梅雨なき梅雨明け

2008年7月第4週

今週の野菜セット

左から

先日、アラレちゃんが車の中でラジオを聞いていたら、アナウンサーがこんなことをいっていたそうです。

曰く、気象庁はどうして梅雨明けしたことをひた隠しにしているんでしょう?梅雨なんか、もうとっくに明けているって、みんな知っているのにですよ。だれも怒らないから、いいかげんに梅雨明け宣言したほうがいいんじゃないでしょうか。

そんなアドバイスを受けてかどうか、気象庁もついに梅雨明け宣言に踏み切りました。だれも怒らないから、というのでほっとしたんでしょうか。でも、わたしたちは怒っています。気象予報が当たらないのは百も承知。でも、毎日のように夕方から雨、なんていわれると、ワラにもすがる思いでついつい期待してしまうからで、それが空振りに終わるたびにストレスが溜まるのです。

畑の土は乾ききって、砂漠状態。野菜たちの悲鳴が聞こえてきそうです。今週は雨マークがまったく見あたらないので、もしかしたら恵みの雨が降ってくれるのかもしれませんが・・・。

で、当たるほうの気象予報。福島県で農業顧問をしている佐藤氏の予測では、夏至近くに近日点に入った金星の影響で、北半球の地温が上がりやすく、相対的に太平洋高気圧が北上し、猛暑が続く、とあります。加えて、少雨傾向は八月になっても続き、日本海側や東日本・北海道で農作物に旱魃の影響が出る、ということですから覚悟してかからねばならないようです。

だいたいこのあたりは、毎年、冬用のニンジンの種を蒔くころになると、ぴたっと雨が降らなくなってしまうのです。乾燥で発芽がまばらになるか、夕立で種が流されるか。それがここ数年、なかなかきれいなニンジンが冬場に提供できない理由のひとつになっています。

ほどほどに乾いた畑に降雨があると、それは恵みの雨になりますが、乾燥しきった畑となると、逆にそれが野菜の立ち枯れの原因になることがあります。半月以上、ほとんど雨らしい雨がないという現状は、ちょうどそのすれすれのライン上にあるわけでして、気象の変化に敏感にならざるを得ないのですね。路上や畑で、錆び釘みたいになったミミズの死骸を見かけるようになったら要注意。これは土の中が乾燥しすぎて、ミミズたちが生息できず、苦しまぎれに出てきてしまった結果なのですが、今朝、路上で一本、ズッキーニの根元で一本、折れ曲がった釘状のものを見つけました。いよいよ限界が近づきつつあるようです。

*気象庁が梅雨明け宣言してくれたおかげかどうか、日曜日の夕方から今朝にかけて雨が降りました。感謝。でも、まとまった降雨になったのはわが家の周辺だけのようで、好子さんや青山さんの畑では霧雨程度。それもすぐに止んでしまったといいますから、困ったものです。

話は変わって、温暖化の進行を阻止すべく洞爺湖サミットが開催され、大方の予想通り、たいした成果もなく閉幕されましたが、わたしたちの耳に入ってくるのは弊害ばかり。空港の荷物検査が異常に厳しくなったため、稼ぎどきの夕張メロンの本州への出荷が遅れ、苦しい夕張農家の収入をさらに減らしたとか、福島の佐藤さんのところに農業研修のため来日したフィリピンの青年が、怪しいやつとばかり成田空港で足止めされ、迎えに来ていた佐藤さんが駐車場で一泊する羽目になったとか・・・。サミット開催中には、遠く離れた高地空港にも警察犬が導入されたりしていたそうです。

この異様な事態。しかも集まったのが、いずれも国内の支持率が二割台という、お粗末なトップ連中なのでした。そんな人たちに世界のなにが決められるのか。車内で一泊したおかげで、足腰が痛くなったという佐藤さんでなくても、毒づきたくなってきますよね。

会議のテーマは一に環境、二に経済だったはずですが、結局は経済重視。投棄マネーが食糧や石油の高騰を招いているという異常事態にも、マネーの制御は拒まれるという有様で、四万人を越える警察官を使ってまでやる会議だったのか、という虚しさが残ります。景色のうつくしさ、という点で洞爺湖が選ばれたそうですが、せっかくの景観も会期中は濃霧でなにも見えなかったとか・・・。

悪名高い先物取引は、武器を使わない戦争みたいなものです。国内でも、昔から小豆や大豆の取引に手をだして、大損したあげく首を吊る例が後を絶ちません。欲を出したばかりに破滅に至るのはいたしかたないにしても、発展途上国で餓死者が出るようになると、これはまぎれもない犯罪行為です。

そんなことには目をつむったまま、食糧不足に対処する切り札として、遺伝子組み換え作物に対する反応が世界中で変わりつつあります。耕作面積を増やさなくても収穫量が三倍になるという新品種が登場したとかで、ガソリンがどんなに高騰しても、温暖化がどれだけ進行しても、これさえあれば食糧価格は抑えられるし、世界中から飢餓が消える・・・。農業の救世主だというのです。

それに応えて、国内でも遺伝子組み換え作物の開発に乗り出す動きが出ているようですが、そんなうまい話があるでしょうか。化学肥料が使われるようになって、まだ百年も経っていないのに、これだけ奇病・難病が増えているのです。これはCO2削減のため、ヨーロッパ諸国で原発を容認する動きが広まっているのとおなじように、問題のすり替え、便乗といったどす黒い欲望しか感じられないのですが・・・。洞爺湖周辺のみならず、世界中が濃霧に覆われてしまいそうな、いやーな予感がするのはわたしだけでしょうか。

今週の野菜とレシピ

今週は枝豆が入りました。これは届いたら、その日のうちに湯がいてください。収穫して時間が経つにつれ、甘みが抜けてしまうからです。枝豆といえばビールですが、下戸は麦茶で・・・。

枝豆はサヤの両端にハサミを入れ、水洗いした後、ざっと塩もみすると仕上がりがきれいになります。そのまま湯がいて、ザルにあけてから、また軽く塩をふってお召しあかりください。

茄子トマトピーマンきゅうりと、夏野菜が勢揃い。中でもインゲンは揚げてよし、煮物にしてよし、夏の香りが濃厚に漂います。スジがほとんどないので、つけ根の部分をすこし取るだけで調理できます。湯がいてサラダや胡麻和えにしてもおいしいですよ。

モロヘイアが登場しましたが、数量が足りないため、一部の方には空芯菜が入りました。どちらも栄養価の高い、夏の貴重な青ものです。モロヘイアはおひたしがおすすめ。空芯菜はニンニクといっしょに、さっと炒めてどうぞ。