大スズメバチは悪者?

2008年6月第4週

今週の野菜セット

左から時計回り

五月晴れの日々が続きます。

六月も後半に入って五月晴れ?変に思われるかもしれませんが、旧暦の五月は梅雨。もともとはその中休みを五月晴れと呼んでいたので、新緑を背景に鯉のぼりを泳がせる、あのすがすがしい晴天のことではなかったのです。

湿度が高く、人よりも虫たちを喜ばせそうな晴れ間。そんな日々が続いていますから、やはり今年は空梅雨なのでしょうか。たまに雨が降っても、ほんのすこしぱらつく程度。かと思うと、集中豪雨になったりして・・・。

梅雨どきに降る雨も、ずいぶん様子が変わってきました。多すぎてもすくなすぎても困るのが雨。ほどほどの雨などというのは、今となっては贅沢な代物なのかもしれませんね。

今朝、ブーンという重低音で目をさますと、どこから入ってきたのか、大スズメバチが天井近くを旋回していました。体長が五センチ以上もありそうで、おそらくこれは女王蜂。巣作りの候補地を探しているうちに、迷いこんでしまったのかもしれません。

女王陛下、おはようございます、といってドアを開けると、こちらを一瞥。威厳のある態度でゆっくりと出てお行きになられました。寝ぼけていたとはいえ、ちょっと感動的。わたしのような平民が、女王さまにお目見えできる機会なんて、そうざらにはないのですからね。吉兆かもしれません。

女王蜂とはいえ、この時期はひとりで巣を作り、子育てをしてファミリーを増やさなければなりません。女王として君臨できるのはそれからで、今はただのシングルマザー。なんだか急にいじらしくなって、顔を洗ってまた引き返してくると、今度は犬のいる部屋の天井あたりを旋回しているところでした。

ここなら窓もドアも開けっ放しなので、どこに営巣してもさしつかえはなさそうです。怖いもの知らずの大スズメバチも、ファミリーが大きくなるまでは非力なもので、鳥の目に怯えていなければならないのです。だから、最初は目立たないところに小さな巣を作り、そこが手狭になってきたところで、大挙して大きな巣作りにかかるというわけです。

大きな巣ほど芸術的ではないけれど、小さな掘っ建て小屋でも家の中にあれば、これはこれでささやかな幸運を招いてくれるかも、などと世知辛い平民は勝手な期待を寄せているのですが、どうなりますか。失礼のないよう、犬にもよくいって聞かせているところですが、どこで営巣するにせよ、無事に一国一城の主となってほしいものです。信じられないことに、世の中にはこのスズメバチの巣を撤去したがる人がいて、それが夏の風物詩のようにニュースになったりします。すこし前なら、カラスの巣の撤去シーン。どちらもむかつくので、すぐに消してしまいますが、カラスは子育て中、過剰防衛になりやすいので危険。スズメバチは秋口、やはり防衛反応から人に危害を加えることがあるので、撤去するのが当然みたいな風潮があるようです。それを商売にしている輩もいるぐらいですからね。

人間以外の生きものには、ここでは居住権も生きる権利もないみたい。人間が飼育している生きもの以外、殺すのも傷つけるのも自由ということになれば、結局、まわりまわって人間が生きづらくなってしまいます。現にスズメバチが激減しているせいで、わが家があるような山間部では、天敵を失ったアブが大発生。スズメバチが人を刺すのはアクシデントなのですが、アブは確信犯。吸血のため、見境なしに襲ってくるのです。

カラスやスズメバチを目の敵にしたところで、都市部では目立った影響は出ないかもしれません。しかし、少年たちがよろこびそうな昆虫類が姿を消して、その分ゴキブリと蚊が増えるという、負の現象はすでに起こっていますよね。凶暴な人間が増えているのも、じつはそれとおなじ現象なのかもしれません。

単一の作物を育てている畑というのは、規模が大きくなればなるほど脆いものです。何種類もの農薬を使わないと維持してゆけない上、ちょっとした気候の変動にも影響を受けやすい。そういう畑は除草剤で管理され、草一本生えることも許されませんから、ますます作物が消耗するのです。除草剤による影響だけでなく、雑草が地中深くから運び揚げるミネラルが摂取できない。その結果、旱魃にも多雨にも対応できないような脆弱な作物になってしまうのです。

畑の雑草は、作物の養分を搾取する悪者です。根をはびこらせ、作物の生育を阻むこともしばしばなので、農家はせっせと草取りに励むのですが、これがゼロになってしまうと逆効果になるということも、有機農家はよく知っているのです。要はバランスの問題なのですね。

このバランスが、人間界では崩れてきています。寄生虫は悪者だというので、

それを一掃したらアレルギーが急増。除菌、除菌と騒ぎすぎるから、ちょっとしたことで感染症に罹ってしまうし、薬がどんどん強くなるものだから、病原菌もそれに対抗して、今や殺人兵器にちかいものまで出てくる始末。それでもこの世界を単一作物だけの畑にしようというのなら、若者の自殺志願を愚かなどといってはいけませんよね。

今週の野菜とレシピ

今週は枝豆が入りますが、実入りがわるく、数量が足りなくなりそうなので、一部の方にはとうもろこしを入れさせていただきます。どちらも鮮度が命。時間が経つにつれ、甘みが抜けてゆきますので、なるべく早くお召しあがりください。

ひさびさのニンジン。まだ小ぶりですが、この時期のニンジンは貴重品です。葉をつけたままにしておくと、水分が葉のほうに取られてしまいますから、切り離して保存してください。

葉っぱのほうは、鮮度がいいうちに調理してくださいね。見るからにかたそうな外葉はそのまま冷凍して、スープをとるときの香菜として利用。残りはかき揚げにするか、ちりめんじゃこといっしょに常備菜にするか・・・。ニンジンそのものより、こちらのほうが栄養価が高いので、上手にご利用ください。ニンジン葉の常備菜:フライパンに油を熱し、ちりめんじゃこをかりっとするまで炒めます。そこへ細かくきざんだニンジン葉を入れ、火が通ったら醤油と一味唐辛子少々で調味。仕上がりにたっぷり胡麻を加えます。これはお弁当のご飯に散らすとおいしいですよ。

青山さんのネギ。これもこの時期には貴重なものです。暑さにやられて、青いところが白濁しかけていますが、やわらかいネギです。麺類の薬味などにご利用ください。

トマトきゅうりはレシピなど不要ですね。オカヒジキはこれが最終便。湯がいても、炒めてもしゃりしゃりした食感が残ります。すこし飽きてきたので、先週、桜エビといっしょにかき揚げにしてみたら、意外なおいしさを発見。揚げると、隠されていた香りが出てくるみたいです。

*野菜たっぷりセットの方には、コリンキーという黄色いカボチャが入ります。これはサラダ用のカボチャで、皮ごと全部食べられます。スライスしてドレッシングで和えると、甘みがあります。

来週は全セットにこれが入る予定です。