもしれません。気象庁の予報はしょっちゅう外れているので、このタケノコ予報もたまには外れてくれるといいのですが・・・。

ともあれ、田圃に水が入ると、とたんにカエルの声がにぎやかになってきます。生命を謳歌するかのような合唱がはじまると、悠々と田圃を泳ぎまわるヘビの姿も見られるようになり、その見事なくねくね泳法に感嘆。今年もがんばれよ、と声をかけたくなってきます。そのたびに、おまえもがんばれよ、といわれているような気がして、逆に元気をもらっているしだい。

冷夏になるか猛暑になるかわかりませんけど、いずれにせよ今年もヘビのようにくねくねと、季節をうまく切り抜けてゆきたいものです。

今週の野菜とレシピ

今週もタケノコが入りますが、先週お送りした方にはアスパラガスが入ります。本文にもあるように、今年はタケノコがなかなか顔を出してくれず、もっとも顔を出してしまったタケノコは商品にはならないので、地中に埋まっているものを掘り出してくるのですが、それでも頭の先ぐらいは出ていないと掘れませんからね。青山さんは苦労しているみたいです。

タケノコは鮮度が命ですから、届いたらその日のうちに、添付のヌカと唐辛子といっしょに湯がいてください。

一週間お休みをいただいたキャベツ。先週も気温があまり上がらなかったのですが、このまま畑に置いても結球してくれそうにはありません。しまりのないキャベツで申しわけありませんが、甘みが強く、外側までやわらかいので、きざんで生で食べてみてください。

陸上では野菜の生育が全般に遅れているため、海のほうから援軍をたのみ、再度わかめに登場してもらいました。タケノコといっしょに若竹汁。先週タケノコを使い切ってしまった方は、水でもどして包丁を入れ、細かくきざんだ生姜をのせてサラダというのはどうでしょう。ドレッシングは不要。適当に醤油をまわしかけるだけで、おいしく食べられます。

海の幸といえば、この時期、唐揚げに適した小アジが魚屋やスーパーに出回ります。はらわたを抜いて、薄く小麦粉をまぶし、低温でじっくり揚げてから油の温度を上げて二度揚げすると、骨までたべられるようになります。それにスライスした玉葱を三杯酢で和え、たっぷりのせると初夏にぴったり。アジを揚げるのが面倒な向きは、鰹のたたきにこれをのせても美味。暑い日に新玉葱を生食すると、身体がリフレッシュされるようです。