年の瀬

2007年12月第2週

今週の野菜セット

左上から時計回り

今年最後の通信です。光陰矢のごとし、とはまさにこのこと。こうしている間にも容赦なく時は進み、カウントダウンに向けてなだれこんでゆくようです。いや、すでにカウントダウンははじまっているのかもしれませんね。そんな中で寝起きして、ご飯を食べて、仕事をしたり旅行をしたり映画を見たりしているのだとしたら、この落ち着きようはただごとじゃない。もちろん気にはなっていて、なんとかしなくちゃとは思ってるんだけど、日常生活の歯車というのはちっとやそっとじゃ止められないのです。この重量級の歯車の運動は、もしかしたら星々の公転のエネルギーに匹敵するのかもしれません。

早い話が年の瀬も押し迫り、年末にやることが山積みになっているにもかかわらず、なかなか実感のほうがともなわない。生活時間が暦とズレて、ズレはじめは微細な角度であったとしても、時が進むにつれ乖離は広がってゆくのでしょうから、その距離に当惑しているといったところでしょうか。

ま、なにをどう表現しても、今年が残りわずかであることには変わりなく、そろそろラストスパート体勢に入れということなのかもしれません。

それにしても毎年思うのですが、どうして人間だけがこの時期、借金取りに追われてでもいるような気分であくせくしなくちゃならないんでしょう。貨幣などというものを手にしてしまった見返りなのかもしれませんが、師走などという言葉もなく、今月がほかの月同様、一年のちょうど十二分の一の長さになる、そんな自然体では暮らせないのでしょうか。

その点、動物たちはマイペース。他者の幻想のために時間を縮めたり延ばしたり、そんな複雑なことはしそうにないし、慌ただしい生活に誇りや優越感みたいなものを感じることもない。犬も猫も昼夜の別なく、といっていいぐらいよく寝ていますから、わたしたちもすべての虚飾をはぎ取って「素」の生活をはじめたら、睡眠時間がずいぶん長くなりそう・・・。

それを無駄といってしまえばそれまでですけど、では睡眠時間を削ってまでわたしたちはなにをしているのか？百の流れ作業より、眠りの中で体験する数秒間の夢のほうが、案外わたしたちの人生にとっては有意義かもしれないし、人体にとっても大事そうです。

来年は子年ですが、できることなら犬のように自由に生きてみたいもの。犬小屋につながれて、どこに自由があるのかと思われるような犬でさえ、精神的な束縛や集団催眠術みたいな思い入れがない分、わたしたちよりはるかに自由に生きているかも。時間を管理する術を手に入れた者が時間に支配され、自分で作った時計や暦に追いかけられているのですから、イヤになってしまいますよね。

あくせくと動きまわる人を尻目に、のんびりと自分の時間を生きる動物たち。

わが家に来たウサギたちもだいぶ慣れてきたようなので、犬猫同様、外へ出る自由が与えられました。毛色がそのまま名前になって、モカと豆大福。性格もこの二羽は対照的でした。

モカのほうは大胆不敵。ドアが開いたとたん、脱兎のごとく飛び出して、そのまま行方不明になってしまいました。近所にも姿を見せていないところを見ると、キツネかタヌキにやられたのかもしれません。動物の世界で大胆不敵、無鉄砲は死に直結しますから、頭がいいほど用心深くなるもので、モカはそういう意味ではちょっとおバカだったのかもしれません。

一方豆大福、通称マメのほうはドアが開いていても知らんふり。外に出ることがあっても、すぐにもどって来てしまいます。戸外にあまり興味もないみたい。前にいたモモはすこしずつテリトリーを広げるように戸外に適応、自立していったんですけどね。今度の二羽は両極端みたいです。

そのマメを、以前モモに追いかけまわされた雌猫が執拗にストーキング。拾われてうちに来るなり、モモに見初められたので、どうやら猫よりウサギに親近感をおぼえているようです。が、マメには迷惑にちがいなく、逃げまわっているのですが、ここへ来てその距離がすこしづつ縮まってきたようです。

年が明けるころには、なかよしカップルになっているといいのですが、もしかしたらマメと仲良くなるために、モカはこの猫に追い出されたのでは・・・という疑惑も浮上。かれらの世界も、わたしたちが想像するほど無邪気ではないのかもしれませんね。

今週の野菜とレシピ

今週末は冬至。そこで小さなカボチャと柚子が入ります。夏の終わりに収穫、それから今ごろまで保存されたカボチャというのは、はっきりいってそれほど食感のいいものではありません。が、この時期にカロチンの豊富なカボチャを食べるという昔の知恵は、理にかなっていますので、スープにするというのはどうでしょう。

柚子は表皮を包丁で薄くはぎ取り、冷凍保存しておくと茶碗蒸しやお吸い物にひとかけのせて、香りを楽しむことができます。スライスしたかぶに塩をあて、それを柚子の皮としぼり汁で和えても美味です。

柚子の種にはコラーゲンがたっぷり含まれていますので、捨てないで焼酎に漬けておきます。これにアロエまたはビワの葉を加えると、極上の化粧水。もちろん飲んでもかまいませんが、乾燥肌対策には塗ったほうが効果があります。薄皮と果汁と種を取った残りはお風呂に入れて、香りを楽しみながらあたたまってくださいね。

レタスはクリスマスのサラダ用。オリーブ油で炒めた椎茸とレタスで香りのいいサラダはどうでしょう。小松菜、ほうれん草はおひたしで・・・。

この一年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。

＊新年は１月７日～１２日の週からお届けします。来年もどうかよろしくお願いいたします。