食べものには捨てるところがない

2008年11月第2週

今週の野菜セット

左から

ようやく晩秋らしい寒さになってきました。

先週は立冬。そろそろ霜が降りてもいい頃ですが、寒くなったとはいえ、冷えこみはそれほどでもありません。木枯らしが吹かないので、紅葉も散る気配がありませんしね。

過ごしやすい冬のはじまりではありますが、出荷を控えた小松菜やほうれん草のことを思うと、早く霜が降りるようになってほしいもの。青菜は霜にあたるほど、甘くやわらかくなるからです。見かけはわるくなりますが、味を優先させれば葉先が霜にやられて、すこし枯れているぐらいのほうが上物。早くそういう野菜をお届けしたいんですけどね。

寒くなってくると、山の中だけでなく、裏庭や畑の片隅にもタヌキが出没するらしく、朝の早い時間には特有の臭いが残っています。動物園でおなじみ、あの臭いです。散歩中、車の通りが多いようなところでも、それが鼻をつくことがあり、こんなところでタヌキがなにをしているんだろう、と気にかかっていたのですが、今年その理由がわかりました。

この秋、わが家の柿は裏作で、さっぱり収穫がなかったのですが、近所はけっこう豊作みたいで、道路際の柿の木もたわわに実をつけています。そのあたりに臭いが残っているんですね。足元を見ると、柿のヘタと種だらけ。タヌキは果物も好んで食べるみたい。肉食のイメージが強いのですが、よく考えたらかれらは雑食だったのです。

ひと囓りしただけで放置されている柿もあり、それはたぶん、まだ渋が抜けきっていなかったのでしょう。そうか、柿を食べるのは野鳥だけではなかったんだと思うと、去年、食べきれないぐらいの柿を、高いところを除いてすべて収穫してしまったのがちょっと悔やまれます。今後、柿を取るのは中間部分のみ。高いところはカラス用、地面に近いところはタヌキ用に残しておかなくちゃ・・・。

そんなことを考えながら、タヌキが食い散らかした柿の種をせっせと拾い集めます。柿の種は黒焼きにしてから粉末にすると、認知症の予防と治療だけでなく、骨粗鬆症対策にもなるからです。今年のようにうちの柿が不作の年は、カラスやタヌキの食べ残しに頼ることになるのですね。

会員の中にも柿の種をほしがる方がいらっしゃいますが、豊作の年でも自家用が精いっぱい。でも、都会に住んでいると、柿を買ってきて種を取ろうと思っても、市販されている柿はほとんどが種無しで、効用がわかっていてもどうにもならないんだそうです。

そこで柿酢を作っている醸造所に、なんとか柿の種を分けてもらえないか、とお願いしたところ、今は熟成中なのでなんともいえないが、年明けになれば種を取ることができるか、商品化も踏まえて検討してみたいという返事をもらうことができました。そんなわけで、うまく行けば来春あたり、ご希望の方にはお分けできるようになるかもしれません。

ちなみにうちでは柿の種だけでなく、りんごの種もいっしょに黒焼きにしています。効能はわかりませんが、なんか身体によさそう・・・。でも、柑橘類の種はなかなか粉末にはなってくれないので、あきらめているしだいです。

廃物利用といえばそうですが、食べものには本来、廃物になる部分などないのかもしれません。

冬になると、どこの家の居間にもカゴやザルにみかんが入れてあるものです。そのみかんの皮。干せば入浴剤になり、アトピーや乾燥肌の痒みの防止になりますし、それを細かく砕いて畑や花壇に撒いておくと、アブラムシ対策。ネギの赤錆病も、じつはこれで予防しているぐらいです。

みかんの皮はそのまま洗剤にもなります。油汚れのひどい食器も、皮の内側の白い部分でこすりながら洗い流せば洗剤いらず。シンクにこびりついた汚れも、これでこすればきれいになります。

みかんの皮で育毛剤も作れるそうです。みかん五個をよく洗い、ピーラーで表皮を薄く削り取ります。それをザルに広げてカラカラになるまで陰干しし、煮沸消毒した広口瓶に三十五度の焼酎といっしょに漬けこみます。冷蔵庫に一週間、皮を取り除いてさらに二週間寝かせ、スプレー容器に移し、朝晩二回、頭皮にこれを擦りこむと脱毛がなくなるといいます。香り成分のリモネンに育毛・養毛作用があるそうで、商品化もされています。毛髪でお悩みの方はアデランスに電話をする前に、これを作ってみてはどうでしょう。

ともあれ、みかんの皮は陳皮とも呼ばれ、昔から漢方薬や民間薬として利用されてきました。健胃、消化、鎮咳、去痰薬として使われていましたが、最近では毛細血管の強化、血中コレステロールの改善、抗アレルギー、発癌抑制作用などがあることもわかっていますから、捨てたりしたら罰があたりそう。

あ、それから寒くなってくると、かかとがガサガサになってきますが、それはりんごの皮でこするとつるつるになります。りんごの果肉がついている方でこすってくださいね。

今週の野菜とレシピ

今週は大根ニンジン牛蒡里芋と根菜類が充実しています。身体があたたまるけんちん汁や豚汁が作れますね。

豆腐や蒟蒻はそちらで用意していただいて、まず蒟蒻をから煎りしてから油を入れ、肉類を炒めます。十分に火が通ったところで牛蒡、ニンジン、大根と順にいためてゆきますが、おいしく作るコツは牛蒡なら牛蒡に十分火が通ってから、ニンジンを炒めるという風に、鍋を別にする必要はありませんが、ひとつひとつ丁寧に火を通すこと。そうすればそれぞれの個性が生かされ、野菜の味が混じり合ってしまうことがありません。

味噌味でも醤油味でも、仕上げに胡麻油を少量たらすと、さらに味がよくなります。今週のメニューに葱がないのが残念ですが、先週の残りで間に合わせてくださいね。

ひさびさのラデイッシュ、そのまま塩かマヨネーズでいただきますが、スライスして山東菜といっしょにサラダにしてもイケますよ。

来週は鍋ものセット。白菜、椎茸、春菊、下仁田葱に加えて柚子も入りそうです。