見かけだおしのエコロジー

2008年7月第1週

今週の野菜セット

左から時計回り

降るのか降らないのか、暑いのか涼しいのか、はっきりしない空模様が続きますが、これが梅雨というものかもしれません。

そんな陽気のせいか、体調を崩している人も多いようです。うちの母などはヘルペスに罹ってしまいました。体力のない老人は、とくに影響を受けやすいんでしょうね。

春先の芽吹きどきといい、この時期といい、肉体的にも精神的にも人が不調に陥りやすいのは、わたしたちが自分で思っているほど自律的な生きものではなく、どんなに進化したつもりでも、自然の一部分であることに変わりはないんだ、といわれているかのよう・・・。自然を冒涜すればするほど、厄介な病気が増えてくるのも、当然の流れだったというわけです。

病気と闘ったところで勝てるわけなどありませんから、我を張らず、できるだけ姿勢を低くして病気を避ける。そんな知恵が求められているのではないでしょうか。身体にいいといわれることをあれこれやって、身体を変えることよりも、意識を変えることが先決ですものね。

意識が変われば、自然と身体も変わります。が、自分が生きてきた年数に比例するように、ごちごちに凝り固まった意識など、そう簡単に変えられるものではありません。だいたい、そんなものがほんとうに変えられるのか?変えられない、とわたしは思います。

でも、わたしたちの意識というのは氷山の一角みたいなもので、水面下には巨大な無意識世界が広がっています。それはもしかしたら、人類すべての記憶と結びついているかもしれないほど広大なものです。意識が変わるというのは、わたしたちの意識の中にこの太古からの潮流が漏れだして、ちょろちょろと流れはじめることで、けっして外部から新しいものを取り入れることではないと思うのです。

必要なものはすべて自前で用意できる。ただ、その取り出しかたがわからないのですから、金銀財宝をたっぷり詰め込んだ金庫があるのに、開けかたがわからなくて貧乏している。そんなもどかしさを感じませんか?

そんなにむずかしく考えなくても、意識の変革なら、マスコミでもエコロジーが喧伝されるようになり、多くの人がマイ箸やエコバッグを持つようになっているではないか。たしかに小さな一歩かもしれないが、それがやがて大きな潮流になるのでは・・・。

でも、わたしにはマスコミから発せられる「エコ」というのがどうしても「エゴ」としか聞こえないのです。「ロハス」なんて聞くと鳥肌が立つぐらい。

わたしもエコバッグは使っていますけど、スーパーに行くたびに寒い思いをしています。真夏でも上着が必要なぐらいに売り場が冷えているのは、解放式の冷蔵庫や冷凍庫があるからで、あれに蓋をするか、透明なカーテンでもつければ、どれだけ電気代が節約できるか。そういう努力はなにもしないで、当店ではエコロジーのため、エコバッグの使用をお奨めしています、なんていわれてもねえ。

ロハスな暮らしをしている人というのも、テレビで見るかぎり、みなさん、とても素敵なお家にお住まいです。壁も柱も自然素材で、自然にやさしいお家だとおっしゃる。たしかに火事にでもなれば、そこから出る煙は自然にやさしいでしょうけど、家そのものはわたしたちの家同様、自然破壊以外のなにものでもないのです。ほんとうに自然にやさしい家というのは、柱は塩化ビニール管、床と壁もそれに類したものでできているのかもしれませんよ。

エコ・ブームでなく、どれもこれもエコ・ムードにすぎません。それで意識が変わったつもりになるぐらいなら、後ろ暗い思いをしながら、なんとなくこのままではいけないんだろうな、ぐらいに思っている人のほうがいつか、意識の底にピンホールみたいな穴を開けて、無意識の井戸から水を汲みあげるようになる可能性もあるのでは・・・。

CO2削減のため、コンビニの営業時間を短縮させようという動きがありますが、これも見せかけの対応策としか思えません。

無用の長物と思われていたコンビニも、今ではすっかり市民権を得て、とくに田舎町では深夜の避難場所として欠かせないものになっています。コンビニの明るすぎる照明はたしかに問題があるかもしれませんが、冷蔵ケースには扉がついていたりして、スーパーよりは無駄な電気を使っていません。それにコンビニって、どこも小資本。田舎では、生計が成り立たなくなった酒屋や個人商店が転身しているケースが多いのです。

だから規制もしやすいのかもしれませんが、ほんとうに無用なのはスーパーの深夜営業。それにジュースやお茶の自販機なのではないでしょうか。一平方メートルあたりの電気の使用量が突出しているのが自販機で、これがゴミ問題の元凶にもなっているぐらい・・・。この国は自販機大国。たしかに故障も少なく、お釣りのトラブルもない優れもの揃いですが、そんな技術こそ、もっとエコロジカルに利用してほしいものです。

今週の野菜とレシピ

トマトに続いてピーマンが出てきました。ピーマンは種に甘みがありますから、なるべく種をつけたまま調理してください。ヘタもこの時期、まだやわらかいので、半割りにして炒めるか素揚げにして、鰹節と醤油で食べてみてください。ご飯がよく進みます。

ミニサイズのぼっちゃんカボチャは、少人数のご家庭向き。煮るときは、火の通りが早いので、水を入れすぎないようにご注意ください。すべての野菜に共通していることですが、有機野菜は化学肥料や農薬を使用した野菜より、火の通りが早いのでガス代が節約できます。微量とはいえ、これもエコ。みなさんのところに届くまでに要したガソリン代が、ちゃらになる程度には節約になると思います。

ニンジンの葉は、今週はかき揚げにしてみましょうか。なぜか高級な具材より、安価なちくわなどと合わせたほうがおいしくなります。ちくわは斜め薄切り、葉っぱも適当に包丁を入れておきます。てんぷらの衣は多すぎず、やっと全体がからまる程度にするとからっと揚がります。油のせいか、衣のせいかわかりませんけど、こうするとニンジン葉がもちもちした食感になり、それが妙においしいんですよ。

若い京菜はサラダ用。パスタや焼きそばに、火を止めてから京菜を生のまま加えると彩りがよく、バランスもよくなります。

来週はモロヘイアが入って、夏らしくなりそうです。