死に神乱気流

2007年2月第1週

今週の野菜セット

左上から時計回り

あたたかくなったと思うと急に冷えこみ、また春のような陽気に突入。三寒四温というほどの規則性もなく、気まぐれな天候が続いています。

そんな大気の動きと関係があるのかどうか、年末の父の死を皮切りに、年明けに青山さんのお父さん、そして先週は福田さんのお父さんと、次々にご老体が亡くなっています。身内だけでこれだけ死者が出るのですから、世間でもさぞかし多くの方が亡くなったり、倒れたりしているにちがいありません。

ま、冬というのは老人が召されやすい季節ではあるのですが、この冬のこの勢いはちょっと例を見ない。というわけで、わたしたちはこれを死に神乱気流と呼んでいるのですが、寒くても冬将軍のほうが死に神よりはいい。いかめしい顔はしていても、情け深いところがありそうな気がするんですよね。

地上に住むものすべて、月や太陽をはじめ、大小さまざまな星の影響下にあることは周知の事実で、中でも月の満ち欠けによる影響は大ですが、もっと身近な大気の動き。こちらのほうは案外、問題にされることがありません。が、数年前に大きな熱帯性低気圧が東南アジア沖で発生。それが北上しているときに、歩行も困難なぐらい激しい目眩に襲われたことがあって、そんなことなど露知らず、病院で検査など受けたことがあり、検査結果はわかりきった低血圧症。ほかに理由が見つからず、だいぶ後になってあの台風のせいだったのか、ということになったのでした。

以来、気象が生きものに与える影響にも注意するようになったのですが、よく考えてみたら、低気圧のもたらすプラスイオンが植物に悪影響を及ぼすことなど、農にたずさわっている者には常識だったんですね。野菜に病気が発生しやすくなるように、人もまた昏倒したり古傷が痛みだしたり、体力のない者が吸いこまれるように亡くなったりするわけです。

人が生きているのではなく、生かされているのだということが、しみじみわかる体験でもありました。動植物も同様で、気象にせよ天体にせよ、そこになにかしら大きな意思のようなものがあり、わたしたちはそれに動かされているのかもしれません。宇宙意思とでもいうのでしょうか。三人の老人の死によって、宇宙が身近になったというか、なにか神秘の一端がかいま見えたような気さえしたのでした。

生前の所業がどうあれ、人はみんな死んだら仏になるというのも実感できて、わが身に照らし合わせて、ほっと胸をなでおろすこともできましたしね。ほんとにジイチャンたちには感謝。冥福をお祈りします。

朝夕は冷えこみますが、日差しはもう春で、夕日にいたっては真夏のようにまぶしく、サングラスをしていても逆光では対向車が見えづらく、信号の色すら見分けがつかない。夕刻がとても危険な時間帯になってきました。

この年々エネルギッシュになってゆく太陽を見るたび、加速する地球の温暖化は果たしてCO2だけの問題なのか、ちょっと疑問になってきます。この太陽からもたらされる大量の電磁波が、電磁調理器なみの熱源になっているとは考えられないでしょうか?太陽活動の基準とされる黒点も、この数年で異様に増えているといいますから、温暖化を直接太陽とは結びつけないことの裏には、もっと破壊的な危惧につながるものがあるからではないか。つい邪推もしたくなってきます。

今年はきっと暑い暑い夏になる。太陽など見るのもいやになるような熱波がもたらされそうな気がするのですが、それもこれも宇宙の意思とあれば受け入れないわけにはゆかず、野菜といっしょに喘ぐほかありません。

インド人は日本の国旗を見ると違和感を感じるそうで、それはかれらにとって太陽は死をイメージするものにほかならないからだといいます。太陽のぎらつく乾季になると畑は干上がり、雨期に入ってようやく農作業ができるようになる。太陽は豊饒をもたらすどころか、破壊のシンボルだったのですね。ま、日本でもやたらと日の丸が持ち上げられるようになると、国が破壊に向かうというところはありますけど・・・。

この国でも、太陽がいつまで豊饒のシンボルでいられるか。二重の意味で気にかかるのですが、いずれにしてもまぶしすぎる太陽はこわい。夕刻の車の運転には、とくに気をつけてくださいね。

今週の野菜とレシピ

今週は芋茎(ずいき)が入りましたが、これは青山さんの作ったヤツガシラの地上部。茎の部分の皮をむいて天日に干すというめんどうな作業を、先日亡くなったお父さんがやってくれたといいますから、これは遺品。はからずも、みなさんに形見分けということになりました。

ぬるま湯でもどした芋茎を食べやすい大きさに包丁を入れ、味噌汁に入れたり、油揚げといっしょに炒めたりするのが一般的ですが、加熱しすぎるとべたっとなって、持ち前のしゃりしゃりした食感が台無しになってしまいます。煮るとふくらんで鍋からあふれそうになりますが、すぐにおさまるので心配はいりません。味噌汁に入れると、ほんのりした甘みがあって美味。葱の薬味といっしょに、ひなびた味わいをお楽しみください。

ター菜はまるで座布団みたいな形状ですが、やわらかく甘みがあって、炒めものやおひたし、スープに最適です。一度に使いきれないときは、外側から葉っぱを一枚ずつはがしてお使いください。

来週は好子さんのお母さんの切り干し大根が入ります。これもひなびた冬の味わい。冬らしくない冬ですが、せめて食べものぐらいは冬らしく、身体に季節感を与えてやりたいものです。