家畜の置かれている現状

2008年2月第4週

今週の野菜セット

左上から時計回り

日射しは春めいてきましたが、寒さはまだまだ続きそうです。

先週のように、たまにあたたかい日があると、いつも通りの厚着では汗ばんできたりして、逆に風邪をひきやすくなるので要注意です。とはいっても、陽気がいいと活動的になるのは生きものの常。動植物との一体感が感受できる絶好の機会でもあるので、家に閉じこもってはいられません。

用がなくてもふらふらと外に出て、フキノトウを発見したり、スイセンの芽が土を盛り上げているのを見つけたりすると、季節が着実に移行しているのがわかり、自分の足の下で地球が動いているのまでわかるような気がしてきます。もちろん錯覚ですが、天体の永久運動の中にぽつねんと立ちつくしている自分の姿を想像すると、日常の雑事など忘れてしまいそう・・・。これも春がそこまで来ているという高揚感のなせる業かもしれません。

しかし春がたいせつなら、それに先立つ冬という季節もたいせつで、もともと冬という言葉は、自然界の生命や魂がふえるという「殖ゆ」という古語がもとになっていたそうです。この時期を経て、自然界のエネルギーが満ちてくると「張る」の季節、すなわち春になるというわけです。

実際、多くの動物たちは秋から冬にかけて繁殖行動がはじまり、メスはこの時期、身ごもっているか、巣穴でひっそり授乳中。子供が離乳するころ、うまい具合に春になるというわけです。ま、順番からいえば、動物たちが食糧の豊富になる時期に合わせて子供を産んでいるのでしょうが、上記のような話を聞くと、季節のほうが生きものを育てるために、思慮深く巡っていたような気もしてきます。

それを思うと、自然の脅威などという言葉は近代以降にできたもので、それ以前、自然は生きとし生けるものを育むものとして捉えられ、嵐も豪雨も地震ですら、なにかしら人知を越えた理にかなったものとして、謙虚に受け止められていたのではないでしょうか。

地球の温暖化などという現象も、大多数の人間が自然を敵にまわし、かつて抱いていた感謝や敬意を忘れ去ったのがいちばんの原因といえそうです。それがCO2の増加に結びついているわけですから・・・。

人間は宇宙規模で考えたら、埃のような微細な存在ですが、その意識が寄り集まったときの力というのは、もしかしたら宇宙をも動かしかねない強大なものになるんじゃないか。そう考えたとき、ちょっとこわいと思いました。

動植物の意識だって同様です。かれらがいつまでも人間に都合良く二酸化炭素を酸素に変えたり、従順な家畜でいてくれるとはかぎらない。いつ突然変異が起こって、かれらが牙をむいても不思議ではないのですから・・・。狂牛病というのが、細菌兵器を使った牛たちの自爆テロであったことを思えば、突然変異を待つまでもありません。家畜と称される生きものたちが置かれている劣悪な環境を考えると、今に肉類だけでなく、卵もミルクも口にできなくなるかもしれません。

一例をあげます。これは胸のわるくような話なので、あまりお話したくなかったのですが、経済効率が重視されるにつれ、家畜が生きものとしての尊厳を失い、物として扱われるようになった現状を内部告発したものです。

食べものではありません。水鳥のダウンの話です。主にアヒルたちですが、かれらは狭い部屋に数十羽単位で押し込まれ、定期的にダウン、すなわち胸毛を抜き取られるのですが、麻酔もなしに胸から腹にかけての羽毛をむしられるのですから、あたりは血だらけ。苦痛のあまり失神するアヒルもいるといいます。それを生きているうちに三度経験しますが、四度目は楽になります。羽をむしる前に殺されているからで、このときはダウンばかりでなくフェザーも取られ、肉は食用にまわされます。

でも、残酷なのはこれだけではありません。アヒルたちが収容されているのはコンクリート張りの部屋ですが、そこにプールなどは用意されていないので、糞尿から立ち上るアンモニアでほとんどのアヒルが失明しているといいます。水鳥はよく池の中に顔をつっこみますが、あれは餌を採るためだけでなく、目を洗うのが目的で、それができないと眼病に罹ってしまうのです。

フォアグラ用のアヒルになるともっと残酷。本来はガチョウの脂肪肝ですが、ガチョウは大きくて力も強いので、扱いの楽なアヒルがほとんどだそうですが、かれらには強制給餌という拷問が毎日、朝晩繰り返されているからです。この金属製の強制給餌機に食道を破られて死ぬアヒルが多く、アヒルの死亡率が二割以内だと給餌係に特別手当が出るという話までありますから、かなりのアヒルやガチョウが悶絶死していることになります。

かれらがいつ反乱を起こしても不思議はないと思いませんか?毛皮のコートは許せないないけど、ダウンのコートはべつに生きものを殺すわけではなし、軽いしあたたかいし、などというのは無知のきわみ。羽毛布団などで寝ていたら、毎夜悪夢にうなされかねません。ま、フォアグラは滅多なことでは口にしませんけど、日頃口にしているブロイラーだって境遇に大差はないのです。

昔から、人は動物の肉を食べていました。水鳥の羽毛も利用されていました

が、大量消費にともなって、家畜の管理が大がかりになってくると、こういうことがあたりまえになってくる。敬意どころか、感謝すら失われてしまうのです。そんな意識のありかたが、あるときはアレルギーとなり、あるときは病気の蔓延となってこちらに押し寄せてくるのではないかと思いました。今年は鳴りをひそめていますが、鳥インフルエンザだって、鶏たちの反乱だったかもしれませんものね。

今週の野菜とレシピ

好子さんのにんじんも、青山さんのにんじんも今年は早くも底をつき、要望にお応えできなくなってきたので、愛媛の野口さんに助けてもらいました。

野口さんは柑橘農家ですが、バクタモンという変わった名前の微生物を利用して減農薬を成功させています。そのバクタモンで有機栽培をしている農家とも連携し、研究会を作っているので、こういうことができるのです。というわけで生産者名は野口さんになっていますが、仲間の農家というのがほんとうです。

益子GEFでもバクタモンを使ったことがありますが、土壌のちがいでしょうか。こちらではあまり効果がなかったような記憶があります。畑によって千差万別というところが、畑もまた生きものである証で、農業のおもしろいところなのかもしれません。

すこしあたたかくなったからでしょうか。椎茸も育ってきましたので、今週はいつもどおりの量でお送りできるようになりました。

サニーレタスはサラダ用とはかぎりません。中華風のスープに入れても、またじゃが芋といっしょに味噌汁にしても意外なおいしさ。サラダにするときは、じゃが芋をマッチ棒ぐらいに切りそろえて二度揚げし、かりっとさせたものと合わせると、サニーレタスの食感のたよりなさが補われます。これはうちでは人気のサラダなので、かりかりポテトは多めに作るようにしています。

事務局からのお詫びです。

送り状の件ですが、パソコンに入力されていた番地が、どういうわけか一部消去され、それに気づかず伝票を出していたため、野菜セットの到着が遅れていたところがありました。再度、入力し直しましたので、今週からは時間通りお荷物を受け取ることができると思います。申しわけありませんでした。