変なエコブーム

2008年10月第4週

今週の野菜セット

左から

木々の紅葉はようやくはじまったばかりですが、コキア(箒草)がひと足早く紅葉し、燃えるように畑の周囲を彩っています。こんな色のセーターがあったらいいなあ、と思いながら畑仕事をしていますが、どんなに染色技術が発達しても、あれだけ微妙で奥深い色合いは出せそうもありません。

自然の染色技術にくらべたら、人工のほうはまだまだで、それはなにも色彩にかぎったことではありません。数十メートルにもなる巨木が水を吸い上げる。それに匹敵するようなポンプですら、未だに登場していないのですから、そんな人間が遺伝子を操作したり、プルトニウムのような怪物を扱おうなんて、百年どころか千年早い。いや、ほんとうなら永久に手出しなどできないものだったのかもしれません。

地球の温暖化をはじめ、環境の疲弊が問題視されていますが、その原因となると二酸化炭素という副産物のことしか話題に上らない。ほんとうに論じられるべきは地下資源。地球の内蔵ともいえる石油、石炭、鉱物類で、それが二酸化炭素の発生源であるという以前に、わたしたちは地球の活力そのものを消費してきたのです。

血を抜かれ、内蔵を切り売りされれば、どんな生きものでも死んでしまいますからね。温暖化は病んだ地球が発熱している、死ぬまいとする努力の顕れではないか、とコキアを眺め、畑の土にまみれながら思ったのですが・・・。

わたしたちが発熱するのは、体内に入った病原菌を殺すため。地球が発熱しているのは、なにを抹殺するためなのか。そう考えたとたん、背筋が寒くなりました。地球にやさしいエコ、なんて寝ぼけたことをいってる場合じゃないのに、ムードばかりのエコ・ブーム。

その一例がマイバッグ。スーパーの袋というのは、石油の廃棄物からできているもので、いってみれば廃物利用。この「もったいない精神」から生まれたものを使わないで、資源を節約してみたところで、石油を消費し続けているかぎり、この手のものは出てくるわけです。

当店はエコのため、マイバッグ、マイバスケットのご利用をおすすめしています、なんてまことしやかなことをいっているけど、そのバッグもバスケットもまた石油製品であることが多いのです。これって変じゃない?そんなにスーパー各店がエコに尽力しているのなら、営業時間を短縮するのが先決で、客にそれを求めてはいけません。

また客も客で、わたしはマイバッグにマイ箸を持参しているから、とそれで責任を果たしたような気になっているんですから・・・。ツンドラ地帯の永久凍土が解けて、二酸化炭素の二十倍もの温暖化効果があるメタンガスがふつふつと湧いて出ているというときに、暢気すぎますよねえ。

そんな地球の発熱作用のせいでしょうか。十月も半ばを過ぎたというのに、あたたかい日が続いています。もちろん、朝夕の気温は低いのですが、晴れた日の日中は小春日和。ちょっと動くと汗ばむぐらいで、その汗を夕刻の冷たい風がさらって行きます。ハックション。

くしゃみを連発しながら帰宅して、鼻水をすすりながら入浴し、身体が十分にあたたまったところで水をかぶる。そうすると風呂上がり、身体がぽかぽかしてきて、さらに生姜湯でも飲めば、その程度の風邪は治ってしまいます。翌朝は快調なのですが、また日中汗をかき、夕刻に体温もろとも持って行かれ、おなじことの繰り返し・・・。ちょっと風邪気味という人も多いのではないでしょうか。

秋の夜長。夏ものをかたづけたり、炬燵を出してきたり、まだ暖房の入ってない夜間に動きまわって、つい夢中になってしまうと、これまた身体が冷えて風邪をひきかねません。季節の変わり目は体調も変化しやすいので、ゆっくり休みたいところですが、そういう時期にかぎってやることも多いものです。風呂上がりに洗面器一杯の水をかぶる。夏にこれをやると、身体が火照ってどうにもなりませんが、寒くなるとおすすめですよ。

おなじ風邪でも、熱があるようなときは足湯にとどめておいてください。これは入浴するより身体があたたまります。足元にやかんを置いて、すこしずつお湯を足しながら二十分ぐらい。このときも冷水を用意しておいて、最後にその中に足を入れると、朝まで足がぽかぽかしています。

冷水で湯冷めを防止。なんだか逆効果みたいですが、この逆効果を利用するというわけです。夏の暑いときは風呂も熱めにして、入るのは短時間。冬は逆にぬるめの湯に長くつかって、身体を芯からあたため、その熱を冷水で封じこめるわけですね。とくに目新しい入浴法でもありませんが、これを参考に、冬の夜をあたたかくお過ごしいただけたら、と思いました。

今週の野菜とレシピ

野菜セットには白菜が入りました。

白菜といっても、まだ結球しきっていないので白くありません。どう見ても青菜。これが幾重にも重なりあって、内側に日光が届かなくなると、おなじみの白菜になります。

青い白菜は日光浴をしている分、栄養価が高いのですが、まだ鍋ものにはちょっと早いかもしれません。おすすめは煮びたしで、濃いめにとった鰹出しで煮ると、すぐにやわらかくなります。味つけは酒と塩。白菜の甘さを味わうにはこういうシンプルな味つけがいちばんです。

里芋はたっぷり1キロ入りました。今が旬のイカと煮るか、山形式に甘辛く味つけした牛肉と煮るか、あるいは単独で煮っ転がし・・・。お好みの調理法でお楽しみください。

京菜はサラダ風の炒めものがおいしいですよ。ちりめんじゃこをかりっとするまでよく炒め、胡麻も加えて一味唐辛子と醤油で調味。そこに京菜を入れて、ひと混ぜしたところで火から下ろします。ご飯によく合うので、お弁当のおかずにもなりますよ。

椎茸のちょっと変わった調理法。石づきを取ったくぼみにマヨネーズを入れ、そのままオーブンで焼きます。あつあつを食べると火傷するので、ちょっと冷

めるまで待ちますが、これはお酒のつまみに最高。下戸が食べてもおいしいですよ。

今週は牛蒡が入る予定でしたが、青山さんが腰を痛めているので、来週にまわすことになりました。いっしょにニンジンも出せるようになっているといいですね。